森友文書改ざん問題~それでも安倍首相が麻生氏を守る理由
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3/14(水)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③
麻生財務大臣の辞任は改めて否定
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター鈴木哲夫(ジャーナリスト)
森友文書改ざん問題をめぐり与野党の対立が拡大
森友学園の文書問題を巡り、与野党対立が拡大している。与党は参議院の予算委員会の集中審議を今日開くことを決め、安倍総理大臣や麻生財務大臣らが出席する。信頼回復に取り組む政府や与党の姿勢を強調したい考えだが、野党は一部を除き欠席する方針。
野党は佐川宣寿前国税庁長官や、安倍昭恵夫人の証人喚問を強く求めている。こうした中、与党内の一部からも佐川前国税庁長官の国会承知に含みを持たせる発言も出始めてきた。自民党の竹下総務会長は昨日の記者会見で、「文書問題の調査が前提」とした上で、「佐川さんに最終責任があると分かれば、呼べばいいじゃないか」と語った他、岸田政調会長も、「どういった人間を国会に召致するか、現場で丁寧に判断してもらいたい」と指摘している。
安倍総理大臣は、辞任論が出ている麻生財務大臣の続投を堅持していく方針。麻生さんは昨日午前、記者会見で、自身の辞任については改めて否定している。
麻生財務大臣)信頼回復というのがもっとも大切なので。その点に関しまして、私どもとしては、必要な対応を行っていくのが私の仕事だと思っています。この原因究明と再発防止というのが、大臣として与えられている仕事だと思いますけどね、いま。
また、経済同友会の小林代表幹事は、昨日の記者会見で「麻生財務大臣の監督責任は免れない」という認識を示している。
小林代表幹事)それは当然、監督責任はあるでしょうよね。民間の場合は、自分が知ろうが知るまいが、そういう不祥事を起こしたら、普通は辞めるんですよ。法律違反を犯していない限りは、直接的に辞める必要は確かに無いのかもしれませんけれど。監督責任は明確にある。
ある自民党幹部は、「麻生さんが辞任すれば、野党の批判は安倍総理に集中する」と話している。一方、ある閣僚経験者は、「べらんめぇ調は麻生さんらしいが、反省の色が見えない」とも話している。9月の自民党総裁選挙の雲行きにも、不透明さが出始め、ある自民党の派閥の長老は、「安倍総理の連続3選は間違いないと思っていたけれど、雰囲気が変わってきた。政権がぐらついている」と話している。
停滞していた森友問題がひっくり返る事態に~安倍政権が揺らぎはじめた
高嶋)「これはもう政局だよ」と言っている人がいます。この「政局」について、具体的に教えて下さい。
鈴木)基本的にこの森友問題は、去年からずっとやってきていて。それである種の手詰まり感みたいなものが国会内でもありましたよね。
世論でも、「森友問題がこれ以上進展しないなら、他にやることあるだろう」という意見が出始めていましたから。そこへ来て、いままで議論したものを全部ひっくり返すような話が出てきてしまったので、「またイチから……」ということになった。
それから、何といっても信頼を失ったこと。それから、安倍内閣の支持率に影響してくる。当然、その延長線上には総裁選というのがあって。安倍さん3選の空気があった中で、やはり支持率が下がるとその影響が出てくる。
去年もありましたよね。支持が逆転して、「誰が総理に相応しいか?」というときに、抜かれたりした。こういうことの再来と考えれば、一気に政局化してくるということです。内閣支持率は世論が1番のポイントになってきますが、野党の追及ということと、もう1つの側面として、与党内があります。自民党内で「安倍降ろし」のような流れが出てきたり、「もう保たない」という見かたが出てきたりと。
公明党と連立を組んでいますが、ここはかなり厳しい対応をしていますよね。そういうところで、まさに政局になりつつある感じです。高嶋)公明党が心変わりした日には、目も当てられないですね。
鈴木)ちょっと取材していますが、公明党は最大の支持団体の創価学会も含めて、「この辺の問題は厳しくやるべきじゃないか」と言う人が多いですね。証人喚問も、自民党内で「佐川さんを呼べばいいのでは」と意見が出始めているそうですが、公明党も言ってくるかもしれません。
安倍総理が麻生財務大臣を守る理由
高嶋)犯人探しはやりますか? 誰が指示して、誰が書いたか。
鈴木)これはやらないと。「現場が勝手にやりました」の話ではありませんから。それから、書き換えられている中身もね。ざっくり言えば、明らかに政治色を消すためのものでした。その意味では、政治的な判断や指示があったのではないか。つまり「誰が?」ということでしょう。これもある程度のところまでしか行かない可能性もありますよね。だけど、どこまで行くか。
それから、麻生さんの「責任論」です。私が聞いたところ、安倍内閣に影響がないように、麻生さんのところで責任をとって収めるような流れを考えていたのではないかな、と。ただ、実際に国会でこれからいろいろな追及が始まっていくときに、イメージして欲しいのですが、委員会とかで、安倍総理の隣に麻生さんがいなくて、新しい財務大臣がいて。そこでガンガン追及される場合、追及されるのは安倍さんになるのです。高嶋)集中砲火になりますね。
鈴木)その意味では、言葉はキツいかもしれませんが、「盾になる」というか。この問題は財務省の問題です。そういう意味では、政権を守るためには、「もう少し麻生さん頑張ってくれ」という思惑が安倍さんサイドにもある気がします。だけど、これは逆に言うと、麻生さんが変な答弁をしたり、少し違うことを言ってしまったりしたら、マイナスになる可能性もある。
高嶋)昨日の放送でも「麻生さんはむしろ辞めたがっている」と国会関係者から出てきたということですが。
鈴木)そういう風に言う人もいますね。本当にベストな選択が「残って盾になる」なのか、責任論も含めて辞任ということになるのか、これからポイントになってくると思います。
わからなくなってきた自民党総裁選
高嶋)総裁選にも、非常に大きな影響があると思います。
鈴木)かなりあると思いますね。これは実際に、対抗馬である石破さん辺りが支持を伸ばすのではないか、というのもある。
高嶋)石破さんも「突然風が吹いてきた」と思っているでしょうね。
鈴木)慎重な感じではありますが、そうだろうと思います。あと、もし内閣支持率が低下してきて、石破さんが上昇していくことになったときは、ハッキリしていませんでしたが、岸田さんはたぶん出ると思います。もう「出るか出ないか?」、「安倍を支持して禅譲」と言われていましたが、もう支持率が下がってくれば岸田さんは出てきます。そうすると、派閥がどういう風に乗ってどうなるのか。ガラっと総裁選の構図が変わってくる可能性も出てきている、ということです。
高嶋)昭恵さんの証人喚問は絶対に受けないでしょうね。
鈴木)さすがに自民党はそこまでは譲らないと思います。だから、佐川さんをどのタイミングで切ってくるのか。そして麻生さんの辞任というカードをどう切るのか。この辺りを世論を見ながら収めどころを、というのが政権サイドのシナリオだと思います。
高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00