吉田鋼太郎が『シラノ・ド・ベルジュラック』で指名した演出家・鈴木裕美

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5月8日放送 ゲスト:俳優 吉田鋼太郎 第2回

剣豪にして詩人、権力に背を向ける熱血漢! けれど、自分の醜さを恥じ、愛を語れないシラノ。麗しく、才女。けれど、愛の詩に酔いしれ、盲目的な愛に突き進むロクサーヌ。その姿はさわやかで美しい、けれど、溢れる愛を言葉にできないクリスチャン。
愛とは何か、正義とは何か——。吉田綱太郎と黒木瞳が共演する舞台『シラノ・ド・ベルジュラック』が5月15日から上演される。


鐵(鉄)より硬い“鋼”太郎

黒木)毎日、さまざまなジャンルのプロフェッショナルにお話を伺っていくあさナビ、今週のゲストは俳優で演出家の吉田鋼太郎さんです。
「鋼太郎」という名前は、お母さんが付けられたのですか?

吉田)そうです。父の名前に「鐵」が入っていて、それよりもっと丈夫な……単純というか、わかりやすいというか、「何、その理由は」って感じでしょ。「鐵(鉄)よりも硬い金属で鋼太郎」ということです。

黒木)今回、私は『シラノ・ド・ベルジュラック』でロクサーヌを演じますが、「いま私の心は”鋼”の砦ですわ!」っていうセリフがありますね。

吉田)あれを瞳さんが言うとドキッとします。「俺のことじゃん!」って。全然、俺のことでも何でもないセリフなんだけど、ちょっと思ってしまう。

シラノを演じるのにふさわしい鋼の男

黒木)やっぱり、「鉄よりも強い男になるように」というお母さんの願いを込めて付けられた、ということですけど、まさに稽古場では強いですね!

吉田)そうですかね?

黒木)本当にものすごい量のセリフに、立ち回り。運動量も頭の回転も必要だし、本当に強い男じゃないと演じられませんね、シラノという男は。これはちょっと、鋼くらいの男じゃないと、ダメですね。本当に見ていて、「頑張れ!」みたいな気持ちになりますけれど、すべてが、どの場面も全力でやっていらっしゃるじゃないですか。おそらく、舞台で立たれると、稽古場でのエネルギーよりも、もっと頑張られるでしょう?

吉田)だんだん鉛みたいになってきています。身体が、鉛のように重いですね。

黒木)それは、やっぱり稽古中は仕方がないですよね。鉛になって、そこから研ぎ澄まされて、舞台に上がられる……もうすぐ初日ですが、稽古はどうですか?

吉田)演出の鈴木裕美の叱咤激励というか、今回は名演出だと思います。本当に、微に入り細に入り、辛抱強く一生懸命演出をなさっている姿を見ていると、これは頑張らなければ、と思いますね。

吉田綱太郎が指名した名演出家、鈴木裕美とはこんな人

黒木)鈴木裕美さんをご指名なさったのは、鋼太郎さんだと伺っておりますが、「今回の舞台は裕美さんがいい!」と思われたのですか?

吉田)そうです。古典にいまの息吹というか、「いま古典をやる意味」というのを、鈴木さんはちゃんと吹き込んでくれるんです。それを得意としていて、できる人なので、「鈴木裕美さんしかいないな!」と。本当に、相手に通じるまで言ってくれる人です。

黒木)そうですね。クドいくらい、仰いますよね。

吉田)でも、あれは大事だよね。人と人って、本当にちゃんと喋り合わないと分からないもんね。

黒木)言葉って、通じ合っている同じ言葉でも、全然誤解していることありますよね。だから、「分かってもらった」と思ってはいけない。それをものすごく噛み砕いて仰っています。

吉田)あと、スゴいパワーだよね。

黒木)エネルギーがないと、あれだけの演出はできないですよね。

吉田)稽古時間が約8時間だけど、ずっと大きな声で指導して。

黒木)そうそう。大きいですよね。役者に不可欠な声のたくましさというか……。

吉田)もともと役者はやっていたと思う。あの声は、そういうところもあるのだと思う。素人の声じゃないもの。

黒木)ちょっと仰るときの芝居が上手いですものね。

吉田)そうそう。やってみせるときとかね。

黒木)そういったところで、鋼太郎さんの「鈴木裕美の演出じゃなきゃいけない!」というのは正しかったのですね。

吉田)正しかったと思いますが、何しろ鬼演出家なので妥協を許さない。こっちは疲れますけどね(笑)。

黒木)演出家は、シラノと同じくらいのエネルギーが必要ですよね。

吉田)あの人には頭が下がりますね。

黒木)鋼太郎さんも演出をやりますが、裕美さんの演出を見ていて、どうですか?

吉田)スゴく似ている。たぶん一緒です。ただ、僕の方がもう少し我慢ができない。あんなに懇切丁寧、根気よくはならない。途中で怒鳴っちゃったり、「もう稽古やめ!」みたいになってしまうこともあります。

吉田綱太郎/俳優
1959年1月14日生まれ。東京都出身。B型。58歳。
高校生の時にシェイクスピア喜劇『十二夜』を観て役者を志す。
上智大学文学部ドイツ文学科在学中にシェイクスピア研究会公演『十二夜』で初舞台。
大学中退後、劇団四季などを経て1997年、演出家・栗田芳宏氏と劇団AUNを旗揚げ。
シェイクスピアやギリシャ悲劇などに要求される高い演技力と作品理解力で貴重な俳優として数々の舞台に出演。蜷川幸雄作品の常連として知られ、若い役者との親交も深い。また数多くの舞台演出も手掛けている。
近年はドラマや映画でも活躍。人気作品に数多く出演し、2013年には初主演作品『東京センチメンタル』が大きな話題となった。
2016年1月1日、一般女性と結婚(4回目のご結婚)2016年10月には、亡くなった蜷川幸雄さんの後を引き継ぎ、彩の国さいたま芸術劇場が主催する「彩の国シェイクスピア・シリーズ」の2代目芸術監督に就任。
2018年5月、東京・日生劇場にて上演される舞台『シラノ・ド・ベルジュラック』に出演。

『シラノ・ド・ベルジュラック』とは?
1897年にパリで初演され、1世紀を経た今も世界的に上演されるフランスの傑作戯曲。
剣豪にして詩人で権力に背を向ける熱血漢だが、自身の容姿に悩み、愛を告げられないシラノ、非の打ち所がないほどの麗しい才女ながらも愛の詩に酔いしれ、愛に突き進むロクサーヌ、姿はさわやかで美しくも、あふれる愛を言葉にできないクリスチャンの行く末を描く。

シラノ・ド・ベルジュラック役:吉田鋼太郎 ロクサーヌ役:黒木瞳
クリスチャン役:大野拓朗・白洲迅(ダブルキャスト)ド・ギッシュ伯爵:六角精児
*5月15日~30日まで、日生劇場で上演。チケット公表発売中。
http://hpot.jp/stage/cyrano

(2018年5月8日放送分より)

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