森友文書改ざん~焦点は麻生財務大臣の責任問題で止まるかどうか?
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3/19 (月)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③
情報のリークは大阪地検からか
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター須田慎一郎(ジャーナリスト)
森友文書改ざん~安倍内閣の支持率急落
合わせて14の文書。項目にして200を越える改ざん。安倍昭恵総理夫人や、国会議員の名前など、政治とつながりがある部分はすべて削除……こうした問題が、世論調査に影を落としたことは間違いないようです。
安倍内閣の支持率ですが、共同通信の世論調査によると、支持率は38.7%と、前回より9.4ポイントダウン。下がった分がほぼ不支持に回った感じになり、「不支持」という声が9.2ポイントアップの、48.2%になりました。各社は軒並み支持率を下げており、たとえば朝日新聞は31%で、こちらは13ポイントダウンで、第2次安倍内閣発足以降最低となりました。毎日新聞も33%で、こちらも12ポイント下落となっています。
共同通信の世論調査を細かく見てみると、まず財務省の決裁文書改ざんについては、「安倍総理に責任がある」という答えが66.1%に上りました。安倍昭恵夫人の国会召致については、「必要」という答えが65.3%、佐川前国税庁長官の証人喚問についても、「必要」という意見が83.5%という数字になっています。
一方、「総理が退陣すべき」の答えは43.8%と、「必要なし」の47.6%を下回っています。支持率は下がったものの、「まだ辞めるほどではない」というのが、世論調査で見えてきています。
政党支持率では、自民党が36.2%で、こちらも前回より3.3%下がったのですが、「その分、野党に行ったか?」というとそうではなく、立憲民主党は11.5%で、0.4ポイント増加に止まっています。
小泉進次郎「証人喚問はやるべき。抵抗する理由はまったく無い」
こうしたなか、今日は国会で文書改ざん問題についての集中審議が行われますが、まずは先週の国会審議を振り返ってみます。「佐川前国税庁長官が改ざんを知っていたか?」という話について、自民党の義家弘介議員と、財務省の太田理財局長とのやりとりです。
義家議員)財務省は現在、佐川前局長は「書き換えを知っていた」と考えているのですか?
太田理財局長)文言をみる限り、国会でご案内の通り、当事、主として答弁をしていたのは佐川前局長ということでございますので、佐川前局長の関与の度合いが大きかったのではないか、と。「知っていたか知らなかったか」で言えば、それは「知っていた」という風に思ってございます。
麻生財務大臣の監督責任、進退について、民進党の杉尾秀哉議員がただします。
杉尾議員)経済同友会の小林代表幹事が、「民間の社長なら知ろうが知るまいが普通は辞める」、こういう風に仰っているんです。麻生大臣は、お辞めになるおつもりは、まったくないんでしょうか?
麻生大臣)民間の会社と同列に扱うのは、いかがなものかと。いまの段階で辞めるということを考えているわけではありません。
先週末には与野党で議員の発言が相次いでおり、野党からは「安倍昭恵夫人、それから森友学園の土地売買交渉の際に財務省理財局長だった迫田英典氏、昭恵夫人付の政府職員だった谷査恵子氏の証人喚問が必要」と主張しています。また、与党からは小泉進次郎議員がこんな発言をしています。
小泉議員)全国会議員、そして全国民が、その書き換えられていた物を真実だと思っていたわけですから。これに対して怒らなければいけないのは、与党・野党の問題ではないと思います。(証人喚問は)やるべきだと思います。抵抗する理由はまったく無いと思います。何故書き換えられたか知りたいですね。
結局は佐川氏、昭恵夫人といった関係者の証人喚問、あるいは国会召致が実現するのか? そこでどういう事実が出てくるのか? そして、麻生財務大臣の責任問題がどうなるのかが、当面の焦点になりそうですね。
大阪地検が情報をリークしたと考えられる
高嶋)言い古された言葉ですが、「政界は一寸先が闇」と。去年10月の総選挙で野党があの体たらくで安倍さん圧勝。あれで「森友・加計は消えた!」とこういう風に当人は思ったし、世間も何となくそう感じる動きもあった…。「書き換え」の根っこはどこから出たと須田さんは読んでいますか?
