米中問題~偶発的な衝突を避けるために中国に必要なこと

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ニッポン放送の「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月19日放送)に外交評論家の宮家邦彦が出演。米中国防相会談の報道を受け、今後の米中関係について解説した。

米中国防相会談

アメリカのマティス国防長官は18日、訪問先のシンガポールで、中国の副首相級の国務委員を兼ねる魏鳳和国防部長と会談した。貿易問題を巡る米中対立が安全保障分野にも波及し、南シナ海では最近、中国の駆逐艦がアメリカのイージス艦に異常接近する事案も起きている。

飯田)アメリカ国防総省の幹部は、偶発的衝突の懸念が高まるなかで、中国側が事態の正常化と安定を模索している、という見方を示しております。笑顔無し、言葉も交わさない握手だったそうですが。

宮家)当然でしょうね。マティスさんにしてみれば、面白くなかったと思います。国防部長、副首相級と言いますが、この人と話しても意味がない。中国の人民解放軍というのは中華人民共和国の軍隊ではないのです。何だと思います?

飯田)えっ。

宮家)中国共産党の軍隊なんです。

飯田)党の軍隊。

宮家)党の軍隊です。なぜそれに国防相がいるのかよく分かりませんが。その意味では党のなかに中央軍事委員会があって、そのトップは習近平さんです。その他に確か2人ぐらい副委員長がいて、軍人がいるわけです。そのなかの国防部長というのは、下の方なのです。ですからこの人と話しても仕方がない。

アメリカとの冷戦となるのであれば、中国には「衝突しないための真面目な対応」が必要

宮家)最大の問題は、いま始まったことではないですが、この数年、中国が南シナ海の岩を…岩をですよ、島じゃないですよ。岩を埋め立てて人工島を作ったわけです。国際法上によれば、岩をどんなに埋め立てても島にはならない。島であれば領海領空が生ずるけれど、岩には領海と領空は無いですから。人工島で3,000メーター級の滑走路を作っても、それはただの岩です。
だけどそれを守るために、アメリカの方は航行の自由作戦と言って、近くを飛んで来る。それに対して中国の対応が非常に危ない。日本も昔やられましたが、レーザーを照射されたりした。レーザー照射されるということは、「次撃つぞ」という意味ですから。でも、何十フィートというものすごく近いところまで接近したでしょう? 上から見たらもうほとんどぶつかりそうではないですか。あんなこと、海の上では有り得ないですよ。
アメリカとしては、偶発的なことで中国とどんぱちやろうなんて気は、全く無いですから。とにかくホットラインを作り、国際的なルールをちゃんと知らせて、こんな風に近づいたら敵対行為だから今度は撃つよと。言うかどうかは別としてね。飛行機でも船でもルールがあるわけです。そのルールを末端までちゃんと知ってもらわないといけない。
米ソ冷戦時代にも、同じような形で偶発的な衝突を避けるためにとにかく話し合いをして、ルールをお互いに確認した。「これ以上やったらアウトよ」という点を理解した上で、米ソの衝突を避けてきたわけです。同じことを中国は本気でやらなくてはならない。それにしては真面目じゃないよね、中国の対応は。

飯田)もう少し上のクラスを出して来ないと話が進まない。

宮家)残念ながら当分、このような状況が続くのではないですか。

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