新宿タイガー、お面の下の“素顔”とは…
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【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第592回】
さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、現在公開中の『新宿タイガー』を掘り起こします。
人生はシネマと美女、酒と夢とロマン~新宿とともに50年近く生きる新宿タイガーを追いかけたドキュメンタリー映画
タイガーマスクのお面にショッキングピンクのアフロヘア。ド派手な衣装を身につけてデコラティブな自転車に乗り、ラジカセから演歌を鳴り響かせて颯爽と新宿の街を駆け抜ける。その男の名は、新宿タイガー。
「タイガーさんを見かけると、良いコトがある」「一緒に写真を撮ると幸せになれる」…といった都市伝説もある、そんな彼の正体に迫ったドキュメンタリー映画『新宿タイガー』が絶賛公開中です。
新宿タイガーこと原田吉郎さんの職業は、新聞配達員。撮影当時69歳(現在は71歳)の彼は、朝日新聞新宿東ステーションに勤め、朝・夕刊を新宿三丁目エリアに毎日配達しています。50年近く新宿の街とともに生きて来た彼は、24歳だった1972年、タイガーとして生きることを決意。何でも、歌舞伎町にある稲荷鬼王神社のお祭りでタイガーマスクのお面を見つけたときに「これだ!」と直感が働いたのだとか。
タイガーさんは、映画が大好き。仕事の合間や休日には新宿繁華街の映画館に通い、映画館をハシゴして1日に3〜4本観ることも。そして夜は毎晩のように新宿ゴールデン街で、常連客と酒を酌み交わす。
新聞配達も映画鑑賞も、飲みに行くときも電車に乗るときも、新聞販売所の海外研修に参加したときも(!?)、外出はすべてタイガーの装い。…と言っても、頑なに正体を隠しているわけでもなく、「お面をつけていると酒が飲めないから」という理由で、あっさりカメラの前でお面を外すお茶目な一面も。
仮面の下の“素顔”は、明るく饒舌。映画監督や俳優・女優と交友関係も広く、“孤高のヒーロー”かと思いきや、実はひととの触れ合いが大好きな陽気なおじさんなのです。
ここに書いた新宿タイガーさんの“素顔”は、ごくごく一部。映画を観ると、彼の人柄や生き様にますます魅了されてしまうことでしょう。
「人生はシネマと美女、酒と夢とロマン」。
その言葉を胸に、きょうも新宿の街をサバイブする新宿タイガーさん。存在そのものがアートか、はたまた稀代のパフォーマーか。ありのままに生きる姿を、映画館のスクリーンで、あなたの目で確かめて。
新宿タイガー
2019年3月22日(金)からテアトル新宿ほか全国ロードショー
監督・撮影・編集:佐藤慶紀
ナレーション:寺島しのぶ
出演:八嶋智人、渋川清彦、睡蓮みどり、井口昇、久保新二、石川ゆうや、里見瑤子、宮下今日子、外波山文明、速水今日子、しのはら実加、田代葉子、大上こうじ ほか
©2019「新宿タイガー」の映画を作る会. All Rights Reserved.
公式サイト http://shinjuku-tiger.com/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/