「桜を見る会」~これが本当に国会で議論されるべき問題なのか
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ニッポン放送「ザ・フォーカス」(11月21日放送)に元外務省主任分析官・作家の佐藤優が出演。「桜を見る会」問題について解説した。
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野党「首相疑惑深まった」 参院財政金融委で質問を聞く麻生財務相=11月21日午前 写真提供:共同通信社
麻生氏「桜を見る会」に200人招待も記録なし
麻生副総理兼財務大臣は21日の参議院財政金融委員会で今年の「桜を見る会」に招待した地元関係者らが100人から200人だったと明らかにした。また、招待者名簿があるかどうかを問われると「記録に残っていない」と述べた。政権のナンバー2である麻生副総理が招待した人数が明らかになったのは初めて。
森田耕次解説委員)「桜を見る会」の招待者の推薦枠として菅官房長官はこれまで「安倍総理の1000人程度とは別に副総理と官房長官、官房副長官の合計で1000人程度あった」と説明していました。麻生副総理兼財務大臣は21日の参議院財政金融委員会で今年の「桜を見る会」に招待した地元関係者らが100人から200人だったことを明らかにしました。
麻生副総理)事務所に確認したところ、これは記録が残っておりませんので正確なところはわかりませんけれども、今年に関しては100人から200人ではなかったかという話でありました。
森田)このように招待者名簿については記録に残っていないようですが、100人から200人だったと。一方で、鳩山由紀夫元総理大臣は20日の会合のなかで、旧民主党政権下の2010年に開いた「桜を見る会」に地元の支援者を招待していたと明らかにしました。「数十人のオーダーだと思う」ということで「総理推薦枠の存在は聞いておらず、招待者の選定にも関与しなかった」と説明しましたが、「他の議員よりは大勢招いていたのではないか」と述べています。旧民主党でも同じような状態だったということですね。
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桜の会、招待基準見直しへ 野党が国会内で開いた桜を見る会を巡る追及チームの初会合=2019年11月12日午後 写真提供:共同通信社
野党も思い込みで言っている
佐藤)この話は率直に加熱し過ぎではないでしょうか。私の場合には偏見もあって、こういう加熱を見ると2002年の鈴木宗男疑惑を思い出すのですよ。
森田)まさに佐藤さんが渦中の人物になりました。
佐藤)あのときに私は週刊誌の中刷りで「鈴木宗男の運転手をする外務省幹部の正体」と名指しで記事を書かれたのですが、私のところへは取材に来ないのです。そもそも、私は日本の免許を持っていないのですよ。
森田)運転手なんてできないのですね。
佐藤)それで、鈴木さんの事務所が場所も違うのです。つまり、聞き込み取材をしていないのです。今回だって久兵衛の寿司が出ているといっても、産経新聞の報道を見ると久兵衛の社長が「違う」と言っているし、嘘をつく合理性がないですからね。どうにも関連取材したのを見てみると、野党も思い込みで言っているのです。そして、共産党とN国とれいわ新選組は非難する権利があると思うのです。なぜなら、一度も私物化するチャンスに恵まれていないからです。鳩山さんも五十歩百歩で、99人だったとしても「数十人」だし、もし麻生さんが100人だったとしたら1人しか違わないじゃないですか。新聞の誌面は限られていて、ラジオやテレビの時間も限られています。その時間のほとんどが「桜を見る会」という話になっていると、他のニュースが報じられません。この問題は確かに解明しなければいけませんが、客観的に見て必要かつ十分なものなのかどうか。先週この番組に出たとき(11月14日)、いまの政権批判の話題は大学入試でした。
森田)入学共通テストの問題ですね。
佐藤)それで英語が延期になって、国語も記述式を除外ということになりました。あれが本当の問題だったら、なぜ野党は追及し続けないのでしょうか。どこかへ消えてしまいましたよね。政争の具で使っていたのではないでしょうか。本当に日本と教育のことを考えて議論しているのなら、いまの政権をやっつけられるものがあるのなら何でもやっていこうというのはあまりいい感じはしません。
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「桜を見る会」で安倍晋三首相、昭恵夫人と記念撮影する招かれた人たち=2019年4月13日午前、東京・新宿御苑 写真提供:産経新聞社
この「桜劇場」に国民やマスコミがどこまで付き合うのか
佐藤)ただ、これは偏見もあります。かつてのメディアバッシングでない話が大きくなったことがあるので。私なんて、女連れでイスラエルに遊びに行ったと報じられていたのですから。何でゴラン高原のような地雷が埋まっているところは遊びに行くのですか。イスラエルではロシアに関する国際学会をやったわけですが、聞く耳を持ってくれませんでした。それに近い状態になっているので、その結果何が起きたかというと北方領土交渉が10年以上遅れたわけです。いまの日本にも韓国などの深刻な問題があるし、ローマ法王が日本に来るという外交上大きなことがあって、入試の問題もあります。「桜祭り」をいつまでやるのでしょうか。
森田)憲法改正手続きの国民投票法改正案も、いまの国会で見送るのではないかという報道もあります。国会は何をやっているのか、と思いますよね。
佐藤)野党は与党を倒すのが仕事なのです。しかし、この「桜劇場」に国民やマスコミがどこまで付き合うのかということだと思います。
ザ・フォーカス
FM93AM1242ニッポン放送 月-木 18:00-20:20