日産労働者の心を掴めなかったゴーン会長が解任へ
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月23日放送)に外交評論家・キャノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。日産の会長、カルロス・ゴーン氏の解任について解説した。
日産の臨時取締役会がゴーン会長の解任を決議
日産自動車は昨日、臨時の取締役会を開き、金融商品取引法違反の疑いで逮捕されたカルロス・ゴーン容疑者の会長解任を全会一致で決めた。また、ゴーン容疑者の側近で、不正に深く関与したとされるグレッグ・ケリー容疑者の代表取締役の職も解任している。
ゴーン氏の解任を受けて、パリを訪問中の世耕経済産業大臣は、フランスのル・メール経済財務相と会談し「日産自動車とルノーの連合は、両国政府が強く支持する」という内容の共同声明を発表した。
飯田)一連のニュースをご覧になって、いかがですか?
宮家)いろいろな見方があると思いますが、ポイントは2つあります。1つは、要するにこれは商売だから、簡単に言えば日本の会社が傾いて、フランスの会社が手伝った。それで凄い人を呼んできて、ばったばったと首を切った。その結果上手くいった。そしたら日本の会社の方が、業績が良くなった。これが1つの良い意味での利益、欲の話ですよ。それはそれで良いのだけれどもう1つ問題があって、この人が本当に日本の会社を掌握していたのかということです。
豪遊が労働者たちの反感を買った
宮家)このニュースを見て、1冊の本を思い浮かべたのです。それは、ドイツのマックス・ウェーバーという人が20世紀の初めに書いた本で、『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』という本です。簡単に言うと、資本主義の職業倫理もしくは労働倫理の基本にはプロテスタンティズムがあると。非常に禁欲的で、真面目に働く。これがないと、資本主義が上手くいかなかったという話です。ゴーンさんを見ていると、この人は日本の労働倫理には合わないですね。金の亡者みたいに稼いだわけでしょう。海外の一部の人は「日本の企業は恩知らずだ」とか言うけれど、日本人の発想から言ったら、あんなに豪遊して、違うだろうと。本当に働いているのは、日産の社員ですから。それでちゃんと付加価値を付けていっているので、疑問に思うところはあったと思います。
ゴーンさんが日本に入って来て、大鉈を振るっていたうちは良かったと思いますが、その後で思い違いをしたのではないか、という気がします。本当のプロテスタンティズムの精神からいけば、もっとチャリティーをやるとか、給料を下げて日本に合わせるとか……。そうしたら、日本の労働者も納得したと思います。だけど、それが離れてしまったのではないか。だから日産の人たちが告発したのだと思いますよ。だけど、本当にルノーが日産をキープしたいのだったら、ちゃんと日産の社員の心を掴むような経営者を送り込んでいれば、全く状況は変わったと思うので、残念です。
飯田)この先も、日産の大株主はルノーだから。
宮家)こんなオヤジギャグは言いたくないけれど、カルロスはもうgone(行っちゃった)してしまったのだから、次の新しい関係を作れば良いと思います。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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