トランプ大統領の弾劾~裁判はできても弾劾には至らない

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月4日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。米下院委員会が進めるトランプ大統領の弾劾調査について解説した。

トランプ大統領の弾劾へ、下院が前高官を聴取

アメリカの下院委員会は3日、ウクライナへの圧力疑惑をめぐるトランプ大統領の本格的な弾劾調査入りに向けて、ウクライナ問題の特別代表を務めたボルカー氏から事情聴取する宣誓証言を非公開で行った。これは野党民主党が多数を占める下院で、弾劾調査入りを表明後に出した召喚状に基づく初の聴取となる。ボルカー氏はトランプ氏の弁護士を務めるジュリアーニ元ニューヨーク市長と、ウクライナ政府関係者を引き合わせたと指摘されている。

飯田)オバマ政権の副大統領だった、バイデンさんをめぐる問題の調査をウクライナにお願いしたと。

ジュリアーニ元NY市長がトランプ大統領の私設弁護士として暗躍

宮家)トランプさんが直接、首脳会談で電話をしたときに、わざわざ取り上げたということです。異常な電話会談だとは思います。その中身が出て来て、ジュリアーニさんという元ニューヨーク市長が、いまトランプさんの私設の顧問弁護士をやっており、暗躍しているのです。ウクライナにも口を出していて、おそらくウクライナの高官と会うためにボルカーさんという人は、職業外交官ですからうすうす感じていたかもしれないし、そんなことをやりたくなかっただろうと思いますけれど、すぐに辞任しました。そして呼ばれて、何を話したかはわかりませんが、実に摩訶不思議なことが起きているようです。しかし私は、弾劾は禁じ手だと思っています。簡単にはできないですから。

飯田)大統領の弾劾は。

上院で3分の2は不可能~裁判はできても、弾劾にはならない

宮家)ご承知の通り、下院では過半数で弾劾裁判を始められるけれども、最終的な評決は上院の3分の2が必要です。上院は共和党が持っていますから、20人くらいの上院議員が寝返らないと、3分の2は取れない。そんなこと、いまの共和党の人たちにできるわけがないのです。ニクソン大統領のウォーターゲート事件がありましたが、あのときニクソンさんは、弾劾されそうになったから辞任した。なぜ弾劾されそうになったかと言うと、当時の共和党の議員が彼を見捨てたのです。そこで、これはもう万事休すだということで辞任した。しかし、いまの共和党の議員がトランプさんを見捨てるかと言ったら、どうですかね。あの人の発信力、それからしつこさ、えげつなさ、これを考えたら難しい。下手に弾劾をして寝返りでもしようものなら、末代までではないですけれど、辞めてもトランプさんはツイッターをしつこくやるわけですからね。あれでしつこくやられたら、私は政治生命が掛かってしまうと思う。そうするとみんな二の足を踏んで、20人も簡単に寝返ると思わない。つまり弾劾はできない。裁判はできても、弾劾にはならないということです。そうしたら、「民主党は何をやっているのだ」となるに決まっています。私は非常に難しい、ルビコン川を渡ってしまったなと。しかも残念ですが禁じ手なので、これでトランプさん辞任とはならないと思います。

飯田)大統領選も間近ということで、民主党も代表争いをやっています。このウクライナ問題で、まさに火中でもあるバイデンさんや息子さんが、何やら怪しいことをやったのではないかということです。

宮家)トランプさんは、中国にも捜査しろと頼んでいるのですよね。頼む相手が相手だと思うのですけれど。そんなことはしないと思うけれど、もしかすると中国もやるかもしれない。そうすると、バイデンさんにさらに泥がつく。

飯田)支持率も落ちていて、ウォーレンさんという方がかなり盛り上がって来ています。

宮家)彼女の方が新しい感じがするけれど、しかし彼女もリベラルだから、はたして民主党をどれだけまとめられるか。そんなに簡単ではない。そうすると、やはりトランプさんが勝ってしまうかもしれません。

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