ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」（8月20日放送）ジャーナリストの須田慎一郎が出演。沖縄県知事選と翁長知事の後継者指名について解説した。

衆院議院運営委員会で、天皇陛下の譲位を可能にする特例法案について質問する自由党の玉城デニー幹事長＝2017年6月1日午後、国会・衆院第1委員室　写真提供：産経新聞社

翁長知事の後継指名～金秀グループの呉屋守将会長と自由党の玉城デニー衆院議員

9月30日投開票の沖縄県知事選をめぐり、今月8日に死去した翁長雄志知事が、自身の後継者として、県内建設大手「金秀」グループの呉屋守将会長と、自由党幹事長の玉城デニー衆院議員の2人を音声データで指名していたことが判明した。これを受けて翁長知事の支持母体オール沖縄は、玉城デニー議員を擁立する方針を固めたようだ。

飯田）一報が週末に報じられて、2人とも最初は出馬を固辞していましたが、1日経って玉城デニー議員は考えを変えたのか、「前向きに検討する」と伝えられています。死去から10日が経過して「音声データが見つかった！」は、なかなか驚きですよね。

須田）その意味ではオール沖縄も、辺野古基地推進派、言ってみれば自公側もいきなり選挙になってしまったから、候補者一本化、あるいは調整でてんてこ舞いの状態になっているのだと思います。
ただ、オール沖縄も盤石と見られている経緯は多いのですが、一方で市長選挙では負け続きなところもある。今回の県知事選挙に関しても、仮に翁長知事が出ても100パーセント勝てる状態ではなかったのですよ。言ってみれば、オール沖縄サイドも、怒られてしまうかもしれませんが、「絶対に辺野古基地移設に反対！」とする過激派と、「もう少し協議して、話し合ってもいいのではないか」とする穏健派の間で溝があったとも聞いています。

飯田）路線対立があった、ということですね。

須田）そういう点で言うと、デニーさんに、強硬派に一本化されたのかなと思います。オール沖縄が全体でまとまれるかどうかが、1つの大きなポイントとなっていくのではないかな。
とはいえ、翁長知事の後継指名された候補ですから、そこは値千金だろうと思います。

歌手の安室奈美恵さんの出馬も噂されていた

須田）ちなみに、噂された人も何人かいました。1人、最有力候補と言われていたのは安室奈美恵さんです。その場合は自公候補は確実に勝てないだろうと言われていました。

飯田）いち早く、翁長さんが亡くなられたときにも弔意を示していたし、確かにそんな話もありましたね。

須田）ですが、引退までまだ1カ月ある、ということで、自らの仕事との兼ね合いもあり、なかなか声を掛けにくかったのかなと思います。
では、今回の選挙戦はどうなるか。私が見たところ、五分五分というか、かなりいい勝負になると思います。

注目ポイントは公明党がどこまで本気で選挙戦を展開するか

飯田）保守は、いままで普天間のある宜野湾市元市長をやられていた佐喜眞淳さん。そして、沖縄の観光コンベンションビューローの会長をされていた安里繁信さん。この2人が分裂選挙になると言われていましたが、安里さんの方が、19日に出馬の辞退を宣言して、一本化されています。

須田）注目しているのは、公明党がどこまで本気になって選挙戦を展開するのかです。公明党最大の支持母体である創価学会の力は沖縄でも強いですから。そこは本気になって、今回の選挙戦に取り組むかどうか。そこがいちばん大きな注目ポイントだと思います。

飯田）特に婦人部の組織力が沖縄は相当強いと言われていますからね。その辺、いま路線対立の話が出ましたが、オール沖縄の方も2人後継に上げられたうちの、金秀グループの呉屋さん。財界の方のオール沖縄に入っている人たちというのは、翁長さんが亡くなる前に、すでに外に1度出ているのですよね。

須田）だから、「事実上はもうオール沖縄と言えないのでは？」という指摘もあるのです。

飯田）いままでは保守も包摂した形だから「オール沖縄」だったけれど、ある意味で左派の方に寄り、保守側の人たちが外に出てしまったのではないか、と。この人たちがどちらに付くか、みたいな話になりますか？

須田）出た人たちは、だからと言って推進派側に付くわけにいかないから、自主投票に近い形になると見ています。

飯田浩司のOK! Cozy up！
FM93AM1242ニッポン放送　月-金　6:00-8:00