ゴーン容疑者が無罪を主張~検察とのロジックの違いは何か
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月9日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。ゴーン容疑者の出廷について解説した。
カルロス・ゴーン容疑者が東京地裁で無罪を主張
特別背任の容疑で再逮捕された日産自動車前会長のカルロス・ゴーン容疑者が、勾留の理由を明らかにする手続きのため東京地裁に出廷し、無実を主張した。ゴーン容疑者が公の場に姿を見せたのは去年11月の逮捕以来初めて。以下は出廷後に行われたゴーン容疑者の弁護人の会見の模様。
ゴーン容疑者弁護人)20年間自分の人生を日産の復活とアライアンスの構築にささげてきた。その結果、日産を日本経済の主軸に回復させた。それが家族の次に自分の大きな喜びであるという話をした。そして最後に自分にかけられている容疑は無実であり、確証も根拠もなく不当に勾留されているということを訴えて、コメントをゴーンさんは終えました。
飯田)法廷でのゴーン容疑者の陳述の様子を、弁護人が紹介しました。勾留理由開示の手続き、これは殆どやることが無い手続きだそうで、やったところで勾留が解かれることはほぼ無いからやらないということだったのですが、今回は公の場で初めて自分の肉声で訴えることができるというところを選択したようですね。
高橋)これは国際的なアピールをして、日本の司法制度への批判を言いたかったのではないですかね。ただ一切否認でしょう。また逮捕されて勾留される確率は高いですよね。
飯田)そうか、否認ということは証拠隠滅の恐れありと。
高橋)裁判所に対しては、証拠隠滅の恐れありということで拘留というのが理由ですから。そうすると、半年近く入れられる可能性もありますね。
飯田)今週末くらいで勾留の期限が来るということですけれども。
高橋)否認していますから、そう簡単にはいまの日本の制度でしたらね。そういうことも含めてアピールしたのではないですか。
飯田)なるほど。私は朝4時過ぎに会社に来るのですけれど、CNNはやっていましたね。
高橋)そうでしょう。やはり国際的に関心が高いから、国際社会に訴えるという戦術なのではないですか。そういう戦術としてはありですよね。
飯田)戦術としては。
高橋)ただそれが裁判の方にどのように影響するかというのは、少し別だと思いますけれども。
ゴーンさんが払いきれなかった場合、日産が損害を被る可能性があった
飯田)検察は司法取引までして今回ここまでこぎつけているということは、是が非でもこれは落としてやりたいということですか?
高橋)やりたいでしょうね。特別背任のところでは、ゴーンさんは会社にまったく損害を与えていないという言い方ですよね。でも検察のロジックはそうでは無くて、ゴーンさんが後で全部持つというのだったらその取引はいらないでしょうと、場合によってはゴーンさんが持ちきれなくなって会社に損害を与える可能性があるでしょうと、そこが論点でしょうね。実際に「与えた、与えていないではない」と、この会社を使ってこういう取引をしたのだから、万万が一ゴーンさんが払えなくなったとき会社が被るでしょうと。その会社が被る可能性を、実は特別背任と言っているのだと思いますよ。
飯田)実際の損得ではないところという。もともとリーマンショックがあって為替のスワップで大損して、追証でもう少し証拠金を出さなくてはいけないけれど、それが莫大なお金だからできなかったと。そして一旦日産に肩代わりさせた。
高橋)そうですね。日産を経由すると日産の信用力があるから、実は追加担保の必要がなくなる。そこにメリットがあったということでしょう。本当だったら全部自分で返せばいいだけなのですよね。それに会社を使っただろうと。ということは、日産の信用力を使ってやったのだから、場合によってはゴーンさんが払いきれなくなったら日産が被るでしょうと、そこがポイントでしょうね。
飯田)確かに、例えば我々サラリーマンがプライベートで大損して、その穴埋めにちょっと会社のお金を…となったら、その時点で経理から「お前何考えているのだ」という話になる。
高橋)そうでしょう。それで会社のお金でと言ったのだけれど、ゴーンさんの方はその会社のところでは、「自分が後で払いますから会社に損害は与えない」というロジックですけれどね。でもそれだったら自分でやれということで終わってしまいますよね。
飯田)サラリーマンのケースで言うと、にっちもさっちもいかなくなったら、「君、退職金を前借する?」みたいな話とか、「共済からお金借りる?」みたいな話にもなりますよね。
高橋)その通り、退職金を前借していてそれを担保に差し出せば何の問題もなかった話ですよ。それをしなかったということは、何らかの形で会社に、場合によっては状況のなかで損害を与える可能性があったのでしょうと、肩代わりさせているのはそういう意味でしょうというのが検察のロジックなのです。マスコミの報道では分かりにくいと思いますよ、要するに損害を与えていなかったらそれでいいではないかと。検察が言っているのは損害を与える、与えないでは無くて、「その可能性があった」というところを言っているわけです。
飯田)退職金まで行かなかったということは、仮に会社で損させても別にいいやというある意味、未必の故意みたいなものがあったのではないかと。すると特別背任の行為の部分が成立する。
高橋)もちろん普通の状況だったらゴーンさんはお金持ちだから払えるでしょう、問題無かったのでしょうというのはそうだけれど、損失が大きく膨らんでいる可能性もあったわけで、そうしたらゴーンさんが払えなくなると会社が実質損害を被りますよね。その可能性があったところを論点にしていると思います。
読売新聞だけ違う書き方
飯田)今後どうなるかは、まずは検察の捜査次第ですけれど、読売新聞だけは別の書き方をしています。
高橋)そう。背景でゴーンさんがすごくひどかったということを書いていて、新聞を読むときに読み比べると面白いですよね。これをトップに持って来ているということは、検察には隠し玉がもっとたくさんあるでしょうけれど、その一部が出たのだと思います。
飯田)もともと16億円だと言われていたものが、読売新聞だと30億円くらい。
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