不正統計問題~あるべき第三者委員会とはどういうものか
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月1日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。不正統計問題と第三者委員会の在り方について解説した。
不正統計問題~安倍総理が再発防止策を強調
衆参両院は昨日の本会議で、安倍総理大臣の施政方針演説などに対する各党の代表質問を行った。毎月勤労統計の不適切調査問題を検証している、厚生労働省の特別監察委員会についての安倍総理の答弁。
安倍総理)厚生労働省の特別監察委員会は、事務局機能も含め、より独立性を高めた形で更に厳正に調査を進めていただくと共に、統計委員会には新たに専門部会を設置いただき、基幹統計に加えて一般統計についても、徹底した検証を行っていただきました。
飯田)この特別監察委員会が検証する。上司の官房長たちが立ち会ったり、あるいは職員だけで調査があったから、お手盛りではないかと言われています。
宮家)お手盛りでしょうね。いろいろな事情があったのだとは思いますが、不正は不正ですからね。その不正について言わせていただくと、この種の問題が出て来ると必ずこういう第三者委員会的なものが作られる。それはいいことだと思いますが、問題は、往々にして役人が報告書の原案を書きたがるということです。原案を書くと、内容をコントロールできるではないですか。
飯田)ある程度の方向性をつけられてしまいますね。
第三者委員会の委員長が自分で報告書を書かなければいけない
宮家)2013年1月にアルジェリアでテロの不幸なテロ事件がありました。あの後、懇談会ができてあって、私が座長をやらせていただきました。座長になったら、すぐに、ある役人がやって来て、「宮家さん、お忙しいですよね、お手伝いしましょうか」と言う。「何の手伝いですか?」「いや、報告書とか長いものを書かなきゃいけなくて大変ですよね。お手伝いしますから」と言うのですよ。私は「いいです。いりません」。と断りました。彼らは原案を作って、内容をコントロールしようとするわけです。私はそんなことは良く知っているから、絶対やらない。「自分で書きます」と答えました。
飯田)自分で書きます。
宮家)相手は当惑していましたよ。私が20ページぐらいの原案ものを作りました。委員が5人いて、公式の聞き取りとかいろいろなな会合をやります。それが終わってから、皆で飲みに行って、そこで本当の委員同士の会議をやる。それで内容を取りまとめて、私が全部報告書の原案を書きました。それを委員皆に見せて、完成したものを役人に渡して、「これで行きますから」と言ったら、「ええー!」って、みなさん、のけ反りましたよ。最後は諦めましたけれど。
役人主導でやるものは第三者委員会ではない
宮家)第三者委員会やるのならば、そのくらいやらなくてはいけません。そうしないと役人のペースに乗ってしまう。何でもかんでもコントロールしたがるんです、今回も国会が始まるから、1週間で何か結果出さなきゃいけないから、役人が分厚い報告書作ったではないですか。あんなもの誰も、委員長が作ったとは思わないでしょうね。だからどんどん墓穴掘ってしまった。本当に第三者委員会で独立したということを示したいのならば委員長さんが自分でお書かなければだめですよ。ご自分で書いたら僕は「第三者」だと信じますよ。役人がインタビューして、その結果を教えて貰ってそれがもう既に紙に書いてあって、それを読み上げたのでは、誰も信じないのです。
飯田)これ、役人側の立場だと人選も含めて…。
宮家)当たり前ですよ。
飯田)やりやすい人、操りやすい人を選ぶ。
宮家)でも、やりやすい人ばかりでは駄目です。そうではない人もバランスを取って入れなくてはならないし、そうやってきているとは思いますが。
役人の習性として、心配だから、「お手伝いしますよ」と言いうわけです。
飯田)そういうものなのですか?
宮家)そういうものです。本当にの第三者委員会というなら、のは自分で起案をして、原案を作って、そして独立して公正に話を聞いて、そして良いものは良い、悪いものは悪いとしっかり言わなかったら国民が、有権者が、信じてくれなくなる時代がもう来ているではないですか。もう役人主導で物事をやる時代ではないです。
飯田)これって、そういう人選とかって、なかなか大臣の執権みたいなものでできないものですか。
宮家)大臣が最終的に了解すると思います。多くの場合は。
飯田)でも1つ1つ見ていくというのは。
宮家)でも見ていくと思いますよ。
飯田)さすがにここに関しては。
宮家)見ていると思います。そうでなきゃいけません。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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