国連が調査結果を出したカショギ氏殺人事件の真相
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月21日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。国連が公表したサウジアラビアのジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏がサウジ領事館で殺害された事件の調査結果について解説した。
ジャマル・カショギ氏殺害事件~ムハンマド皇太子の関与を調べる必要があると国連が公表
ジャマル・カショギ氏は生前、サウジアラビア王室の批判を続けていたサウジアラビア人のジャーナリストで、2018年10月にトルコ・イスタンブールのサウジ総領事館で殺害された。事件の調査を行って来た国連の調査担当者は信頼にたる証拠があるとして、サウジアラビアのムハンマド皇太子の関与について調べることが必要だとする調査結果を公表している。
飯田)国連のアニエス・カラマール氏という、特別報告者の方が報告書を出したということですが。
宮家)誰が頼んだのですかね、これ。
飯田)どうやら国連の人権委員会のようです。
宮家)人権委員会はもちろん権限として、人権に関わる話だから調べているのはいいのだけれど、報告書を出したからといって、どうなるものでもないと思います。サウジアラビアは皇太子の関与を完全に否定しているのです。一方トルコはいろいろな情報を持っていて、なぜ持っているかは知らないけれど、総領事館内部の音まで聞いているのだから、いろいろな情報をおそらく国連に渡して、国連で調べた結果がこうだということなのでしょう。私も中東屋ですから、いろいろ言いたいことはあります。まず、そもそも被害者の本当の名はジャマル・カショギではないのです。
飯田)違うのですね。
宮家)ジャマール・ハーショクジーと言うのですよ。だけど誰も発音できないから、自分で「カショギ」に直したのだと思います。トルコのイスタンブール総領事館で消えたことは間違いないし、それ自体はとんでもないことです。ただ、私は誰の肩も持つ気はないけれど、サウジアラビアの皇太子が指示したかは分かりません。彼ははものすごく英語が上手です。会話どころか交渉もできる人で、世の中のことをよく分かっている人です。そのような人が「こいつをやってしまえ、殺してしまえ」と言うとはあまり思えません。甘いかもしれないけれど、サウジアラビアにも皇太子に対する一種の「忖度」があったのではないかと思うのです。
「こいつ、おかしいのではないか」と皇太子さまがおっしゃって、手下の者が過剰反応したのかもしれない。もし報道されていることが本当に起きたのだとしたらね。それにしても、やり方が下手です。しかもトルコのイスタンブールで、トルコ政府に全部聞かれていたのだから、お粗末も甚だしい。やった人がいたら、本当に頭の悪い奴だとは思うけれど、それが上からの命令かどうかは簡単にはわからない。真相を知るのは難しいでしょうね。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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