慌ただしい取材現場 とにかく“全集中”
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ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム「報道部畑中デスクの独り言」【第398回】
松の内が終わり、世の中はすっかり正月気分が抜けた感じです。今年の正月は4日と5日が土日だったことで、三が日+2日の“お得な”5連休だった分、6日から仕事モードと、良く言えばメリハリのある、悪く言えば(?)言い訳がきかないと感じた方も少なくないのではないでしょうか。
ということで私も取材に動き回っています。新年に入って特に経済関連のニュースが多く、東証大発会、日本製鉄記者会見、経済・業界団体の新年祝賀会の取材など、毎日、剛速球を投げているような慌ただしい年明けとなりました。
ところで、取材現場では予期せぬことが起こります。ふとしたことから、どうしても「歯車」がくるい、ヒヤリとしたり、何をしてもうまくいかないことがあるものです。
昨年暮れにある恒例の取材がありました。会場の音声を主催者が用意した音声分配器から拝借し、例年のように収録する予定でしたが、音声テストをしても音質の具合がよくありません。他社も同様で、何度やっても不調が解決しません。本番が迫っていたため、緊急措置として分配器からの音声収録をあきらめ、会場のスピーカーから直にマイクで収録し、事なきを得ました。とここまではよかったのですが……。
その後、様々な“トラブル”が襲ってきました。まず、スピーカーからの収録作業を10分以上、立ちっぱなしで姿勢を変えず行っていたため、終了後、頭がぼーっとしてきました。血流が悪くなってきたようで、寄る年波を感じた次第です。
トラブルはトラブルを誘発します。緊急措置のため、分配器周辺に関連機材を置いたまま、スピーカーから収録していました。終了後、確認を怠り、関連機材の一つである延長ケーブルを忘れてしまったのです。会場から出て数分後、機材を入れたリュックがいつもより軽いことに気づき、中を探したところ、ケーブルがないことが発覚、あわてて会場に戻ったのでした。会場はまだ撤収作業中で、幸いケーブルは残っていました。
さらに「ヒヤリ体験」は続きます。収録後はニュースで使用できそうな個所をパソコンで編集して本社に送信する作業があるのですが、その送信を危うく間違えそうになりました。原因は前述の分配器からの音声不調にさかのぼります。その時、パソコンの中に格納されている“前年の音声ファイル”を確認していました。前年と音質が明らかに違うことで今回の不調が改めてわかったのですが、音声のファイル名は前年と今回では日付以外同じ。危うく前年の音声を送りそうになったのです。「危ねえ、危ねえ」。直前に気づいたため、これも“未遂”に終わりました。
一連のトラブルはいずれも私特有のもので大事には至りませんですが、その後も仕事が終わって帰宅するまで、何か忘れていないか、何か抜けてはいないか、間違えてはいないか……神経を“全集中”していました。
ラジオの記者は現場に向かう時はほとんど1人。取材手続き、現場セッティング、音声収録、編集・送信作業、原稿作成、ある時はレポートとあらゆる作業を直近のニュースに間に合うよう短時間で行います。もちろん普段から高い集中力が求められるのですが、何かのバイオリズムでしょうか、経験上、歯車がくるい、トラブルがトラブルを誘発したり、何をやってうまくいかなかったり、ヒヤリとする日が1年に何回かあるものです。そう感じる時はそういう日だと諦めながら、より細心の注意を心掛けます。作業が終わって緊張がゆるむ瞬間は、特に“要注意”です。そんな日が何回もないことを祈りますが……。
と、ここまで書いて、小さいころの遠足、学生時代の旅……、先生や仲間から言われたことを思い出しました。
「家に帰るまでが遠足(旅行)です」
これは現場取材にも当てはまることだと思っています。本年も心して当たります。
(了)