決勝トーナメントに出て、2強を倒せば、日本一に近づく訳ですから –豊田自動織機・横野 涼選手-

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決勝トーナメントに出て、2強を倒せば、日本一に近づく訳ですから –豊田自動織機・横野 涼選手-
最終節まで順位が確定しない程、今年の女子ソフトボール・リーグ戦は大混戦。
この原稿を書いている第9節終了時点で、ビックカメラ高崎、トヨタ自動車、豊田自動織機の3チームが決勝トーナメントへの進出を決めているものの、1位を争うビックカメラ高崎とトヨタ自動車は、18勝2敗で並んだまま最終第10節に突入。

その2チームに続く3位には、豊田自動織機がつけているものの、条件次第では4位に転落。そして、決勝トーナメントに進出できる4位には、太陽誘電、SGホールディングス、デンソーなど、他力での進出も含めると、頭がパンクしそうな位、順位の想定ができます。

そんななか、この混戦を戦う、豊田自動織機の横野涼キャプテンに話を聞きました。
(10/10にインタビューを行った為、現在の成績と違う場合があります。)

決勝トーナメントに出て、2強を倒せば、日本一に近づく訳ですから –豊田自動織機・横野 涼選手-

豊田自動織機シャイニングベガ 背番号10 横野 涼(よこの りょう)

1990.8.25年生まれ 身長168cm 右投左打 キャプテン

昨年の豊田自動織機は、2011年まで指揮を執っていた永吉慎一(ながよし しんいち)監督が、再び監督に就任。リーグ戦4位に入り、2年ぶりに決勝トーナメントに進出しました。決勝トーナメントでは1回戦で3位の太陽誘電に敗れ、4位に終わりましたが、以前指揮を執っていた永吉監督だけに、選手とコミュニケーションをとる事にも時間がかからず、今年は更なる上位進出が期待されました。

しかし開幕節でトヨタ自動車に【0対4】の完封負けを喫すると、日立にも【1対4】で敗れ連敗、3試合目となるSGホールディングス戦で【2対0】で初勝利をあげますが、連勝は続かず、前半戦を5勝6敗の借金1で折り返します。
しかし、後半戦に入ると連勝が続き、8勝1敗(第9節終了時)の好成績。決勝トーナメント進出を争う戸田中央総合病院、太陽誘電などのライバルも破って3位に浮上しました。


■後半戦は、楽に投げさせてあげられている…

- 8節で戸田中央総合病院を破って3位に浮上しましたが、チームはどんな雰囲気ですか?

「もちろん、連勝が続いているという事で、ムード自体は良いんですけど、気がしまるというか、いい意味で緊張感がある感じのいいムードだなと感じています」

- 戸田中央総合病院戦は3位を争う重要な試合になりましたが、この試合に向けて、どう集中していったんですか?

「私達は日本一を目指しているチームなので、そこに行くためにはやっぱり決勝トーナメントに進出しなければいけないんですけど、戸田さん(戸田中央総合病院)とは、総合(全日本総合女子選手権)でも負けていて、リーグ戦の前半戦でも負けている中での直接対決という事で、本当にここを落としてしまえば日本一も無くなるし、決勝トーナメントにも進めないというような、そんな気持ちで、本当にここに全てをかける想いで全員が取り組んでいました」

- 前半戦を5勝6敗の借金1という成績で折り返して、後半戦は、ここまで6勝1敗(第8節終了時)と好調ですが、好調の原因は?

「そうですね。第7節のトヨタ戦では、10失点と大量失点にでしたが、それ以外の試合を最少失点に抑えられているのは、投手陣が何とか踏ん張ってくれているからだと思います。
そのなかで、試合の序盤に先に点数を取る。1点でも取るという気持ちがあって、そこで点が取れているし、その強い気持ちの流れで守備に入れているのがいいのだと思います。
後半戦にむけては、前半戦の反省点を活かして、1点でもとるというような気持ちを持ち続けているのが大きいかなと思います。そしてその結果、バッテリーを楽に投げさせてあげられているというのも、前半戦とは違う事かなと思っています」

- 今年は、シーズンに入るときの目標は?

「本当は、なんとかリーグ戦を1位か2位で通過して、という目標を掲げてやってきたんですけど、前半戦はなかなか勝つ事が出来なくて、(8節終了時で)このまま全勝をしても、ビックカメラ高崎とトヨタ自動車には追い付けないので…」

- 開幕2連敗、その後もなかなか調子が上がらず、大きな連勝が出来なくて…ということだと思うのですが、そのときのチームの雰囲気はどんな感じでしたか?

