シティインデックスイレブンスが東芝機械に敵対的TOB~その目的は
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月22日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。投資会社シティインデックスイレブンスが東芝機械に対してTOBを実施することを発表したニュースについて解説した。
敵対的TOB
旧村上ファンド系の投資会社シティインデックスイレブンスは21日、工作機械大手の東芝機械に対して株式公開買い付け(TOB)を実施することを発表した。東芝機械は、他の株主に新株予約権を無償で割り当てる買収防衛策を発動する構え。
飯田)買収する会社の経営陣などの同意なしに、買収を仕掛けることを「敵対的TOB」と言います。ガチンコでやるということなのですか?
高橋)敵対的と言うとおどろおどろしいし、サラリーマンの人から見ると「会社が取られてしまうのか」と思うでしょうが、これは株式市場ではちゃんとした手段なので、敵対的でも友好的でも同じです。友好的というのは馴れ合いで、ただ単に株価を吊り上げるためという気もしますけれどね。
飯田)字面だけで、友好的だからいいと判断するのもよくないのですね。
高橋)逆に経営陣がOKということになっていると、高値で買い戻して株価を吊り上げるという話になりがちなのですよね。敵対的というのが普通かもしれなくて、経営陣に対して「他の経営陣を用意したらもっとよくなりますよ」と言っているようなものですからね。ある意味で狙われる企業は、どこかに隙があるのは間違いないです。
飯田)株主構成を変えないと経営陣を変えることはできないから、敵対的TOBは異議申し立てみたいなものですね。
高橋)こういうときにガチンコでやるのだったら経営陣を用意していないと、ただ高値の買い戻しで、大した話ではなくなってしまうのですよ。
飯田)株価の吊り上げをあまり露骨にやると、市場の操作ということになると思いますが。
高橋)これはこれで、市場操作とは違うということになっているのですけれどね。ただ、場合によってはそう思われるかもしれません。旧村上ファンド系の会社も、きちんとした経営者を用意していなければおかしいです。経営陣を変えて立派な会社にするということであれば、労働者も幸せですよね。
経営陣の交代と運営改善が目的か
飯田)今回、村上さん側の主張としては、株主価値の向上とROE(自己資本利益率)の向上を実現するためと。株主への還元が少ない、内部留保を吐き出せという主張もあるようです。
高橋)要は、経営陣がちゃんと経営していないと言っているようなものです。自分たちがしっかりした経営陣を選ぶということが背景にないと、迫力がないですよね。
飯田)もともとは東芝の関連会社だったわけですが、2017年3月に経営危機だった東芝からグループを離脱していると。名前もこれから先で変えるつもりらしいですね。
高橋)ある意味で東芝という大きな株主がいないから、こういったTOBもできるのかもしれません。浮動株がたくさんあって、自分たちが支配権を持てばちゃんとした経営陣を選べるということだと、社会的にはハッピーなのですよね。ただ単に株式をやって、裏でつながっているという話になっていたら、何をやっているのだということです。
飯田)働いている人からすると不安なのは、株主価値の向上や株主資本主義のようなものが行き過ぎると、従業員に回って来るはずのお金が株主に行ってしまったり、コストカットでリストラになったりすると怖いですね。
高橋)会社は誰のものかという永遠の疑問がありますが、はっきり言うと株主のものなのですよ。
飯田)資本主義社会である以上は。
高橋)変な株主が来たら、いまは雇用環境がいいから他の会社へ行ってしまうという手もありますよね。人手不足だから同業他社へ移ってしまうと。技術があればできるでしょう? そういう意味では、緊張感がある方がいいのです。
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