日産とルノー~日本政府の恐れるところ
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月13日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。ルノーと日産の今後の関係について解説した。
日産・ルノー・三菱自動車、3社のトップで新会議の設立を発表
西川・日産CEO)いま私が抱えている課題というのがですね、アライアンスの安定化、それからガバナンスの発信、そして業績の安定化と、3つあるわけですけれども、その中のアライアンスの安定化或いは推進ということに関してですね、きょうは非常に大きな一歩だと思っております。
日産自動車とルノー、そして三菱自動車は共同で記者会見を行い、権限が集中していたカルロス・ゴーン前会長の体制から脱却し、3社の経営トップで戦略を決める合議制で連携を強化して行くと表明した。議長にはルノーのスナール会長が就任する。
飯田)ゴーン体制からの脱却、合議制と言うことですから、基本的に全会一致でないと決められない。
高橋)このゴーンさんの問題を解説するときに、ゴーンさんの話が中心になってしまっているのですが、そのなかには企業の付き合い方ということがあると思います。日産とルノーは、ルノーが親会社で日産が子会社、ただし稼ぎは日産の方が遥かにある。このような場合、資本を見直すことを目標にしつつ、そこに近くなるように、なるべく上下関係を無くして行くのがよくあるパターンです。他の企業でもよくあります。子会社を作ったらすごく稼いでしまって、親会社がそこに胡坐をかいていると子会社から文句が来て、関係を見直すというようになる。そういうことの一環で、これは日産が仕掛けて行った話だと思います。
飯田)いろいろな業界でも聞く話ですね。
日産の目指すところはホールディングスか
高橋)日産がゴーンさんを梃(てこ)にしながらルノーと対等関係に持って行きたい一環として、こういう3社トップで新合議体をやる。多分将来的には大きなホールディングカンパニーの下に日産とルノーが並行してあるというのが、日産の目指していることだと思います。
飯田)経営統合の形にしてしまうと、混ぜこぜになってしまうから日産としてもよくないと。ホールディングスでぶら下がるという形ですね。
高橋)ルノーと日産だからホールディングスをどこに作るかとか、いろいろ難しいかもしれませんけれどね。
複雑なのはルノーの親会社であるフランス政府の関与
飯田)その拠点をどこに作るかとか、トップは誰だとかそういう話ですね。もう1つややこしいのが、ルノーにはフランス政府が入っている。
高橋)ルノーがフランス政府の子会社であるのがまた問題なのです。フランス政府から見れば日産は孫会社ですから、フランス政府の意向で振り回されることもあり得ます。中国などにフランス政府の意向で出て行かされかねない。これは日本政府の経産省も危惧しているところです。日産とルノーの裏側には、日本政府や経産省、フランス政府もいる。これだからゴーン問題を複雑にしているのですね。
飯田)日本政府は、建前としては、私企業の問題なので表立ってタッチはできない。
高橋)表立ってはしません、不利ですから。フランス政府はハッキリ子会社と言って関与していますからね。そこと同じ立場でやってしまったら、日産と日本政府は関係無いですから。いまの立場のままで、これは私企業の問題だと日本政府は貫くと思います。ただ天下りの人も日産にいるしね。
飯田)監査役の人でしたっけ。
高橋)社内取締役でいますね。ゴーンさんのときには居ませんでしたが。ある程度情報は政府に流れていると思います。政府の方だって日産がフランス傘下で中国進出すると言ったら、対アメリカとの関係で困りますからね。その辺りは建前と本音が入り混じって、複雑な問題になっています。
飯田)フランス政府側と言うか、マクロン大統領はしきりに経営統合するべく圧力を相当かけて来ている。
高橋)それはそうでしょうね。でも段々、マクロンさんも自分の支持基盤が危うくなっていますからね。ゴーンさんに対しての見切りも最近は出て来ています。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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