「もちろん、良い雰囲気か? と言われたら違うんですけど、そんなに悪い雰囲気でもなくて、《負けていた》という理由、原因だったりを、みんながちゃんと逃げずに考えていたり、もっとこうしなければという気持ちを持っていたので、それがいまに繋がっているのではないかと思います」

決勝トーナメントに出て、2強を倒せば、日本一に近づく訳ですから –豊田自動織機・横野 涼選手-
■試合の8割9割をピッチャーが決めてしまうと…

- 今年は3位以下が大混戦になっていますが、どうしてここまで混戦になっていると思いますか?

「どこのチームも日本人、外国人ピッチャーが良くて、特に調子の良いピッチャーだったり、新人ピッチャーが良かったりという事で、なかなか打ち崩す事が出来なかった。というのが全体を見て、個人的に思うんですけど…。
やっぱりソフトボールは、試合の8割9割をピッチャーが決めてしまうとよく言われるんですけど、ピッチャーが良くなってきているのが、この混戦になっているんだろうと思います」

- 残り4試合ですが、どう闘って行きますか?
(インタビューは、8節終了時に行いました。)

「今まで以上に連勝を重ねて行かないといけないんですけど、本当に気を引き締めてやっていかないと足元をすくわれると思うし、来週末にある太陽誘電戦、伊予銀行戦が凄く大事なモノになるし、決勝トーナメントにもつなげて行かないといけない試合でもあるし、もっとプレッシャーもかかってくると思うんですけど、相手も捨て身で戦って来ているので、こっちも挑戦者という気持ちを忘れずに、常に強い気持ちで、全員で戦って行きたいなと思います」

- ビックカメラ高崎とトヨタ自動車の上位2チームとは、差がついてしまっていますが。

「今年だけでは無くて、ここ数年ずっと、ビックカメラ高崎とトヨタ自動車が2強と言われていますが、ただリーグ戦というのは長く続くシーズンで、連勝が続けば自分達にも望みはあると思うし、今年は無理だったとしても、その差は詰めていかないといけない課題だと思います。優勝をするという事では、チームのみんなが同じ想いだと思うので。そこをどう詰めて行くか、という部分はこれからの課題なんですけど。
ただ、今年は決勝トーナメントに出て、その2強を倒せば日本一に近づく訳ですから、そこまで難しく考えてはいません」

決勝トーナメントに出て、2強を倒せば、日本一に近づく訳ですから –豊田自動織機・横野 涼選手-
■キャプテンになったら…

- 個人的な調子はどうですか?

「打撃面でも、もうちょっと長打を打てるようにと考えてやっていたんですけど、実際、打順は下位打線、6・7・8番での出場が多いのですが、なかなか自分自身の結果が出ていないというのは…負けている試合を振り返っても、自分が打てないからというのがあったと思いますし、最低限の事が出来る、調子がよい、悪い関係なく、常に最低限の事はしようと意識してやっています。
あと、打線の上位の調子が良いときは、やっぱり打線下位から作れるように! という意識がありますし、打線上位の調子が悪いときには、下位でなんとかチャンスを作れるように、と思っているんですけど…。
どっちの役目もあると思うので、そういった所で役割を…あと4試合なんですけど、果たせる事が出来るようにしていきたいと思います。
自分がいつも思うのは、自分が結果を出して、チームが勝てたときの喜びは凄く大きいのですが、特にキャプテンになってからはチームが勝つ事がいちばん大事だと思っているし、もちろん、自分が結果を出して勝つというのが良いですけど。まあ、しっかりその場その場で役割を果たせられるように、もうちょっと打席で自分らしさ、勝負強さが自分の魅力だと思うので、それを見せられるように、もう少し楽に自分のスイングをしていけたらと思っています」

- 今年からキャプテンに就任しましたが、プレッシャーはどうですか?

「それはありますよ、やっぱり(笑)。
ただ、キャプテンを自分1人で務め切るのは無理だと思うので、チームのみんなと協力をしながらやっていっています。
キャプテンになったら、勝てばいままで以上に嬉しさもあるし、負ければ、何でだろうという事をとことん突き詰めて考えるので、自分にとっては凄くいい経験になっていると思います。
いま、特にチームが良い状態でいるので、このままチームを引っ張って行けるように頑張って行きたいなぁと思っています」

- キャプテンになるときに、監督からは何か言われましたか?

「そうですね。キャプテンを頼まれたときに、『自分なりにやっていいよ』と言われているので、その辺は監督と相談しつつ、自分が出来るチーム作りを心掛けています」

- 豊田自動織機の監督は、男性の永吉慎一さんですが、男性・女性で何か違いを感じたりしますか?

