ルノー新体制へ~カルロス・ゴーンは日産にとって何だったのか?
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月25日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。ルノーがゴーン氏の後任にミュシュラのスナールCEOを就任させたことについて解説した。
日産の西川社長~ルノーの新体制を歓迎
フランス自動車大手ルノーは24日、経営トップを務めていたカルロス・ゴーン被告が辞任し、取締役会が承認したと発表した。なお後任の会長には大手タイヤメーカー・ミシュランのスナールCEOが就任する。ルノーがゴーン被告の後任人事を決めたことを受け、日産の西川廣人社長兼CEOは、昨日「大きなステップだと思う。新体制を歓迎したい」と記者会見で話している。
飯田)日産側としては、この人事を歓迎しているということです。会長とルノーのCEOというのを、分ける形にするということだそうですね。
宮家)ルノーの影響力を下げようとしているのでしょう。日本でできて日本で発展した会社がある時期におかしくなった。それで外国に買われてしまった。ですから経営権を日本に取り戻したいという、良い意味での経営ナショナリズムみたいなものがあったのだと思います。
ゴーン氏の評価は今後、歴史家や投資家が判断すること
宮家)経営体というのは、生き物です。一般論ですが、以前には、日本の経営には日本の村社会的な弊害もあったかもしれない。早い変化が必要なときに、なかなかできなかったのかもしれない。それに対してゴーンさんがやって来て、一種のショック療法をやって、意識改革が進んで、それでみんな頑張ってここまで来たのかもしれない。
いろんな判断が有り得ると思います。ゴーンさんがやったことが全部悪いのかと言うと、それは分かりません。これはもう事後に歴史家、あるいは投資家が判断するしかない。いまの状況としては、ゴーンさんのいろいろな悪評がようやくフランス語の新聞にも載るようになって、フランス政府ももう潮時だという判断をしたのでしょう。
これで日産の経営が必ず良くなるという保証はない
宮家)日産が良くなるか、もしくは日本的な経営でまた元に戻ってしまうのか、いろいろな議論が有り得るでしょう。ただ単にルノーの影響力が下がったから、もう両者を統括するような人はいなくなったからといって、それで日産が必ず良くなるという保証も無い。その意味ではこれは単なる一里塚に過ぎません。今後も日本の会社が世界の厳しい競争のなかで生き延びて行くために、やはり日本的な良い部分とグローバルな良い部分をミックスして、そして経営してかなくてはいけない時代になっているのではないか、と私は素人だけど思うわけです。「これで良かった良かった」という話ではないかな、というのが直感的な気持ちです。
ゴーン氏が日産のトップに立って20年~手腕を見せるも、長期による権力の腐敗には抗えず
飯田)ゴーン氏が日産を率いてもう20年近く経つのですね。
宮家)いつの間にかそれだけ経っているのですね。
飯田)20年前を考えると、「では他に誰ができたんだ」という話もあります。一方でゴーンさん自身も就任当時は、けっこう日本化というか、日本文化に融和しようとしていた。端的に示していたのが、日産の野球部を潰さなかったということがあります
宮家)そうでしたね、思い出しました。
飯田)フランス人だったら野球知らないから絶対潰すだろうと言われていましたが、これを潰さずに、人心掌握に使えると思って残した。
宮家)その点では上手くやったのでしょうね。しかし権力は腐敗する。
飯田)ということが如実にね。
宮家)長くいればどうしてもね。ですからそこの部分はゴーンさんも例外ではなかったのかもしれません。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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