韓国への輸出規制の基準見直し~当分続く日韓のチキンゲーム
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月5日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。日本が韓国への輸出規制の基準を見直したことに関するニュースについて解説した。
日本が韓国に対する輸出規制の基準を見直し~韓国から反発
日本政府は7月4日から韓国に対する輸出規制の基準を見直した。規制の強化は韓国の基幹産業である半導体の製造などに使われる化学製品3品目が対象となっている。この規制について安倍総理は、「禁輸措置ではなく、通常の貿易に関税をかけるわけでもない。韓国に国際約束を反故にされたからこういう行動をとった。国際約束が守れないのであれば我々はいままで取っていた特別な優遇措置はやめて、普通の手続きに戻した」と述べた。
飯田)一方で、韓国は国家安保会議を開いて措置の撤回を求め、WTO提訴を含めた外交的対応策を積極的にとる方針を決めたということです。
「日本は本気である」というメッセージ
宮家)要するに、日本の措置は周到に練られた韓国の急所を突く一手だと思うのです。少し言い方が回りくどいのですが、信頼が欠けたため、特別に優遇していたのを普通に戻しただけだという説明です。パネルで訴えられる可能性があるので、WTO協定との整合性をとっている。そういう理論武装をしたということなのでしょう。日本だって本当はこんなことをやりたくないのです。日本の企業にも影響が出ますから。しかし大阪G20会合まで待っても、韓国政府は何もやらなかった。そうなれば対抗措置かどうかは別として、「日本は本気だ」というメッセージをどこかで出さなくてはいけない、という判断だったのだと思います。それは間違っていないと思います。ただ、外国ではいろいろ言われていて、日本もトランプ大統領と同じになったと言う人もいる。
飯田)ウォールストリートジャーナルにも…。
宮家)しかし、一緒にしないでほしいですよ。いろいろなルールに基づいて、優遇していたものをもとに戻したということですから。関税をかけているわけでもありません。周到に考えられた措置であるのは間違いないのです。ただ、これで物事が上手く行くかと言ったら、逆でしょうね。こうなるとチキンゲームになります。当分はこれが続くと思います。
飯田)日本側から言わせれば、レーダー照射のこともあるし。
宮家)ええ。そもそも1965年の基本条約の話だから。
飯田)その前提を大法院、最高裁判決と根底から壊すようなことをして来た。
宮家)普通はやらないですよ。しかし、韓国の司法は少し違いますよね。いまアメリカの最高裁でも保守派の判事が増えていると言われていますが、それに倣えば、韓国の司法も少し左に寄っていませんか? 普通だったらこういう判断はしないです。彼らは国内法を優先すると思っているのでしょう。しかし、基本条約を破ったら、それは国家として約束を破ったということなのだから、誰も信用しなくなりますよ。もちろんどこの国にも国内政治はあります。しかし、きちんとつじつまを合わせるのが行政府の仕事なのだから、司法がそういう形で出たとしても、行政府は何らかの努力をしなくてはならない。しかし、その努力の「ど」の字もない。どう考えても韓国のほうが分が悪いと思いますけれどね。もう少し悩んでほしいのですよ、行政府には国際法をわかっている人がいるのだから。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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