安倍総理が我慢しても中国と付き合い続ける理由

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月25日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。安倍総理が総理就任以前から一貫して中国に示していたスタイルを解説した。

安倍総理がきょう訪中~習近平国家主席と李克強首相と明日会談

安倍総理大臣はきょうから中国を訪問。明日、習近平国家主席と李克強首相と、それぞれ北京市内で会談する。総理は北朝鮮の非核化に向けた連携を確認するとともに、中国向けの政府開発援助である対中ODAの終了を伝達し、日中関係を新たな段階に押し上げたい考えだ。

飯田)国際会議などを除いて、7年ぶりの総理訪中ですね。いろいろ特集記事も出ていますが、何がポイントですか?

鈴木)政権が長いと外交で有利です。この間総裁選でも「外交で成果を上げている」がアピールポイントでしたよね。

安倍外交~注目すべきは日中関係に対する一貫した姿勢

鈴木)安倍外交の話題と言うと、多くの人はトランプさんとプーチンさんを思い浮かべますよね。
しかし、私は「安倍さんの外交を1つ上げろ」と言われたら、地味なのですが日中外交です。安倍さんが総理になる前に、保守をテーマにしたインタビューを1時間ほど行ったことがあります。「憲法改正をやりたい」とか、だいたい話の想像が付いていました。
ところが、1つだけ意外だったのが、日中関係でした。これを聞いたときに安倍さんは「私は思想家ではない。政治家だ」と言ったのです。「思想的に言えば、安倍さんにとって中国は受け入れられないかもしれないが、政治家だから、中国とどう付き合うべきか、ちゃんと考えて対応する」ということです。「互恵関係ではないけれど、お互い経済では絶対に協力した方がいいからキッチリやる。一方、安全保障に関してはきちんと言うべきことは言う。つまり、対話と圧力ではないですが、きっちり言うべきときは言う。こういう現実対応をして行く」と言ったのですよ。私は驚きました。けっこう厳しいことを言うと思ったら「思想家ではなく政治家」と言われ、実際に第2次安倍政権になって、実行しています。

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中国共産党中央対外連絡部の宋濤部長(左)の表敬を受け、握手する安倍晋三首相=2018年10月11日、首相官邸 写真提供:時事通信

今回の訪中は6年間の我慢の成果

鈴木)安倍さんの支持者には「なぜ、中国にもっと厳しくやらないのか」と言う人がけっこういますが、そこをずっと我慢して、常に対話のチャンネルを持ち、尖閣などはきちんと「言うべきことを言い、対応すべきはする」でやってきた。おそらく約6年、一貫して変わらず我慢してきたと思います。そのなかで中国の習近平体制がさらに強化され、裏もあると思いますが、本格的に経済も含めて、外に出て行きたい。日本が態度を変えずにずっと我慢していたから、中国が逆に寄って来ている状況を作り出せたのです。
だから、絵面的にはトランプさんやプーチンさんと会っている方が派手だけれど、それよりも評価をするとすれば「我慢してきた日中関係」です。だから、6年間ずっと我慢してきた延長上に、今回の中国訪問がある。そういう捉え方で中身を見ていくと、また違った見方ができると思います。

飯田)向こうが寄って来たけれど、さほど対応は変えずに、いままで通りですか?

鈴木)本当にこれまで変えていませんからね。それで行くと、安倍さんが総理就任前に言っていた、互恵関係になりますね。安全保障に関してはこれからもいろいろあると思いますが、少なくとも階段を1歩上がれる感じになると思います。

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