麻生氏が「GDP悪くない」という本当の理由
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月22日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。GDPの速報値を受けての麻生財務大臣の発言について解説した。
麻生財務大臣~GDP速報値プラス成長に「悪くはない」との見解
麻生財務大臣は5月21日、1月~3月期のGDP(国内総生産)速報値が2期連続プラス成長になったことについて「悪くはない」との見解を示した。消費増税の最終判断や噂される衆議院の解散の判断については「関係無い」と明言している。
飯田)月曜日(20日)に発表になったGDP国内総生産の速報値ですが、民間のエコノミスト予想は「マイナスではないか」と言われていました。季節調整済みの実質で0.5%のプラス、これが1年間続いたと仮定した年率換算ではプラス2.1%ということです。
高橋)私も外しました。どうしてマイナスと予想したかと言うと、話が分かりやすくなります。「消費と設備投資と輸出」というものがあります。それが全部マイナスだと、だいたいマイナスになります。だから私はマイナスと予想しました。その他に輸入があり、それは消費と似ています。それもマイナス。計算上は消費と設備投資を足して、輸出を足して、輸入を引くのがGDPの定義です。輸入がマイナスだと引くマイナスマイナスでプラスになってしまうから、それが大きいとはあまり予想できないのですよ。
飯田)輸入がここまで減るとはね。
「消費・設備投資・輸出・輸入」すべてマイナスでGDPがプラスとなるのは100分の1
高橋)輸入が減ることがかなりプラスで、消費と設備投資と輸出・輸入が全部マイナスで、プラスになってしまった。こういうときは過去のデータを見るのですが、過去25年で4半期だからデータが100個くらいあって、たった1回しかない。100分の1くらいの確率でこういうことが起こるのですが、そこは予想しづらいです。消費と設備投資と輸出が全部マイナスで、プラスになることは滅多にない。
飯田)自民党の西田昌司さんも、完全な縮小均衡のなかでプラスになってしまったという。
高橋)これは全部マイナスだから、はっきり言ってよくないですよ。麻生さんが「関係無い」と言うのは、「衆議院解散は俺の話ではないから関係無い」と言っているだけだと思います。雇用所得が良いとか、内需が良いとか言うでしょう。雇用や所得のデータは遅行指標というもので、景気の後から来るものだから、これが多少良くても悪くなっているということです。先を少し見れば、先行指標を見ると悪くなったので遅行指標が良くても慰めになりません。
飯田)今回、日本の需給の関係で見たデフレーターがマイナスになっていると、逆戻りになりかねない。
「消費・設備投資・輸出」がマイナスで良いわけない
高橋)これでいい数字だとはなかなか思えません。マイナスのマイナスでプラスでは情けないでしょう。悪いということは間違いないです。消費、設備投資、輸出のどこかにプラスがあってプラスになれば「私の予想のミスです」と言うことできますが、全部マイナスだから基本は当たっているのですよね。逆に言えば、こんなことを根拠にして増税したら、恥をかきます。
飯田)実質景気は冷え込んでいるようなもので、さらに冷え込ませることになりますよね。
高橋)消費と設備投資と輸出が全部マイナスなのですから、これで良いわけがないですよ。
飯田)これからG20もあり、世界がどう見るでしょうか。
「悪いのは外需」は「アベノミクスの失敗だ」とは言われない
高橋)政府のなかでも内需のことを言っているのは、内需はそこそこで、裏返せば外需は悪いという話です。外需が悪いときには、アベノミクスの失敗だと言われないのですよ。外需は仕方がないと。そういう背景もあって、「内需はそこそこだ」と言っているのだと思います。リーマンショック級の話は「これは外需が悪いですよ」と言う話だから、「アベノミクスの失敗ではありません。これは外需が悪いのです」という、今回のデータはその布石でもありますね。
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