佐川氏証人喚問~「これでこの問題は終わり」とする自民党幹部を国民はどう見るか? 

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3月28日 FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②

佐川氏は官邸の指示を否定
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター鈴木哲夫(ジャーナリスト)

佐川 宣寿 前 国税庁 長官 参院 予算 委員会 証人喚問 小池 晃

参院予算委員会の証人喚問で共産党の小池晃氏の質問を聞く佐川宣寿前国税庁長官=2018年3月27日午前、国会・参院第1委員会室 写真提供:産経新聞社

佐川氏、刑事訴追の恐れを理由に50回以上証言を拒否

森友学園への国有地売却に関する財務省の決裁文書改ざんを巡り、佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問が、衆参両院の予算委員会で行われましたが、繰り返し証言を拒否し、改ざんの経緯や動機、指示系統など、核心部分の解明は進みませんでした。野党側は、安倍総理の妻、昭恵夫人の喚問が必要としていますが、政府与党側は「必要ない」という姿勢です。

「財務省の決裁文書の改ざんが何故、誰の指示で行われたか?」が、昨日の国会の証人喚問の焦点だったのですが、佐川前国税庁長官は真相を明かさず、刑事訴追の恐れを理由に、56回にわたり、証言を拒否しました。

佐川前国税庁長官)私が決裁文書の書き換えに、いつ、どのように認識をしたかといったことにつきましては、刑事訴追を受ける恐れがありますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

これに対して野党は、「疑惑は深まる一方だ。ゼロ回答だ」と野次を浴びせ、議事は何度も中断しました。「安倍総理大臣や昭恵夫人、官邸からの指示はあったのか?」あるいは「安倍総理の国会答弁が影響したのか?」、この辺を問われると、佐川さんはきっぱり否定しました。

立憲民主党の福山幹事長は、「改ざんの経緯はまったく答えないのに、何故官邸の関与については明確に否定するのか」と矛盾をついたのですが、佐川さんは「個別案件なので、理財局で対応するものだ」と述べ、かわしました。

また、佐川さんは改ざん前の文書に昭恵夫人の動向が記載されていたことへの、文書を読んでの感想についても証言を拒否しています。昨日の証人喚問終了後、立憲民主党の逢坂誠二議員と、自民党の石破元幹事長は記者団に次のように答えています。

逢坂議員)ようするに、犯罪の影がチラついているということが、逆に明らかになったのではないかと思います。

石破元幹事長)国会の判断だと思いますが、尽くされなかった議論というものを早急に尽くすことも国会の責任だと思います。

政府与党はこの証人喚問で、国会での解明は終わったとし、今後は大阪地検の捜査などに委ねたい考えですが、石破元幹事長は真相究明のため、第3者機関による調査・検討を求めるなど、政権内では異論もくすぶっています。

一方、野党は昭恵夫人らの喚問も要求し続ける方針ですが、自民党内では、森友問題の今後の展開が、今年秋の自民党総裁選を占う、という声が依然として残っています。

原因がハッキリしていない以上責任を取ることは不可能であり、説明が破綻している

高嶋)二階幹事長は「疑いは晴れた」、菅官房長官は、「何もしていなかったという事だ」と、官邸との関係を、そこだけ、くどいほど、「言われたことはない」、「まったく関係ない」ということを言っていました。

鈴木)福山さんが言っていたことは、ストンと皆さんに落ちるのではないでしょうか。つまり、「捜査に関係あるので、改ざんに対することは答えられない」と言っていながら、「官邸や政治的関与はなかった」ということだけは、言っているわけでしょう? 全部捜査に関係するなら、本当は言えない話じゃないですか。与党は、そこをとって「疑いが晴れた」と言っていますが、逆に、「そこだけ言うのはおかしいでしょう」といういかがわしさも同時に生まれるわけです。世論がそこをどう判断するかになってきますね。

高嶋)佐川さんがあのように何度も言うのは、検察に調べて欲しいんだよね。「国会では証言できない。検察に調べてもらいたい」と。すると、改ざんは理財局内でやったわけですから、彼は局長で、トップになるわけです。それなら、当然責任が出てくるわけですよね。

