麻生大臣が消費税実施明言も確定ではない
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ニッポン放送「飯田浩司の OK! Cozy up!」(6月10日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。麻生大臣がG20で消費税実施について明言したが、確定ではないといういくつかの理由について解説した。
麻生大臣、G20で10月に消費増税実施を明言
6月9日まで行われていたG20(財務大臣・中央銀行総裁会議)で、麻生財務大臣は10月に予定する税率10%への消費税増税の方針を各国に説明した。麻生氏は増税前後の需要変動を抑える為の対策も打ち出している、と理解を求めている。
飯田)日本、アメリカ、ヨーロッパと新興国などの財務大臣・中央銀行総裁が集まりました。「消費増税がこれで決まった」という評価もあるようですが。
明言はしたが、確定ではない
須田)これで最終確定したわけではないと私は思います。特にこのG20は財務大臣・中央銀行総裁会議なのですが、実は官僚の事務方の前捌きということがあり、詳細に摺り合わせをして積み上げて、最終的に大臣がこの会合を開くという流れです。事務方が積み上げて来たものだから、政治判断が作用しないのです。
日本国内の消費税増税に関して言うと、「予定通り10月からやります」ということで、様々な政策・対策が進んで来ているわけですから、「やりません」と言うわけにはいかない。だからこういう結果になることは当然、予見できたことです。麻生さんとしてもそれまでの事務方の議論を台無しにするわけにはいかないから、そこに立った上での発言なのです。これで消費税増税が確定したということではないと思います。
飯田)むしろ、これを受けて他の人たちがどういう反応をするか。国内の政治の話になって行くわけですからね。
10月に消費税増税実施であれば、ダブル選挙はないのではないか
須田)加えて、海外の国際的な経済の動き、例えば米中貿易戦争の動きがどうなって行くのかなどについては、手元に確定情報があるわけではありませんから。そのあたりは政治責任を負う形で、政治的判断をするということになると思います。ただ、消費税増税はこのままスケジュール通りに実施するとなると、国内政局にも微妙に影響を及ぼして来る。7月に参議院選挙が予定されていますけれども、いまいちばん国内政局のなかで注目されているのは、その参議院選挙に合わせて衆議院選挙もやるのか。また、今国会で衆議院の解散が行われるのかどうか。つまりダブルはあるのかないのかというところが微妙に影響して来ます。これまでの議論の流れとしては、消費税増税は延期して衆議院解散に踏み切るのではないかという見方が根強かった。消費税増税を予定通りにやるのであれば、「衆議院は解散する必要がないではないか」というムードになるのですよ。そういう理屈が大前提としてやって来る。参議院単独の選挙になるという報道が出て来ている背景には、そういうことがあるのです。
飯田)国会の延長もないのではないか、そうするとダブルもないのではないかと連想ゲームのようになる。そういう記事も出ていますよね。
通常、参議院選挙で負けない場合、ダブルはない
須田)そしてもう1つ、この統一地方選挙・参議院選挙の年は与党が非常に不利だと言われます。統一地方選挙を落として、参議院選挙も落とす、だからそうならないためにダブルをぶつけるのだと。通常は、参議院選挙が劣勢に立たされているときに総選挙をするものです。ところが今回は早い時期から、「参議院選挙は負けないのではないか」という事前の調査結果が出て来たのですね。勝てる選挙でダブルにするという例は、戦後政治史上ありません。
飯田)必ず「劣勢だ、やばい」というときに、このような判断があったということですね。
「憲法改正」をテーマにして衆議院選挙に進む可能性も
須田)はい。そうすると、選挙に踏み切るためには大きな大義のようなものがないといけない。ここから先は私の個人的な観測ですが、そうすると消費税増税の是か非かぐらいでは衆議院選挙に踏み切れないし、踏み切ったとしても勝つことがおぼつかなくなって来る。もう少し大きなテーマは何かと言うと、憲法改正です。
飯田)ついにそこを争点のど真ん中に持って来る。
須田)ここに来て、憲法改正ということが議論されるようになって来た。与党からも情報発信が多くなって来たところを考えると、本当に衆議院選挙はないのかどうかということは微妙ではないかと思います。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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