月齢経済報告~インフレ目標達成できなくても失業率低下で文句ない
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「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月20日放送)に高橋洋一(数量政策学者)が出演。茂木経済財政担当大臣が昨日提出した6月の月例計経済報告について解説した。
キーワードは「月例経済報告」
茂木経済財政担当大臣は昨日、6月の月例計経済報告を関係閣僚会議に提出した。景気全体の判断は緩やかに回復しているに据え置き、6ヶ月連続で同じ表現としている。
飯田)月例経済報告、景気に対する政府の公式判断を示す報告書であります。内閣府は毎月作成、経済財政担当大臣が関係閣僚会議に提出するというものです。足元の景気、そして見通しというところですが、高橋さん、緩やかに回復しているとのことです。
高橋)私が役人のときに年中見ていましたが、数値に基づいてのその表現というのは決まっているから、これ見ると大体のことは分かるので、便利な話ではあります。ただ、いろいろなものを合わせて見ているので、人によっては見ているところが違うとかいろいろなこと言う人はいますけどね。
飯田)俺の実感と違う、とかね。
高橋)感覚が違うというのは見ているところが違うというだけなので、だいたい企業の話と雇用の話を見ているのですけどね。あとは消費などを見ているのですが、間違いなく雇用は悪くないですよ。企業の業績も良いし、今の状況で見るとそこそこに悪くないから、これが「緩やかに回復」と言うことなのでしょう。
飯田)本格的に景気が上がっていくには、まだもうちょっとかかりそうですか?
高橋)本格的というのはすべての資料が良くなっちゃうんだけど、そうすると普通にそういう風に思うときはだいたい過熱です。だから、過熱まではいかないけれど、悪くはないなと雇用と企業業績を見ていると分かるんですよね。そこを見ていると悪くはないということなんじゃないですか。悪くないということはいいということですよ。
飯田)雇用の部分でいくと、失業率が一時期は3%の壁を越えられないという状況でした。
インフレ目標達成できなくても失業率が下がって賃金が上がることは文句ない
高橋)でしたが、いまは2パーセントの半ば、前半とかそういう感じでしょう。そうすると「NAIRU」という概念があって、下限の失業率なのですが、これに近いんですよ。だから賃金が上がっていくということです。ただし、今まで働かなかった人が急に働きたくなることもあるから、失業率はもうちょっと下がるかもしれないけど、もうかなりギリギリの下だから、賃金は多分上がるだろうと予測したんだけど、それも多分間違ってないでしょう、今のところはね。賃金が上がってくると、物価ももうちょっとすると上がる可能性がある。ただね、当面1、2年は上がらないなという気もしますけどね。インフレ目標はその代わり達成できない、と言うかもしれませんが、インフレ目標達成できなくても失業率が下がっていけば文句ないんですよ。
飯田)確かにね、失業率は下がって賃金は上がりつつある。でも物価は変わらない。
高橋)一番いい。
飯田)そうですね。
高橋)だから良い話なのですよ。インフレ目標達成しないでけしからんという人がいますが、それは逆に達成しなくても良かったんじゃないのって言うことも言えるんです。
そういうもので、失業率を下げる為に金融緩和しすぎて経済が過熱しちゃうと、実はこれ失業率は下がらないで物価だけ上がるとまずいというのでインフレ目標がある。だから物価が上がらないんだったらいいということですよ。
飯田)金融緩和の副作用ってインフレだと言われていたから、副作用が無くて薬が効いているんだったら、良いということですよね。
高橋)それで最近は日銀が国債買うから国債が品不足になっている。品不足を批判する人がいますが、品不足で、国債は暴落しないし、けっこうなことだとしか言いようがないですよ。
飯田)品不足であるのだったら、もっと国債出せばいいと思いますけどね。
高橋)はっきり言えばそうですよ。品不足というのはマーケットから見て国債が少ないというメッセージなんですよね。催促してるんだから、どんどん国債出せば良いんじゃないのと私なんかは思いますけど。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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