仲井戸麗市×のん 対談 PART2
女優・創作あーちすととして活動中の、のんが率いるガールズバンド、のんシガレッツ。現在、4都市を巡る『スーパーヒーローズ・ツアー のん 参上!!』で初の全国ツアー中の彼女が、ツアー最終公演として、9月30日に東京・日比谷野外大音楽堂で『のん with SUPERHEROES』を開催する。敬愛してやまない“スーパーヒーローズ”、仲井戸麗市BANDを迎えて、野音で初共演する。
RCサクセションの名曲「I LIKE YOU」のカバーで出会ったのんと仲井戸麗市。公開中の【対談前半】に続いて、後半では忌野清志郎への思いが込められた矢野顕子・作の「わたしはベイベー」で再び共演した二人のエピソードや、高校時代、ギター、バンド、ロックの聖地・日比谷野音について語る。
内にこもってギターを弾いていた頃
のん:私はCHABOさんや清志郎さんの音楽を観たり聴いたりすると、自分の世代とは違う桁外れのパワーに撃ち抜かれるような衝撃を感じるんです。
仲井戸:でも、のんちゃんと同世代でもパワーのあるヤツは勿論いるよね。オレはやっぱり、のんちゃんが自分で歌詞や曲をつくっていることにイエーッって思う。
のん:先輩方に憧れて自分の思っていることを正直に書いて、歌おうと思ったんです。
仲井戸:のんちゃんの世代が昔の音源を聴いてどう感じるのかは興味深いね。今は昔の映像も手軽に観られるから、清志郎のパフォーマンスを観て、「このヒト、なんでこんな派手な化粧をして飛び回っているんだろう?」と思ったりしなかった?(笑)
のん:自由奔放で憧れます。カッコイイと思います。
仲井戸:音楽っていちばん時間や時代なんかを飛び越えやすいのかもしれないね。理屈じゃないんだろうな。「なんだろう、このパワーは?」って本質をキャッチする能力がたぶん大事なのかもね。
ーー仲井戸さんがのんさんの齢の頃はどんな感じだったんですか?
仲井戸:オレの20代? とんでもない小僧(笑)。内にこもっちゃう子だったし、こんな風にしゃべることなんて全然出来なかった。横に清志郎くんはいたんだけどね。
のん:私も高校時代は内にこもりがちで、家でギターばかり弾いていました。
仲井戸:なんだ! オレと同じじゃないか? イエィ!(笑)
のん:高校で東京に来てからは部屋で一人で過ごすことが多かったんです。ギターは中1から始めて、バンドもやっていたんです。
のんは根っからのバンド・ガール
ーーのんさんは中学時代に地元で友だちとバンドを結成し、GO!GO!7188のコピーに励んでいたそうですね。
のん:地元に子供たちに楽器を貸して教えてくれる役場のおじさんたちがいたんです。それでギターを習って、どんどん楽しくなって。
仲井戸:イエーッ!見所のあるオヤジたちじゃん?(笑)。
のん:ギターを教えてくれたマサヤンとテッチャンには感謝しています。
仲井戸:マサヤンとテッチャンか。いいね(笑)。
のん:良い環境に恵まれたと思います。
仲井戸:(高橋)幸宏くんや(鈴木)慶一くんとかも驚いたみたいだけど、オレものんちゃんのギターにはびっくりしたんだ。最初は失礼ながら、ちょっと弾ける程度だと思っていたんだけど、まず構えがいいし、カッティングいかしてる。なるほど、そっかそんなオヤジ達に習ったんだな、サマになっているわけだ。
のん:やったぁ!
仲井戸:オレなんかが中学の頃はとにかくビートルズだ、ストーンズだって時代だったけど、今は音楽だけじゃなくていろいろ選択肢が沢山あるじゃない? その中からギターを選んだのは?
のん:おじさんたちが親切に教えてくれたというのはありますね。それが楽しくて毎日のように通っていました。
仲井戸:何かがフィットしたんだろうね。ギターに触って、ちょっと難しいコードで挫折する子だって沢山いるしね。
のん:一生懸命練習しました。勉強より楽しかったし。
仲井戸:それは数学の因数分解が解けたときの喜びとはまったく別の喜びだもんね。(笑)。因数分解 解けないけどさ(笑)。
のん:それに中学でバンドをやった楽しさがずっと忘れられなかったんです。
仲井戸:そっか、そうなんだ。根っからのバンド・ガールなんだね。のんちゃんは、そもそもずーっと音楽が、ロックがあったんだな、イエーッ!
音楽で自由に表現する楽しさ
仲井戸:歌詞は前からノートに書いたりしていたの?
