厚労省・統計不適切調査~本当の問題はどこにあるのか?

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月23日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。厚労省で発覚した毎月勤労統計の不適切調査について解説した。

毎月勤労統計の不適切調査で22人を処分

根本厚労大臣)今般の事案の重大さを踏まえ、厚生労働行政を担う政治家として、けじめをつける観点から、私は大臣就任以来の給与及び賞与の自主返納を致します。

厚生労働省の毎月勤労統計の調査が不適切に行われていた問題で、厚生労働省は事務次官と審議官を訓告とすると共に、統計を担当する政策統括官ら20人を減給などの懲戒処分にすると発表した。また、根本厚労大臣は就任時から1月までの給与4ヵ月分と賞与全額を自主返納するとしている。

飯田)有識者による特別監察委員会の調査報告書が出たということで、昨日、根本大臣が会見を行いました。この問題、どうご覧になりますか?

高橋)私は数量政策学者と言われていますけれども、統計法違反ですからね。まずは統計法違反なりの処分をして貰いたいです。予算不足・定員不足が統計には激しいのですよ。もともと統計というものは、海外では博士号を持っているスペシャリストなわけです。でも日本で統計をやっていて博士号を持っている人はほとんどいません。レベルが違う。昔は人数がいたのですよ。発覚する2004年位は、政府のなかで統計職員は日本全体で6,000人位いました。それがいま、2,000人もいません。

飯田)そんなに減っているのですか?

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各省庁の統計の担当人数が減っている理由

高橋)激しい減り方です。多くは農水省なのですが、農水省の統計がなくなっているから、そこで4,000人位減っています。他の省庁は同じか少し減っている。厚生労働省で300から200人位に減っています。本当はおかしなことで、農水省の仕事がなくなったら他省庁がやればいいのですが、縦割りでそういうことはできなかった。

飯田)他に移るということができなかったのですね。

高橋)統計部署はそれぞれ役所が持っています。総務省も持っているし、厚生労働省も国交省も持っていますが、全部縦割りなのです。このような縦割りは世界であまり無い。普通は統計は横断的な組織だから、それぞれの省庁とは別に組織を持つのです。それを持っていれば、農業統計がなくなっても他のものを振り変えればいいだけです。

飯田)数字を扱うということは分析をするのと同じですものね。

高橋)統計は横断的だから、他の統計をすることは簡単なのです。手法は一緒です。対象が違うだけだから、簡単に他の分野の統計もできるのですけれどね。日本は縦割りだからできなかった。

飯田)勿体無いですね。

高橋)6,000人が2,000人になっていますからね、非常に勿体無かった。

飯田)その4,000人を他へ移すことができたら。

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統計というのは全数調査ではない~抽出でもうまくできる

高橋)何の問題も無かったと思います。今回はそういうこともあり、予算もそれに応じて減るでしょう。これは厚生労働省の統計ですが、東京都にやらせるからお金をどれだけ払っているか、そういうような話もあるのですよ。お金を払っても本省の人間が少ないから節約したかったというかね。
統計というものは、全数調査ではないのですよ。抽出でうまくできるのが統計です。例えばテレビの視聴率などは2,000万世帯くらい選ばなくてはならないけれど、1,000世帯くらいしか選べないですよね。2,000万が1,000でもうまくできてしまうのが統計なのです。3分の1にしても、抽出調査でも、真面目にやればあまり影響はないというレベルなのです。だからやってしまったのでしょうけれど、そこが手続き違反となるのでダメなのですよ。うまく抽出調査すれば問題は出なかったと思います。それをうまく説明できなかったということでしょうね。役所の幹部の人たちはそういう理解が無いから、説明しても理解してもらえないですし。大体が全数調査でやれと言います。

飯田)その方がわかりやすいし。

高橋)分かりやすいし説明しやすい。「予算くれ」という話になってしまって、そうするとうまくいかない。それでこういうことになってしまったのではないかなと思います。

飯田)そのしわ寄せが現場に行って、何とかやるために「この形に」ということはあったかもしれませんね。

高橋)良くない事ですけれどね。

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