ベゾス氏ハッキング疑惑~ムハンマド皇太子の関与の可能性は
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月24日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。アマゾンCEOのベゾス氏がハッキングされたニュースについて解説した。
スマホに極秘情報があるのだろうか
国連の人権高等弁務官事務所が22日、アマゾンの創業者でCEOのジェフ・ベゾス氏の携帯電話がハッキングされ、情報が抜き取られた件にサウジアラビアのムハンマド皇太子が関与した可能性が高いと指摘し、捜査の必要があるとの声明を出した。
飯田)アマゾンのCEO、ベゾスさんはワシントン・ポストのオーナーだということもあって、ジャマル・カショギさんというサウジアラビアの記者の方の殺人に関して、情報操作をやろうとしたのではないかということが指摘されています。
宮家)この2人が会って、電話番号を交換した。それからサウジ側から何らかのデータ化アプリが送り付けられて来て、その直後から情報が洩れ始めたという話でしょう。でもそれは二人の人間が会えば電話番号の交換くらいはしますよね。それから、そもそもそんな情報が極秘情報であるはずがないですよ。
飯田)スマホに入っているような情報が。
側近の誰かが忖度してやったのではないか
宮家)私はムハンマド皇太子が「この番号でハッキングをしろ」と言ったとは、どうしても思えないのです。サウジアラビアには、サウジアラビアなりの忖度があるわけですから。皇太子と言いますが、国王は相当のお歳ですから、ムハンマドは実質的な国王です。サウジアラビアの王位継承の歴史は、これまでは基本的に兄弟でずっと来たのです。アブドゥルアズィーズ初代国王の息子はたくさんいる。何十人もいて、彼ら兄弟間で王位を継いで来たのですけれど、ムハンマド皇太子が国王になれば、初代国王以来初めて、親から子への王位継承になるのです。これはサウジアラビアにとっては革命的なことです。彼はいい意味でも悪い意味でも、サウジアラビアを変えようとしている。彼はそのリーダーなのです。本当にあの国が変わるかは別として。
そうすると、彼に従っている人がたくさんいて、彼を守ろうとしている人もいる。カショギさんは正確にはハーシュクジーさんと言いますが、ハーシュクジー記者がイスタンブールでいなくなってしまって、おそらく殺されているのだけれども、誰がやったのかといえば、結局はトカゲのしっぽ切りでした。サウジアラビアで裁判はあったけれど、ムハンマド皇太子の側近はお咎めなしだった、などいろいろなうわさが流れています。しかし、皇太子はそこまで悪くないだろうと思います。周りの怪しい人間が忖度をして、「ベゾスの番号を手に入れたのですか、これはちょうどいい、ちょっと見てみましょう。ワシントン・ポストの社主でもあるのでしょう・・・」といった感じです。番号が分かろうがなかろうが、そんな番号なんて入手しようと思えばいくらでも手に入りますよ。ですから、側近らが連絡を取った上で、何らかのアプリを送り付けたのかもしれませんが、皇太子が直接やったと結論付けるのはまだ少し早いと思います。
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