リスクの見通しがきかないなかでの消費税増税は危険
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月20日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。10月に予定されている消費増税。10%に上げることのリスクの高さについて解説した。
10月消費増税は予定通りなのか
茂木敏充経済再生担当大臣は5月19日、NHKの『日曜討論』で、アメリカと中国の貿易摩擦が激化するなか、日本経済の現状について内需全体が腰折れする状況にはないという認識を示した。その上で消費税は法律で定められた通り、10月に8%から10%に引き上げる予定だと明言した。
飯田)法律の通りならば必ず増税されるということですが、世論調査を見ていると、このところ賛成より反対が増えています。共同の世論調査によると賛成37.6%に対して反対57.6%。読売は44対51で反対がやや多いという感じです。
須田)これは19日時点での茂木さんの発言という点が、意味のあるところです。きょう20日、GDP統計1月~3月期の速報値が出て来ます。その速報値を受けて、じっくり検証するのが必要なのではないか。つまり19日までだから、こういう発言になったのだということです。
方向性としては消費増税を決められた通りにやりたいのだけれども、やれるような環境なのかどうなのか、これから検証されて行くのではないかと思われます。いくつかの現場の第一線を見て行くと、1つは雇用。ここ最近、新聞紙面では人手不足で悲鳴とか雇用がタイトであるとか、そういう文言が踊っています。でも活字は遅い。いま企業を回っていると、雇用が少し緩んで求人のペースが落ちて来て、採用がしやすくなっていると人事担当者は言い出しています。それは何を意味しているかと言うと、採用する企業サイドとしては先行きの不透明感を受けて抑制気味になって来ている。それは単純に先行きの不透明感を何となくイメージしているのではなく、現実問題として、いろいろな業種や産業によってなのでしょうけれど、実際に注文数量が減って来たり、あるいは納期のインターバルが開いたり。どうも状況がおかしいぞと実感し始めているから、採用の方にも影響を及ぼしているのではないかと思うのです。
米中貿易戦争の影響が日本に及ぶのはこれから
須田)その大きな原因は、中国の景気後退。それと米中貿易戦争。ただ貿易戦争の激化は、まだ現実問題として中国企業の注文に変化は出て来ていません。これは中国国内の景気減速の影響です。全製品25%の追加関税をかけた、米中貿易戦争の影響が出て来るのはこれからです。
これがどの程度の影響を日本に及ぼすのか。それから消費税増税を行うかどうかの判断も出て来るのではないかと思います。いずれにしてもきょうのGDP統計、これは言ってみれば中国の景気減速の影響をもろにかぶっていますから、これもどの程度出て来るのか注目したいところです。
飯田)経済の作用はややタイムラグがあることを考えると、10月にはそういう影響がドンピシャリで来るタイミングになってしまいそうですね。
須田)そうですね、米中の問題の影響がいちばん及んで来る。
飯田)そこをどうとらえるか。追加の景気対策の方でカバーする形になるのか、それとも増税そのものをやめて、もう1回延期するのか。
計算できない“リーマンショック級”と言われる中国の影響リスク
須田)中国との問題が出て来ると、サプライチェーン全体の問題に及びます。どの程度の影響が出るのか見通しがきかない、計算ができない。
飯田)リーマンショックだって、直接の債権を日本はあまり持っていないから大丈夫だと言われていたのに、蓋を開けてみると日本がいちばん影響を受けていました。
須田)91年のバブル崩壊以上の影響が日本に及んだわけですから、そういった計算できないようなショックがどの程度出て来るのかということだと思います。
飯田)そう考えると、リーマンショック級という部分が俄然現実味を帯びて来るようなところも。
須田)そのリスクがあるなかで、危険を冒してまでやるべきだろうか。私はリスクを見通せないのであれば、消費税増税は先送りすべきだと思います。「この程度のリスクがあるから、この程度の経済対策をやりましょう」と言うのであれば説得できますが、そもそものリスクが計量できないのだから。
飯田)対策を立てようもない。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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