日本の統計システムの問題点~総括する組織で一本化するべき

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月5日放送)にジャーナリストの有本香が出演。日本の統計制度の問題点について解説した。

小泉進次郎氏が厚労省改革を大臣に要求

小泉議員)野党の方々が言うように大臣を変えて済む問題かと言ったら、それは違うと思います。大臣どころか政権が代わったって、不正は見抜けなかったんですよ。

根本厚生労働大臣)国民の皆様の信頼回復に努めることが私の責任であると考えています。

国会は衆議院予算委員会で2018年度第二次補正予算案の実質審議に入り、自民党の小泉進次郎厚労部会長は統計不正問題を受けて、厚生労働省改革の必要性を根本厚生労働大臣に訴えた。

飯田)これは映像込みでかなり取り上げられておりました。野党の各議員からは「下駄を履かせていた」「アベノミクス偽装」ということが出て、「そんなことはない」というやり取りもあったようです。

有本)メディアの小泉進次郎さんに対する期待値は高いのですね。

飯田)テレビは数字を取るのでしょうかね。

有本)大した質問をしているようには思わないのですが、どうしてこんなに取り上げられるのだろうかという違和感がありました。ただ小泉さんが同時におっしゃっていたなかで、この方は一応厚生労働省の専門家でもありますから、厚生労働省そのものが厚生ないし社会保障と、労働法制の部分が一緒になっていて範囲が広過ぎるとおっしゃっていましたよね。

飯田)これは前々からおっしゃっていることなのですよね。

有本)去年、厚生労働省の再編みたいなことは自民党のなかでも検討されていました。先週、別の番組で萩生田光一さんに来ていただいて、萩生田さんも「厚生労働省は大き過ぎてガバナンスの部分で問題があるのではないか」とおっしゃっていました。小泉さんは名調子みたいにして喋っちゃうから、あまり本質が伝わっていないような気もするのですけれどね。統計に対する不信を招いてしまったとおっしゃっているのですが、もちろん今回は厚生労働省の問題です。だけどこの統計を取るプロの人たちを採用しているわけですが、それを各役所に就けておくことが果たして妥当なのか。国として統計というものを俯瞰して見なければいけないということがあるし、そのスペシャリストたちが長く仕事をしていくなかで、ジョブローテーションやどのように地位が上がって行くかを考えると、個別の役所よりも統計を統括する組織を作って、そこで人を採用して各役所を回って貰うようにした方が良いのではないかというイメージを持ちました。

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政治 統計不正・賃金偽装真相究明野党合同院内集会で勢を上げる野党議員ら=2019年1月29日午後、国会内 写真提供:産経新聞社

統計を総括する組織を作り、一本化するべき

飯田)もともと統計を専門に扱う組織として、総務省のなかに統計局があります。

有本)わざわざ役所なんか作らなくても良いのですが、そこで一括採用していろいろな役所をローテーションして貰う。以前、文書管理でも同じような考え方を問題提起している無所属の議員がいらっしゃったけれども、他の国だとアーカイブは非常に大きな括りになっていて、それは各役所というよりは国のアーカイブとしてスペシャリストによって一括管理されています。統計も同じような考え方をすることが必要ではないかなと思います。これは厚生労働省をどうするかという問題。20年前くらいに省庁再編をやったとき、あの時点では意義がありましたが、20年で状況も変わって問題点が出て来たならば、もう一度考え直す。今回のことで言うなら、統計は役所の統計というより国の統計として俯瞰できなければいけない観点から、いちばん良い形を考えて再編して行くことが、小泉さんのおっしゃっている「このことによって良くなったんじゃないか」という風にする1つの切り口かと思います。

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現状の統計の問題点

飯田)これは結局、都道府県や市町村に下ろして調査をして貰うと。市町村側の人に話を聞くと「似たような統計が多いんですよ」と言います。厚労省の方から「こういう労働者の統計を出せ」と来る。一方で経産省からも商業統計というものが来て、これも何人雇ってどのくらいの賃金を出しているかを出さなければいけないと。

有本)内閣府からも同じようなことを言われたり。

飯田)各々省庁のニーズで来るのだけれど、一本化できないのかと。

有本)そういう点でも、この統計をまず一本化するという必要性がありますよね。それから労働に関する統計とは別なのですが、取材をしていると、例えば農林水産省などもいろいろな統計を自治体に依頼するわけですね。それを見ていると、自治体側の取り組みに温度差が出て来るのですよ。「この自治体は良い数字が上がっているな」と思っても、それは実際に良い数字が上がっているのではなく、取り組みが熱心だから深く数字が取れているということもあるのですね。ですからこの統計をどう取るかは、国として今後より正しいニーズに合う数字を活用して行く仕組みが必要ですよね。統計は取るだけでは意味が無くて、それを国政や国益のために使うビジョンを持って組織の改編を考え直した方が良い。それと人材活用です。

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