須田)やはり現場ですね。近畿財務局という、財務省の現場。ここで元の文書が作られたわけですが、何故値引きが行われたのかというと、1つはやはり安倍夫妻というビッグネームが出てきてしまったこと。
もう1つは、それをクレーマーと思しき籠池夫妻が利用して値引きを迫ったことに恐怖してしまった、ということだと思います。高嶋)朝日新聞はどこから掴んだのでしょうか?
須田)大阪地検からと見ています。情報が何故提供されたのかというと、やはり検察内部の事情を抱えていて、今年1月に本来だったら順当に法務省事務次官になられる方が、官邸の横やりが入り、事務次官になれなかったという経緯があるのですよ。事務次官というのは、将来、検事総長になる人ですからね。それに危機感を覚え、情報リークがあったんじゃないかな、と見ています。安倍さんも総理を5年数ヶ月やってきて、そうした霞ヶ関を含めた周囲から歪みが出てきたんじゃないかと思います。
麻生大臣は辞任せざるを得ない状況に追い込まれつつある
高嶋)それにしても、冷静に考えれば国会や国民はナメられたものです。安倍内閣としては、もし書き換え・改ざんが表沙汰にならなければ、そのまま乗り切ってしまおうと思っていたんですよね。それがあのリーク記事をきっかけに大いにつまずき、肝心の支持率が10ポイント以上下降した。安倍総理はどう収拾つけようとしていると思いますか?
須田)主導権というのは、何も与党や政権サイドにあるわけではなく、野党の追及がどこまで行われるかがポイントとしてあると思います。
ただ、今回国会がずっと空回りしたのですが、とりあえず佐川前国税庁長官の証人喚問を条件に審議復帰、ということですよね。
もう1つ必要なのは、麻生さんの責任問題ですよ。政治責任を問えるのは、事務方にはできませんから。キッチリ責任をとって、辞めてもらう。「そこで止まるかどうか」が今後の焦点だと思います。つまり、安倍さんまでその刃が向かうかどうか。いずれにしても、私は麻生さんは辞めざるを得ない状況になっていくと思います。ポイントになるのは改ざん問題ではなく、なぜ巨額値引きが行われたか
高嶋)佐川さんを証人喚問に出さなければ話にならないと思いますけど、出てきて知らぬ存ぜぬを通したら、世論は怒り心頭でしょうね。
須田)というより、野党もそこはキチンと追及すべきなのですよ。報道ベースでなく、自ら調べたポイントを中心にキチンと追及していくべきだと思います。
高嶋)佐川さんという人はなかなか腹が据わっている気がしますが、追求しないと、証人喚問した意味がないですからね。喚問するかしないかも決まっていませんが、今日の集中審議で、果たしてどのような空気になるのか。須田さんはどう予想しますか?
須田)ポイントになるのは、あくまでも「改ざん問題」ではなく、「何故8億3,000万もの巨額値引きが行われたのか?」です。ようするに、値引きに何か後ろ暗いことがあるから、改ざんが行われたわけですよね。改ざん問題は入り口であって、最終的には値引きのことまでキチンと明らかにしてほしいな。
国民は与党全体が共犯と思っている
高嶋)今日は総理とか財務大臣とか、どんな答え方をすると思いますか?
須田)「自分たちも知らなかった」ということになるでしょうね。改ざんが行われたことに関して「知らなかった」で通し、「あくまで事務方がやったことだ」ということで、佐川さんの証人喚問、となると思います。
高嶋)一時、先週末に「佐川事件」みたいな言い方をわざわざする政治家がいて。あれもずいぶん腹立ちますよね。
須田)他人事ですよね。
高嶋)ようするに、彼にすべて責任を押しつけて、「あとは知らない」としたいのでしょう?
須田)小泉進次郎さんの、先ほどの発言もそうなんですよ。つまり「我々政権与党も被害者」みたいな言い方をしてるじゃないですか。国民は「一蓮托生だったのでは?」という風に見ているのだから。違うなら違うと、今日以降も国会で明らかにするべきであって。そのうえでああいう発言が出てくるならいいけど、最初から「与党も被害者」みたいな言い方は無いと思います。
高嶋)「佐川は当然出すべき」と小泉進次郎さんも言っていましたけど、安倍さんの先行きに黄信号が灯ると、いきなり青木幹雄さんが出てきたり、山崎拓さんが出てきたり。何か「えっまだいたの!」みたいな人がね……。
須田)それはそれで、何か嫌なムードが漂いますよね。
高嶋ひでたけのあさラジ!
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