ゴーン容疑者保釈~欧米はどう見ているのか
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月6日放送)に国際政治学者の高橋和夫が出演。国際社会から見るカルロス・ゴーン被告の長期拘束について解説した。
東京地裁がカルロス・ゴーン被告の保釈を認める決定
東京地裁は3月5日、特別背任などの罪で起訴された日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告の保釈を認める決定を出した。保釈保証金は10億円で、納付されればきょうにも保釈される。
飯田)検察は決定が出た後に準抗告をしましたが、それも昨日(3月5日)のうちに棄却。納付されればきょう、6日にも保釈。100日以上にもわたって身柄を拘束されておりました。国際社会はどう見ているのでしょうか。
高橋)ヨーロッパ、アメリカから見ると長い。人権無視ではないか、人質司法という言い方もされていますが、国際的には問題があるのではないかという見方が一般的です。ゴーンさん側もいろいろなところでそれを訴えて、有罪か無罪かという議論の前に、やり方が異常ではないかとしているのは、上手に外堀から攻めて来たなという印象を受けます。
欧米からは「人質司法」と見られている
飯田)国連の人権審査機関にも訴え出たような報道も一部にありましたが。
高橋)国連というところは日本人が大好きなのですが、国連に行くと、実は日本がそれほど高い評価を受けている面ばかりではありません。とても感謝されているところもあるのですが、例えば女性の地位は日本はあまり高くない、国会議員の比率も少ない、スウェーデンとかノルウェーのレベルまでなかなか行かないというところはあります。ヨーロッパでは何かあるとEUに訴えるとか、国連に訴えるのは常套手段なので、そういう意味ではゴーンさんも正攻法で外堀から攻めて来たという感じですし、今回は弘中弁護士が口裏合わせができないようにいろいろな条件を提示して裁判所を説得しました。これだけやってダメだと言っていると日本は本当にダメだぞという雰囲気を、上手に内と外から作り出して来たなと思います。
メディアにも訴える新たな弘中弁護士の巧みさ
飯田)監視カメラをつけたりとか、携帯パソコンも限定されたものでと。しかし弁護士さんが変わっただけでこれだけ変わっちゃうのかという印象です。
高橋)前の弁護士さんには悪いのですが、前の弁護士さんはなぜこれを提案しなかったのだろうか。これだけ提案したのにとメディアに訴えるだけでも圧力になったのに。弘中さんは巧みだなという気がします。
飯田)今回、罪状そのものは公判で明らかになって来るものと思われますが、それについても報道によっては中東オマーンとか、いろいろな国が絡んでいるマネーロンダリングの手口ではないかという指摘もあります。
ゴーン氏のルーツはアラブ人で「ゴースン」と呼ばれる
高橋)ゴーンさんはルーツをたどると、レバノン系のアラブ人です。ゴースンさんと呼ばれているのですけれど、それでは通りが悪いからということで、アラブ世界の外ではゴーンさんと呼ばれています。ゴースンさんなのに何でゴーンさんと呼ばれているのだろうと頭を抱えていたのですが、そういう人的なつながりもあって、オマーンだとかサウジアラビアだとかにたくさんのお金を移しているのですね。我々が黒とか白だとかは申し上げられないのですが、オマーンは小さな国で、サウジアラビアは経済的にも大きな国です。ところが、オマーンに移したお金の方がサウジアラビアに移したお金よりも大きそうだとか、何か普通に考えてそれはないだろうというところがあるのです。検察側はそういうところを突いて行くことになると思います。海外での調査ですから大変でしょうね。
飯田)オマーンは小さな国ではないですか、中東ではタックスヘイブン的な位置づけだったりするのでしょうか?
高橋)そんなことはないと思います。自動車会社の商売は各地に代理人というものがいて、その人に売ってもらうので、そのお礼ということでお金を配ったのだとゴーンさんは言っていますが、それはそれで一理あります。でも市場規模の小さい国で大きな船を買ったりすると「え?」と思いますよね。
飯田)そのロジックだと齟齬がありますね、なるほど。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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