香港デモ隊を警察が強制排除~香港の動静を見ている台湾
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ニッポン放送「飯田浩司の OK! Cozy up!」(7月29日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。香港での「逃亡犯条例」改正案を巡って行われたデモ隊を27日、警察が強制排除したニュースから、香港、台湾と中国本土の今後の関係について解説した。
香港で27日大規模デモ~警官側は催涙弾で応酬
香港で身柄を拘束した容疑者の中国本土への移送を可能とする逃亡犯条例改正案に対し、週末の土・日に大規模デモが行われた。1週間前(21日)、香港の駅構内でデモ参加者が白いTシャツを着た集団に襲われるという出来事があり、当局は安全上の問題からこのデモを許可していなかったが、これに抗議する集会という形でデモが始まり、警察は道路を占拠したデモ隊に催涙弾を発して排除した。
飯田)この催涙弾の発射が水平射撃という、威嚇でも何でもなく、ある意味デモ隊の参加者に当たったとしても仕方がないという形でやっているところは、暴力が大分エスカレートしていますよね。
中国本土、香港警察との連携が見られる香港マフィア
須田)そうですね。加えて、先ほど話にも出て来た白Tシャツ隊ですが、映像を見るとどう見ても襲っているのはその筋の、マフィア系の人たちなのだろうと思われます。考えてみれば香港が中国に返還された際に、中国はそういう地下組織に対して厳しい対応を取るところなのですが、厳しい壊滅作戦を取らずに、存在そのものを容認して来ました。香港には14Kや新義安など、従来からマフィアの組織が蔓延っていました。これらは当時の統治者であるイギリスと対峙していたのですが、中国はもともとそういう地下組織が社会に浸透している土壌があるがゆえに、そういうところも利用しようという思惑があったのでしょうね。ですから返還されて以降も、マフィア勢力は温存されたわけです。以前からあったのですが、大陸側の体制に立った行動活動が目立つようになって来た。存在そのものが違法ですから、日本の暴力団とは違って、メンバーであることがわかれば逮捕される対象になっています。それが香港警察と連動することを認めるはずはないけれども、この動きを見てみると中国本土との、そして香港警察との連携性というものが色濃く見えますよね。
飯田)ああやってデモ隊に対して暴力をふるう部分と、これは現地の報道やネットの噂ではありますが、デモ隊のなかに入ってより過激な活動をさせることで警察と衝突をさせて、デモ活動や反体制的な活動を壊滅させようとしているという話も出ていますよね。
香港の様子を見ている台湾~中国による一国二制度の行方
須田)先日の議会乱入事件なども、そういったマフィアの先導があったのではないかとも言われています。そもそもこの一国二制度は、台湾を意識した制度です。ところが香港が返還されたものだから、先にそれを当てはめる。そこがうまく行かないと台湾の方が身構えてしまいますから、ますます統一は夢のまた夢ということになる。当然のことながら、一国二制度が香港に対してどういう扱いをするのか、台湾サイドはしっかり見ていると思います。現状を見てみると、50年間は現行制度が認められているのにも関わらず…これは香港の憲法で決まっているわけですよね。それがないがしろにされて、人民解放軍が香港に堂々とやって来るという状況を見てみると、中台統一は現実的には不可能ではないでしょうか。つまり、軍事的な占領でなければ不可能ということになるのではないかと思いますね。
飯田)その辺は台湾の民意も非常に敏感に反応していて、一時期は人気が落ちていた蔡英文総統の支持率も上がっており、このまま総統選に突入すると、国民党の韓国瑜さんが今回代表に選ばれましたけれども、1対1になったら蔡英文さんが勝つのではないかと言われています。明日は我が身だという危機意識が台湾の方々にもある。
須田)中国共産党サイドも台湾総統選は意識しているために、あまり強行策は取れない。だから、デモに参加して好き勝手やるとこういう目に遭うぞということで、マフィアの投入になったのではないかと思いますね。
飯田)本当にいろいろなところから工作をかけているということを、日本のメディアも一部報じる部分があって、毎日新聞が特集で書いています。旺旺という台湾のメーカーが、台湾のメディアも買い占めて影響力を及ぼしているけれど、これが中国本土と連携していると言われていて、中国から編集の支持があったのではないかと、台湾当局が調査に乗り出しています。メディアを含めての工作も相当激しいようですね。
須田)そうですね。香港の公式メディアはほとんど大陸系ですから。だから香港の人たちは、新聞なんか信用していないという状況になっています。
飯田)この香港のデモでも、大公報という香港の新聞の本社前を通るらしいのですが、大体そこで奇声を上げると。かなり信用を失っているみたいですね。
インターネットの進歩~苦しい状況の中国共産党
須田)SNSを中心としたインターネットの進歩というものが、香港を吸収したときの比ではないですから。そういった点では、いまいちばん厳しい状況になっているのは中国共産党サイドではないかなと思いますけれどね。
飯田)これが中国本土で行われていたら、あっという間に弾圧されるのでしょうけれども、SNSや世界中のメディアがこれだけ報じているというのは、中国政府にしたら相当なプレッシャーになっているのですか?
須田)そうですね。ですから自由に出入りして、建前上でしょうけれども自由に情報発信ができる。中国本土に入れば完全にコントロールできるのだけれども、そうではないために、中国としても全部コントロールできないということがジレンマになっているのでしょう。だからイギリスの記者がビザの更新を拒否されたり、そういった形でプレッシャーをかけているのだろうと思います。
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