“自然災害大国”日本~災害対応国家機関は常設すべきか

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ニッポン放送「ザ・フォーカス」(10月15日放送)に中央大学法科大学院教授・弁護士の野村修也が出演。台風19号のような大規模災害に対する、国として必要な対応について解説した。

(※当記事中の各種数値は放送時点のものではなく、記事掲載時点で確認できたものになります)

阿武隈川(福島県郡山市市街地から阿武隈川を挟んで郡山市田村町地区を望む)。手前を横切る高架は東北新幹線。出典:国土地理院ウェブサイト(令和元年台風第19号-Wikipediaより)

台風19号 死者74人に

台風19号による被害は、共同通信の集計によると、東京都と11の県で死者が74人、行方不明者は14人となっている。また国土交通省や消防庁によると、決壊した堤防は7県の55河川、79ヵ所に上り、住宅の床上浸水が7,497棟、床下浸水は6,634棟に達した。

森田耕次解説委員)東京都で亡くなった方は、日野市日野の多摩川の河川敷で、14日の午後にホームレスと見られる男性の遺体が見つかったのですが、台風19号の影響で増水した川に流されて死亡したと見て、状況を警察が調べています。近辺で生活していた70代のホームレスの方に似ているという情報も入っています。福島や長野など、7つの県の公立の小中学校や高校など、合わせて235校が14日も休校となっています。水の深さで立ち入り困難な場所がまだあり、被害の全容は見通せない状態です。警察、消防、自衛隊が取り残された人の救助や行方不明者の捜索を続けています。安倍総理大臣は、きょうの参議院予算委員会で生活などへの影響が長期化する懸念もあると、次のように述べています。

 

安倍総理大臣)今後、生活や経済活動への影響が長期化する懸念もあります。できることはすべてやるとの方針の下、被災者の皆様が1日も早く安心して暮らせる生活を取り戻せるよう全力を尽くしてまいります。

 

森田)土砂災害は、国土交通省のまとめでは19の都県で合わせて170件、浄水場の被災、水道管の破損で断水も続いており、厚生労働省のまとめでは、13の都県で合わせて11万6440戸以上ということです。とにかく河川の決壊が今回は激しく、かなり広い範囲での被害ということになってしまいました。

野村)私たちの生活のなかで、川は思い出の場所や遊び場で、身近に存在しているものですよね。それがこんな形で私たちに被害をもたらすというのは、想像しにくい面があったと思うのです。今回被災しているところは大きな川ではなく、大きな川に入っていく支流のところで逆流などの現象が起こりました。これをバックウォーター現象と言いますよね。大きな川の方が危なく、身近な川は大丈夫だと思っていた方が大きな被害に遭われてしまったのが驚きで、ショックを受けました。

水が引いて孤立状態が解消された丸森町役場庁舎周辺では、町民らが泥のかき出し作業に追われた =宮城県丸森町(2019年10月15日) 写真提供:産経新聞社

丸森町ではようやく水が引く

森田)宮城県の丸森町は、発生から3日経っても土砂崩れによる複数の安否不明者情報が出るなど、被害の全体像がなお見えません。町のなかの道路が寸断し、情報も錯綜して、上空へ向けて「水、食料」と書いたSOSのサインもテレビの映像では確認されています。現在、町の中心部はようやく水が引いて車や徒歩で通行可能になったということですが、地表を一面の泥が覆ったり、町役場の周囲が冠水して、ボートがないと行けない陸の孤島になってしまいました。この町役場に昨日電話してみたのですが、電話も繋がらないということで、町では町長以下職員が泊まり込みで対応に当たっているのですが、電話の不通で県や関係機関にも連絡が取れないと言います。職員は机の上で2~3時間の仮眠を取るのが精一杯というところもあるようです。横浜市の“ケン”さん51歳からメールをいただきました。「毎回、台風のような災害が起こる度に、良くも悪くも各自治体の対応が問題視されています。地震大国でもある限り、災害や防災に特化した省庁や専門機関の常設が必要かと思いますが、現実的には難しいのでしょうか。防災庁を東京につくり、その首長を各自治体につくれば少しはスムーズに対応できるのではないでしょうか」。この番組で昨日14日にコメンテーターを務めた若狭勝さんも防災庁の必要性を訴えていましたが、いかがでしょうか?

2007年3月にアラバマ州エンタープライズを襲った竜巻の被害を確認するため、現地で活動するFEMAの車両-Wikipediaより

災害対策機関の常設は必要か

野村)アメリカでハリケーンの被害が起こったときに、やはり対応が遅れてしまったことがありました。そのときに、こういった役所(連邦緊急事態管理局=FEMA)をつくったのです。国の出先機関として各地に災害対応の拠点となるところをつくったと。これは、1つのモデルケースとして日本でもずっと検討されてきているのですが、実際に国と地方という点では地方の方が情報がありますし、地元のことをよくわかっていますから、二重に対応することがいいのかどうか検討していかなければいけません。国の役割はどちらかというと大きな対応、例えば自衛隊を派遣することや、お金を提供するところにウェイトを置くべきなのですが、いまご指摘のあった点については本当に重要な検討課題だと思います。特にアメリカの場合で重要なのは、被災された方々の名簿をその機関がつくるのです。そうすると、いまの被害状況がよくわかるのですよ。自治体には自分で申告する活動を掌握するだけの余力がないので、自治体任せにせず、被害状況の把握と支援の計画を立てるところに国の省庁が出ていく必要があると思います。

ザ・フォーカス
FM93AM1242ニッポン放送 月-木 18:00-20:20

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パーソナリティは、ニッポン放送報道部解説委員の森田耕次。帰宅時の情報収集にうってつけの番組です。

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