「んーー、特にないですね。男女問わず、その人その人の想いとか、性格もあることなので、その辺は感じません。
でも末永監督に関しては、私が豊田自動織機に入団したときにコーチをやっていたので、どういう人かわかっていますし、しっかりコミュニケーションもとれていると思います。末永監督のやりたい野球も知っていますし」

決勝トーナメントに出て、2強を倒せば、日本一に近づく訳ですから –豊田自動織機・横野 涼選手-
■友達に誘われて、軽い気持ちで…

- 横野選手がソフトボールを始めたキッカケはなんですか?

「小学校2年生からずっとやっているんですけど、他の選手もそうだと思うんですけど、友達に誘われて、軽い気持ちで始まっているというか、そこからずっと続いています」

-最初からソフトボールなんですか?

「そうですね。近くにクラブチームがあって、そこは男女混合チームなんですけど、私の仲の良い友人も入っていて、その子と遊びたいという理由で入りました(笑)」

-ポジションはどこをやっていたのですか?

「最初は外野で…砂に絵を書いていたり、練習もせず。打席に入ったらホームベースの真ん中に立つような、そんな感じの子でした。唯々、その子と遊びたかっただけで(苦笑)」

-その砂に絵を書く子が、ソフトボールに集中し出したのはいつ頃ですか?

「小学校のときはそのクラブチームでやっていて、進んだ中学校にソフトボール部があったので、『続けようかな?』という軽い感じで続けたら、いろいろ刺激をもらって、そこから本格的にソフトボールを始めた感じです」

-2020年に東京オリンピックがありますが、オリンピックに出たい! という気持ちは?

「いや、個人的には全く(苦笑)…オリンピックを狙っていないというか、それよりも《チームで優勝したい》という気持ちの方が強いので。
ただ、私が出る出ないという事ではなく、東京オリンピックを盛り上げて行けたらいいなと、日本中が盛り上がって、いろいろな人にソフトボールの魅力を伝えたいな! というのは凄く思っていますし、意識はしています」

-試合をしていて、注目が上がっているな、とか感じますか?

「凄く感じます。子供たちが見に来てくれたり、どこの会場に言っても【2020】という言葉が聞こえてくるので、『本当にソフトボールで金メダルを獲らなければいけないんだな』と感じます」

- このインタビューを聞いて、ソフトボール、豊田自動織機に興味を持った人へメッセージを。

「いつも応援ありがとうございます。この放送を聞いている方が、少しでも『試合を見てみたいな』とか、ソフトボールに興味を持って頂けたら嬉しいです。
私達もいろいろな人のおかげで、良い環境のなかでソフトボールが出来る事に感謝をして、日本一を目指して頑張っています。
私達、豊田自動織機は、皆さんに良い試合だったり、私達が勝った姿をみて何か少しでも元気になったり、感動をしてもらえるようなチームを目指しています。ぜひ機会があれば会場に来て、試合を見て頂ければと思います。そして、選手にあったときは、ぜひ声をかけてください。選手も快く対応しますし、嬉しく思っていますので、よろしくお願いします」

- 《こぼれ話》豊田自動織機(刈谷市)のある愛知県には、トヨタ自動車(豊田市)やデンソー(安城市)と、強豪が、それも近くに3チーム集まっていますが、街中で他のチームの選手とばったり出会ったりとかしますか? そのとき、順位を争っているときなど、目線バチバチとかなるのですか?

「買い物に行った先で、たまたま出会うとかありますよ。街中で見つけたら『あー!』と手を振ったり。ただ、目線バチバチとかはありませんよ(笑)。
ソフトボールは、日本代表を見てもらってもわかる通り、試合がないときは仲が良いですよ。他のチームの選手とも遊ぶときはありますし、もちろん、試合のときは変わりますけど」

決勝トーナメントに出て、2強を倒せば、日本一に近づく訳ですから –豊田自動織機・横野 涼選手-
*写真はチームからお借りしました。

豊田自動織機シャイニングベガ  https://sports.toyota-shokki.co.jp/ 
日本女子ソフトボールリーグ機構 http://jsl-women.com/ 
チケット購入方法 http://jsl-women.com/static_pages/view/ticket/ 
公益財団法人日本ソフトボール協会 http://www.softball.or.jp/ 

■ニッポン放送女子ソフトボール情報
放送番組が変わりました。
毎週日曜日17:30~有楽町930ステーション内で放送
*17:30~17:39内で放送。また、プロ野球中継(クライマックスシリーズ・日本シリーズ)内での放送になる場合もあります。

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(よこいみちひと)

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