台風19号水害~昨年「西日本豪雨」のデータは生かされたのか
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月17日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。台風19号の水害における政府の防災体制について解説した。
台風19号による浸水被害~市街地ではおおむね解消
国土交通省は、台風19号による河川の堤防決壊や氾濫で浸水した面積が、少なくとも2万3000ヘクタール、東京ドームおよそ5000個分に上ると発表した。そのうち市街地などの浸水はおおむね解消したが、水が引いたところには大量の泥やがれきが残り、生活再建には程遠い状況となっている。
飯田)長野県千曲川流域でも26ヵ所のうち、25ヵ所で浸水解消となっています。
鈴木)また17日から週末は、雨の予報ですよね。
飯田)そうなのですよ。
鈴木)泥が乾燥する前に取ろうと一生懸命行っていますが、またそこに泥が流れ込んでしまう。お気を付けいただきたいと思います。
飯田)今回、さまざまな被害が出ました。防災減災や国土強靭化と、政権でも言って来たはずなのですが。
自然災害が起きたら、その直後からはすべて人災となる
鈴木)そうですね。堤防を作ろうとか、国土強靭化で何か作ろうと言っても、一晩でできるものではありません。時間がかかって、一生懸命行っている間に次の災害が来るということを繰り返している部分もあります。後手後手に回っていて、政府が反省すべきところもあると思います。「カミソリ後藤田」と言われた危機管理の鬼、後藤田正晴さんが名言を残しています。「自然災害そのものは人間の力ではどうしようもない。だが1度、自然災害が起きたら、その直後から、これはすべて人災だ」と。政治はそういう心構えで行わなければいけない。これは阪神淡路大震災のときに言われたものですが、名言ですよね。去年(2018年)の西日本豪雨は、もちろん自然災害なので止められなかった。しかし、そこから後のことはすべて人災なので、その後にどうやって対応し、いまに備えて来たのか。そういうところを見なければなりません。そうすると備えていないところがたくさんある。一級河川でも、太い幹のような流れの川がありますよね。
飯田)本流みたいなものですね。
鈴木)そこに脇から支流が流れ込んでいます。本流の流れがすごいものだから、本流に支流からの流れが入れず、逆流してしまう。
飯田)水の行き場がなくなってしまうのですよね。
昨年の災害でマークしたバックウォーターの危険箇所は100ヵ所~今回はどうだったのか
鈴木)それが溢れるのが、バックウォーターと呼ばれるものです。去年の西日本豪雨のときも、倉敷市真備町のある支流でバックウォーターがありました。その時点で、国交省を中心に調べていた全国のバックウォーターの危険箇所は、100ヵ所あったのです。ではそこから先、バックウォーターに関してどういう取り組みをしていたのか。そこはこれから検証しなくてはいけないと思います。この100ヵ所のなかにマークされていたものが、今回そういう現象を起こしている可能性もあるわけです。100ヵ所というのもかなり大きなところのチェックなので、山のなかに入って行くと、メインの一級河川のところへ毛細血管のように支流が流れていますよね。
飯田)はい。
鈴木)どこもそういった危険性があると考えると、100ヵ所どころではない。こういうところは果たしてきちんとできていたのか。これはまさに、いまから行わなければいけないことです。
河川の管理体制を一元化する必要性
鈴木)川というものは1本でも川上から川下まで、さまざまな都道府県や町を流れているわけです。その境界線によって管理が変わります。1本の川を辿って行くと、ここまでは護岸工事がきっちりとできているのに、ある橋の瞬間から草が生えっぱなしの状態に変わる。「あれ?」と思うと、そこで管理する自治体が変わっているのです。
飯田)市の境だった、というような。
鈴木)そうなのですよね。水は埋め立てていて、しっかり堤防を作っているところは外に流れず、急流のように川下に行く。そして、その先の少し緩やかな次の管理の自治体になって、堤防のないところに一気に溢れて行く。そのような川の管理体制もそろそろ見直して、一元化した方がいい。そういうことが今回の反省として、すぐに行わなければならないこととして出て来ると思います。
飯田)メールもいただいています、福島県須賀川市の“こーちゃん”さんから。「須賀川市の、阿武隈川の水門が破壊された現場を見てもらいたかったです」と。須賀川市浜尾の現場に、私も行きました。「市民でもまだ行けていないところが多いのです。震災で沿岸の復興に重点が置かれていますが、地道に河川の護岸工事も進めることが必要でしょうね」と。
鈴木)そうですね。
飯田)阿武隈川は一級河川なので、国が管理しています。800億円くらいかけて改修工事を行ったようですが、それでも壊れたところが出てしまった。
鈴木)「これでよし」ということはないと思います。それと水門というものは、水門を閉めるとそこで水が溢れたりします。水門を閉める判断は国交省が行っていて、「閉めましたよ」ということを地元の市町村に確認しながら行わなければならない。こういうことができていなくて、水が溢れてしまう。川にも縦割り行政のようなものがあるのです。先ほど言った川の管理の一元化というのは、ここを全部通さなければいけないということですね。連絡や指示の体系というところ。
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