鈴木)「責任」と言いますが、何の責任か分からないわけですよ。「自分の立場上の責任はあります」と、局のトップだったのだから監督責任はある。
では、書き換えはどういう責任か。実際、何が起きたのか。誰がどうやって書き換えを指示して、何がどう行われたのか一切言わないで、ただ「責任だけがある」というのは……これは何があったか分からなければ「責任」は出てこないわけだから。この辺は完全に説明が破綻しているのです。その辺がすっきりしない。原因があるからこそ、はじめて責任が発生するのですよ。
それと、自民党が盛んに言っている「再発防止策」ですが、何が起きたか分からないのに、何を再発防止策なのか? ということですよ。だからこの辺、かなり無理があります。

与野党が共に解明すべき問題

高嶋)証人喚問で、佐川さんがああいう答え方をして。これは安倍さんや安倍内閣、自民党にとってプラス・マイナスどちらですか?

鈴木)これは非常に難しいところです。いままでのケースと今回で違うのは、与野党の対決というか、政策などに関して、敵同士でやり合っているような問題ではなく、行政、つまり財務省が国会を騙し、嘘を付いた。国会は、我々「国民」の代表なのですよ。その場に違う資料を出して正当化しようとした。それも含めて大問題なわけです。
ということは「与党対野党」ではなく、与党だって今回騙されているわけだから、そういう意味ではこの問題は、与野党一緒になって、徹底的に解明しなければいけない問題なのです。だから、今回、特に昨日やっているのは、自民党は「政権は関係ない」というところばかり言ってしまっているので、そこを国民が「ちょっと待って」と。
昨日、自民党の柴山総裁特別補佐と少し話ができたので「これ、実は自民党が見られていますよ」と僕は言いました。「野党がどれだけ追求できたかではなく、自民党自身がこの問題にどう対応するか、むしろ見られている」と。中には、「これでこの問題は終わり」みたいなことを言っている自民党の幹部がいるのですよ。こういうのはピントがズレているというか、空気が読めていないというか。こういう発言に世論は、「違うのでは?」と思うのではないですかね。

やるべき真相究明はまだある

高嶋)幹事長も官房長官も、言葉にすると疑いが晴れたとか、何もなかったということだとか、言っていますが、声は小さいし目は泳いでいるし……。

鈴木)表情もね。警戒感持っていると思いますよ。

高嶋)あのベテラン2人は、政界も長いし、皮膚感覚はスゴく発達していると思いますから。「これで終わるわけ無いな」と。言外にそういうニュアンスがありましたね。

鈴木)そうですね。昨日の証人喚問があって、メディアが支持率調査をしますが、これが上がるか下がるか……。

高嶋)上がることはないでしょう? 「訴追されるかもしれないから」と、50数回も返答せず、肝心なことは1つも言わない。それで自民党が「終わった」と言っていたら、そりゃあ、支持率も上がらないでしょう。もっと焦るべきです。

鈴木)固唾を飲んで、自民党も1度支持率を見る、という感じですね。

高嶋)大阪地検はどうですか?

鈴木)地検はもう淡々とやっています。ただ、地検の捜査がどうこうと言いますが、国会にはちゃんと国政調査権というのがあって。それでやれることがたくさんある。誰かも言っていましたが、調査委員会を作るとか。やれることはたくさんあるし、証人喚問だって、8億円に関する方はだれも呼んでいないのですから。

高嶋)でも、調査委員会を作っても、それはおためごかしだと思うのですよ。つまり、いま貴重な予算委員会で取り上げているからテレビでやりますが、調査委員会とかやったら、「テレビが5時で終わったから、どうもやる気がしない」みたいな。そういうことになってしまうのでは?

鈴木)可能性はありますね。少なくとも、やるべきことはまだたくさんあるのだから。そこをやるかどうか、しっかり僕らもウォッチしなければいけないと思います。

高嶋)まずは世論調査の結果、ですね。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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