“瀬戸際外交”の北朝鮮~討議、決定する「重大な問題」とは何か
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ニッポン放送「ザ・フォーカス」(12月4日放送)に作家・ジャーナリストの河合雅司が出演。北朝鮮の瀬戸際外交について解説した。
アメリカを揺さぶる構えか~切羽詰まっている北朝鮮
北朝鮮の朝鮮中央通信は4日、朝鮮労働党が12月下旬に中央委員会総会を開き、「重大な問題」を討議、決定すると報じた。非核化や経済制裁解除などをめぐる米朝交渉で進展がないことを受け、核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験などを中止するとした2018年4月の宣言を反故にする可能性もある。
森田耕次解説委員)12月下旬に朝鮮労働党が中央委員会総会を開き、「重大な問題」を討議するということですが、具体的な開催日は明らかになっていません。北朝鮮が交渉期限としている年末を前に、アメリカを揺さぶる構えではないかと言われています。北朝鮮外務省のリ・テソン米国担当次官は3日、ICBM発射中止などへの見返り措置を年末までに示すよう、改めてアメリカに要求しています。それを受けて、今度は「重大な問題」を討議するということです。
河合)今回も、かなりの瀬戸際外交をやって来たという感じがします。経済制裁が効いていることは事実のようで、国内に食料も行き渡らず、切羽詰まっているということがあるのでしょう。
森田)挑発を続ける北朝鮮をめぐって、トランプ大統領は3日に「金正恩朝鮮労働党委員長との個人的関係は非常にいい」としながらも、「必要なら軍事力を行使する」と語っています。
河合)先日、ミサイルが発射された後で、米軍の偵察機が北朝鮮の上空を飛んだという情報もあります。いきなり戦争にはならないと思いますが、(水面下では)かなり緊迫した状況にあるのは間違いないと思います。
北朝鮮もギリギリの挑発を続ける
森田)北朝鮮はミサイルの発射を相変わらず繰り返しています。交渉期限を一方的に年末に設定していて、リ・テソン米国担当次官は「クリスマスプレゼントに何を選ぶかはアメリカの決心次第だ」とも言っています。けん制というよりは、脅迫に近い形ですね。
河合)一部では新しい核実験場をつくっているという情報も入っていて、坑道をかなり掘っているということです。全部が核実験のための坑道ではないと思いますが、どこに実験場を移しても不思議ではない状況になっています。もし新しい実験場ができているとしたら、それを特定するのはかなり難しいと専門家は説明しています。もしかしたらそう遠くない時期に、核実験をもう1度やることになるかもしれません。
森田)核実験を行うということになれば、かなり緊張した状態になりますよね。
河合)そうなれば(国連は)追加制裁ということで、さらに厳しい経済制裁をやることになって行くと思いますので、より瀬戸際に追い込まれることになります。
久々に金正恩氏を「ロケットマン」と呼ぶトランプ大統領
森田)トランプ大統領は金正恩委員長についても、「彼はロケットを打ち上げるのが好きだろう? だから私は“ロケットマン”と呼ぶのだ」とも話していて、封印していた“ロケットマン”という発言を復活させています。
河合)アメリカもカリカリしていると思います。GSOMIA破棄問題があったこともあり、いま中国やロシアと北朝鮮が、かなり活発に情報交換をしてると伝えられています。GSOMIAそのものは破棄になりませんでしたが、東アジアの軍事バランスがかなり崩れているということもあって、(これらの国が)アメリカを何とか揺さぶろうとしていますよね。
森田)アメリカが軍事力を使うと大変なことになるわけですから、北朝鮮もそれをはかりながら、けん制しているというところですね。年明けにかけて緊張するかもしれません。
河合)北朝鮮は日本に向かっても、(日本上空を通過するミサイル発射の可能性を示唆するといった)脅しをかけていますしね。
ザ・フォーカス
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パーソナリティは、ニッポン放送報道部解説委員の森田耕次。帰宅時の情報収集にうってつけの番組です。