縁起物の“スイーツ”に込める様々な意味

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ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム「報道部畑中デスクの独り言」(第452回)

2026年、新年おめでとうございます。新春の小欄は恒例「スイーツ」の話題、今回は縁起物の「栗」です。

縁起物の“スイーツ”に込める様々な意味

最後の一滴までいただく「栗の甘露煮」

■日本、中国、欧州……、栗もさまざま

栗と言えば、まずは「栗きんとん」。お菓子としては茶巾で絞り、栗の形に整えたものが有名で、岐阜県中津川市が発祥とされています。熱いお茶とともに少しずついただく…至福のひと時です。

もう一つは正月のおせち料理に欠かせないペーストの中に潜む栗きんとんです。きんとんは「金団=金色の団子」とも書き、文字通りの金運上昇、商売繁盛の願いを込めています。スイーツのみならず、栗ごはんなど、様々な料理に使われます。日本での栗のルーツは縄文時代にさかのぼるとも言われていますが、食用だけでなく、建築材としても耐久性が高く、家具や線路の枕木などに使われています。

縁起物の“スイーツ”に込める様々な意味

おせち料理には欠かせない「栗きんとん」

また、栗の実を乾燥させて保存食にしたものは「搗栗(かちぐり)」と呼ばれます。「搗つ」とは、臼や杵でついたり、たたいたりすることを指しますが、これが転じて「勝栗」となり、武家社会ではこれまた縁起物として重宝されました。戦国時代、武田信玄が戦には常に栗を携行していたという説も残されています。金運のみならず「勝負強い一年でありますように」という意味も込められているようです。

戦国時代の中心地の一つだったこともあるのか、私の故郷、岐阜県でも栗は名産で、農林水産省によれば、栗の収穫量(2023年産)で4位につけています(1位は茨城県)。栗きんとんのほかにも栗を素材とする銘菓が数多くあり、ありがたいことに実家や親せきが時折送ってきてくれます。写真の栗甘露煮は大粒の栗をシロップに浸したもの。ささやかな贅沢で、残ったシロップには牛乳を入れて「マロン・オ・レ」にして、最後の一滴まで楽しんでいます。

さらに栗は日本だけにとどまりません。中国では「栗子(リーズ)」「板栗(バンリ―)」があり、「千果之王」という異名もあります。日本では「天津甘栗」が有名ですが、天津は産地ではなく、出荷される天津港にちなんでいるとか。さらに、欧州でも「西洋栗」があり、ご存知「マロングラッセ」が代表的な菓子です。

縁起物の“スイーツ”に込める様々な意味

私がこよなく愛するエンゼルパイにも「和栗」の期間限定フレーバーがあった

■「栗」にはまさかのこんな意味があった……

「栗」という字は木の上に毬(いが)の実がなっていることを示す象形文字です。刺さると痛い毬も関係しているのでしょうか、実は栗には「きびしい」「おそれる」「おののく」という意味もあるのだそうです。皮膚がピリピリするほど寒さが厳しい様子を「栗烈(りつれつ)」と言いますし、実は戦慄の「慄」は栗から来ているということです。

戦慄と言えば、昨年は各所でクマの被害が相次ぎ、2025年の漢字も「熊」となりました。柿の木に登って柿を食べてしまう場面がニュースになりましたが、実はクマは栗も大好物です。インターネットの動画にはクマが前足で毬を押さえ、巧みに栗を食べるシーンが見られます。また、やはり大好物のドングリは「団栗」と書きます。

縁起物の“スイーツ”に込める様々な意味

栗はパフェにも使われる(サンマルクカフェの「モンブランパフェ」)

人的被害のみならず、昨年は秋の味覚、柿や栗がクマに食べられてしまう被害がありました。収穫さえも命がけだったのかもしれません。コメの高騰などで食料安全保障の重要性が指摘される昨今ですが、別の意味での「食料安全保障問題」が立ちはだかっていると言っても過言ではありません。クマの繁殖期は何年かおきにピークを迎えると言います。今年は昨年ほどではないかもしれませんが、被害のニュースを見るにつけ、自然の恵みを味わえるのは決して当たり前のことではないのだと思います。年の初め、そのありがたさをかみしめたいと思います。

本年も当コラム「報道部畑中デスクの独り言」をよろしくお願いいたします。

(了)

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