のん:のんになってからですね。自分で自由に歌詞や曲を書いて表現してもいいんだって思ったのは。CHABOさんはいつから書きはじめたんですか?
仲井戸:オレは内にこもる子だったから、ノートに自分の思いをぶつけて発散していた感じだったかな。たぶん、清志郎もそうじゃないかな?
のん:そういうノートって残っているんですか?
仲井戸:残っているものもあるよ。「あの先公、ふざけんな!」とか(笑)「電車であの娘を見かけた」とか、そんな他愛のないものばっかだけど。
のん:素敵です! 見てみたい!
ーーのんさんが好きなRCの曲は、「ドカドカうるさいR&Rバンド」や「Sweet Soul Music」、アルバムなら『OK』とか。
仲井戸:ワォーツ、色々聴いてくれたんだね。嬉しいなぁ。
のん:〈ドカドカ〉とかどういう言葉の使い方も好きなんです。だから、曲もRCみたいにバンドでやって楽しい感じにしたかったんです。
野音でしか聴けない音、見られない景色
ーー9月30日には東京・日比谷野外大音楽堂で仲井戸麗市BANDとのんシガレッツのライブが開催されます。お二人がどんな曲を歌うのか楽しみですが?
仲井戸:じゃあ、50曲くらいやるか?(笑)。
のん:去年のCHABOさんの野音のライブはカッコヨカッタです! お客さんがみんな「CHABO!」って呼んでいて、雰囲気がすごく良くて。私、ライブ観た後、CHABOさんのギターの弾き方を真似していたんです。
仲井戸:イエーッ!じゃぁ、野音でもやってよ。
のん:ひゃー! 私は初めての野音なので、緊張してしまいそう。
仲井戸:のんちゃんのバンドのライブはDVDでチェックしたけど、とても良かったよ。生で音を浴びるのが楽しみだね。
のん:9月に初めて五大都市ツアーをやるので、そこでパワーを蓄えて野音のステージに立ちたいと思っています。
仲井戸:ツアーで勢いついているだろうから、リードされちゃうかもしれないな。バンドはツアーでこそどんどん進化していくからね。
のん:ホントですか? 頑張らなきゃ。
ーー仲井戸さんはRC時代から野音で何度もステージを重ね、ライヴ・アルバム『the TEARS OF a CLOWN』『コブラの悩み』、CHABO BANDでもリリースされていますね。
仲井戸:そうだね。野音には沢山の思い出があるし、オレ達に限らず日本のロックにとってはある種の聖地だよね。のんちゃんは、晴れオンナ? 雨オンナ?
のん:晴れオンナです!
仲井戸:オレも晴れオトコ。イェイ! 雨だとミュージシャンは屋根やスタッフに守られているからまだしも、お客さんが大変だよね。でも、そのマイナス要因がプラスに転じるようなドラマが野外って起きたりする。野音しかりね。
のん:ドキドキです。野音はお客さんも自由に楽しめる空気がありますね。
仲井戸:そうだね。東京の街中のど真ん中にあるのに、あの独特の空気感は昔から変わらないし、特別な場所なんだよね。
ーー最後に『のん with SUPERHEROES』へのお二人の意気込みを。
仲井戸:お客さんはどんなライブになるんだろうと色々想像を膨らませていると思うんだ。せっかくの機会だから、のんちゃんとコラボすることは考えたいし、清志郎にまつわる曲もやれたらといいね。
のん:はい! 私は“スーパーヒーロー”のCHABOさんと同じステージに立たせてもらえることがとにかく嬉しくて、できればCHABOさんと二人きりのコラボも何かできれば…なんて。
仲井戸:プレッシャー(笑)。練習しておくぞ(笑)。野音に来てくれるお客さんにはその日、その時にしか聴けない音、見られない景色を体験してもらいたいね、特別な一日をね。
のん:楽しみにしています。宜しくお願いします!
インタビュー・文 佐野郷子
写真 平間至
【公演概要】
タイトル:のん with SUPERHEROES
日時:2018年9月30日(日)16:00開場/16:45開演
会場:日比谷野外大音楽堂 ※雨天決行・荒天中止
出演:のんシガレッツ (のん(Gt,Vo)岩崎なおみ(Ba)・若森さちこ(Dr)・ひぐちけい(Gt))
/仲井戸麗市BAND(仲井戸麗市(Vo.G)早川岳晴(Ba)・河村"カースケ"智康(Dr)・細海魚(Key)前田サラ(Sax)
チケット:各プレイガイドで発売中
全席指定6,500円(税込)※未就学児童入場不可
HP:http://event.1242.com/special/nws/