米兵遺骨返還協議に北朝鮮が欠席~いまも続く揺さぶり交渉
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月13日放送)に外交評論家の宮家邦彦が出演。北朝鮮の揺さぶりと、米露首脳会談について解説した。
米朝首脳会談から1カ月~遺骨返還協議に北朝鮮が欠席
1950年から1953年までの朝鮮半島で捕虜、行方不明となったアメリカ兵の遺骨の返還に関する問題で、板門店で12日に予定されていたアメリカと北朝鮮の実務協議は北朝鮮側が出席せず、実現しなかったことがわかった。韓国政府関係者によると、北朝鮮はその後15日に将官級の協議を開くことをアメリカに提案したようだが、非核化に伴う段階的保証をアメリカから引き出すための北朝鮮による揺さぶりとみられている。
飯田)米朝首脳会談があって、文書の交換がありました。そこで最もやりやすそうだったのが、この遺骨です。
宮家)一番中身があったのはこれなのに、これすらやらないということはどういうことなのかよく考えてごらんということですね。揺さぶりと言うけれどもこれも古い手で、こんなもので騙されないでしょう。北朝鮮がどれだけ本気でやっているのかを表す1つのバロメーターだと思います。
飯田)どこまでの本気度かというと、ポンペオさんと金英哲さんが会談して出された文書、日本では、アメリカの非核化要求はギャングスター(強盗)と報道されていました。
宮家)トランプさんの首脳会談は最も高いレベルの会談だからとやかく言えない。でもポンペオさんは実質的なこと、言いたいことを言わなければいけないですよね。それは北朝鮮にとって聞きたくないことがいっぱいあるでしょうが、それをギャングスターと言われたら交渉になりません。これも揺さぶりですが、冷静に見ていればいいと思います。
飯田)さきほどTwitterで、非核化がダメだとなったらいつ決断するんだということで、「中間選挙の後だ」とありましたが、そこまでだってまだかなり時間がありますよね。
宮家)トランプさんは交渉の達人ではなく興行の達人ですので。しかし4カ月もあるのにどうやって持たせるのでしょう? もうタネは尽きちゃったと思うのですが。手品師が、タネが尽きたのにどうやってステージを維持するのでしょうね。
飯田)噂されているのが、9月の国連総会で会うのではないかと。
宮家)それはあるかもしれません。だけど中身が詰まっているかというのはまた別の話です。
非核化とは言っても、具体的な期日は明記されていない
飯田)メールも頂いています。「てっちゃん」さん、川崎市中原区の方「宮家さんにお伺いしたいのが、外交は文書と言われていますが、非核化を進めるには具体的に期日を明示するなどしないと効果はないのではないでしょうか? また、16日米露首脳会談があります。影響があるんじゃないでしょうか。強かなロシア・プーチン大統領が、アメリカ・トランプ大統領から制裁解除などの有利な情報を引き出そうと考えていますよね」といただきました。
宮家)外交は文書というのはその通りで、書かれていないことが問題なのです。今回の非核化についても「朝鮮半島の完全な非核化」としか言っていないので、「北朝鮮の非核化」とは一言も言っていない。あとは解釈の問題になるけれど、書いていないとだめですよ。本来であればちゃんとした期日をつけなければいけないのだけど、アメリカはそれができなかったのですよ。その時点で相当後退しているのだけど、ロシアとの関係にどれくらい影響があるのか。
さすがのアメリカも、ウクライナで暴れてクリミアを取ったのを見過ごすわけにはいかないでしょう。トランプさんだって国内の反発につながるから、そこまでは踏み切れない。会わなきゃいけないからやるけど、具体的な進展はないと思います。
飯田)それこそ、首脳会談をすること自体が目的であると?
宮家)それはそれでいいのです。ロシアとアメリカの関係が悪くなっても困るので、定期的に会って意見が違うと確認するだけでも意味があると思います。成果がなくても仕方ないと思いますよ、あれだけ対立しているのですから。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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