FCAがルノーに経営統合を提案~世界標準をどこが握るのか

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ニッポン放送「飯田浩司の OK! Cozy up!」(5月27日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。FCAがルノーに経営統合を提案したニュースについて解説した。

【日産、ルノー、三菱自が共同記者会見】記念撮影に臨む(左から)ルノーのボロレCEO、スナール会長、日産の西川広人社長、三菱自動車の益子修会長=2019年3月12日午後、横浜市西区 写真提供:産経新聞社

フィアットがルノーに27日にも経営統合を提案

欧米の自動車大手、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)がフランスのルノーに経営統合を提案することが明らかになった。統合が実現すると、FCA・ルノー・日産・三菱自動車4社の世界販売は1500万台を越え、フォルクスワーゲンを抜いて首位となる。

飯田)きょう(5月27日)にもFCAと呼ばれるフィアット・クライスラー・オートモービルズの方が提案をすると。日経新聞がこれを一面トップで伝えています。自動車業界の再編ですが。

須田)情報としてはウォールストリート発なのです。ですからアメリカ側から出て来た話であって、日米欧の三極を股にかけた企業グループができるということですが、アメリカマーケットというところに注目してもらいたいなと思います。
そのなかで日産がどの程度の主導権を発揮できるか。これだけ経営統合が進むと、ルノーが主導権を発揮するのではないでしょうか。その見込みがあるからこそルノーは、この経営提携に踏み切ったのだと思います。日産は後手に回っていますよね。

フランスの自動車大手ルノーの新会長に指名されたジャンドミニク・スナール氏(左)と新最高経営責任者(CEO)に指名されたティエリー・ボロレ氏(フランス・パリ近郊)=2019年1月24日 写真提供:時事通信

世界標準をどこが握るか~そこに向かってのルノーが動き始める

須田)この狙いの1つは、いま世界的に進みつつある部品や資材の共用化です。ベースについては同じものを使って行こうという、従来とは違った電気自動車を見据えた上での部品資材の共用化だと思います。電気自動車の1つのネックは価格面です。価格をいかに安く抑える体制を作ることができるかというところへ向けて、全部動き始めている。トヨタが一時期進めていた水素自動車も、まだまだ無くなったわけではありません。何が言いたいのかというと、デファクトスタンダード。要するに「世界標準をどこが握るのか」ということです。これがこれからの熾烈な戦いになって行くのだろうと思います。
そうすると生産販売台数、そしてマーケットシェアを抑えることが、デファクトスタンダードを握る上でいちばん最短距離になるのです。そこへ向けていよいよルノーは動き始めたということです。電気自動車を見据えた上で、そのデファクトスタンダードを握るという。日産が独自性を守る為にどのような動きができるのかと言うと、いまのところ見当たらないのですよ。

飯田)なるほど。単独で世界と伍して行くには生産台数が足りない。

須田)それでコストも高止まりしてしまう。結果的に車両価格が高止まりしていて競争力がさほどないとなると、ここについて行かざるを得ない。ついて行くに当たって、日産が資本の部分でも主導権を握れるのかと言うと心もとない。ルノー大株主のような。いずれは飲み込まれて行く運命なのかなと思いますけれどね。

飯田)もともと日産自動車というところは、電気自動車では先行していたような気がするのですけれども。

須田)そうですね。

飯田)でもその技術はルノー、あるいはFCA側にドンドン吸い取られる形になってしまうわけですね。

須田)ただ日産の電気自動車にとっても、コストダウンであるとか、車両価格の低減に大きくプラスになりますから。それはそれで日産にとってもウェルカムではないかなと思います。

飯田)いま出ている1500万台越えというものは、当然ガソリン車であるとか内燃機関の車の販売台数ですよね。この規模の大きさが電気自動車をやるうえで資する部分もあるのですか?

2040年までに電気自動車へ動かざるを得ないヨーロッパ

須田)そこがベースになるというだけで、いきなり電気自動車になるということではないです。徐々に徐々に。特にフランスにおいては、これがヨーロッパのスタンダードになると思いますが、2040年ごろをもってしてハイブリットカーを含むガソリンエンジンの自動車、ディーゼルエンジンの自動車の販売は法律によって禁止されます。もう売ってはいけないという状況に、20年後には間違いなくなります。タイムスケジュールはできてしまっている。

飯田)その辺の危機感と言うか、お尻を切られているという部分がルノーにはあって、日産や日本の企業にはなかったということですね。

須田)これは言うまでもなく、パリ協定のCO2排出量の抑制とワンセットです。CO2排出量を抑制する目標をどうクリアするのか。そうすると電気自動車の方向に動かざるを得ないのです。「技術ができていないから対応できません」とか、「価格面でコストが高いから対応できません」という言い訳が通用しない。待ったなしで、何が何でもやらないといけないという状況ですから。

飯田)この電気自動車の世界には、それこそアマゾンやグーグルなどのIT大手も視野に入れて参入しようとしています。かなり厳しい戦いになるのではないですか。

自動車メーカーが主導権を握り続けられるか

須田)そうですね。電気自動車とセットで自動運転装置がワンパッケージになっていますから、グーグルなどが入って来る余地があるのですね。ただ電気自動車は結局のところ、走るスマートフォンのようなものですから。自動車メーカーがいつまでもマーケットのなかで主導権を握り続けられるかどうか、そういうせめぎ合いもあるのです。

飯田)スマホの組み立てと言うよりも、アプリだとか、全体を作っている人たちの方が儲かっている。あの構図が車の世界でも起こるかもしれない。

須田)自動車という、我々のこれまでの工業製品の概念が壊れるのが、電気自動車化に向かって行く流れなのですよ。各社相当な危機感を持っているわけです。

飯田)トヨタがエヌビディアという会社を買収したのは、それをやろうとしたということになるわけですか?

須田)ただトヨタは、スケジュールを決めた上で一直線に走るというよりも、ありとあらゆる可能性に備えてウイングを広げています。

飯田)そろそろ集中しなければいけないタイミングだと。

須田)集中と選択の時期に入って来たのだと思います。

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