ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月28日放送)に外交評論家・キャノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。トランプ大統領のイラク電撃訪問について解説した。
トランプ大統領がイラクを電撃訪問
アメリカのトランプ大統領が26日、駐留アメリカ軍部隊を視察するため事前の予告なしにイラクを訪問した。シリアからのアメリカ軍撤収などへの批判をかわすことが目的とみられている。イラクでの滞在はおよそ3時間で、サレハ大統領やアブドルマハディ首相など、イラクの首脳との会談は行われなかった。
飯田)米軍部隊激励ということです。報道されている写真などを見るとボルトン大統領補佐官も一緒に行っているようです。
宮家)でも、バグダッドに電撃で訪問しない可能性は無いわけですよ。だってそりゃそうでしょう。「大統領来まっせー」って言ったらみんなで待っていますから下で。
飯田)下手したら過激派とかテロリストが待っている。
宮家)地対空ミサイル持って待っているかもしれません。アメリカの大統領や国務長官のイラク訪問というのは、電撃しか無いのですよ。ですから電撃自体は驚きませんが、驚くのは2年経ってやっと行ったということです。
飯田)就任から2年経って。
宮家)何やっているのでしょうか。だって最高司令官なんでしょ。命かけてアメリカの兵隊がイラクで頑張っているのに、去年も行かなかった。マティスさんを事実上クビにしたことでまた批判されているものだから、恐らく軍との関係を少し印象付けたいのではないでしょうか。
飯田)出た直後の報道では、アメリカの国内でも政府の閉鎖があったり、株が落ちたりとかありましたよね。
宮家)むちゃくちゃですよ、いま。
飯田)そういうのもあるから、批判をそらすために行ったのではないかという話が出ていました。
宮家)もう見え見えですよ。ようやくやったのかという感じで、大統領的だとは思えないですよね。
中東から撤退というトランプ大統領の戦略観
飯田)でも、事程左様に安定して来たとはいえ、不安定な地域であると。で、シリアから引く、アフガンからも引くという決断をした。イラクは残すということになっていますが。
宮家)イラクは曲がりなりにも民主主義が動いていますが、やはり米軍がいなくなった途端に1回撤退して、それで大変な混乱に陥ったわけですから。簡単には出られないというのが実態です。シリアから出てイラクからも出るのは当然だろうという人もいるかもしれませんが、そんな簡単ではないですよ。
他方では、トランプさんは全然戦略観無いと思う人もいるかもしれませんが、ときどき戦略観が出てくるのですよね。だって、中東で、アフガニスタンで何年戦っているのですか? イラクに何年いるのですか? 10年以上ですよね、それで一体何かあったのですか? 良いことが…という声もアメリカの国内にあるわけです。ですからその意味では私は彼がこういった形で、撤退したいという気持ちが選挙公約としてあったことは、決して彼の思いつきだけでは無い。そういった声が一部のアメリカの国内にあるということは考えなくてはいけない。
中東のリーダーたちはそれをひしひしと感じているわけです。アメリカがいなくなったら、自分たちの政権が危なくなる人たちもいるわけだから。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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