黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に、雑誌『ハルメク』編集長・山岡朝子が出演。『ハルメク』の編集方針について語った。
黒木)今週のゲストは50代からの女性を対象とした女性誌『ハルメク』の編集長、山岡朝子さんです。山岡さんは主婦と生活社に入社以来、ずっと雑誌畑でやっていらっしゃる。そして『ハルメク』の編集長に就任されたのが、2017年ということです。会社が違うので、ヘッドハンティングされたということですか?
山岡)『ハルメク』の新しい編集長を探している、というお誘いがあったのです。私も元の会社に丸20年勤めて、いくつかの雑誌の編集長をして、創刊もやったし再建もやって、やり切ったかなと。そろそろ新しいチャレンジをしたいと思っていたタイミングでいただいたお話だったので、行ってみようと思いました。
黒木)転職という意味では、勇気がいりますよね?
山岡)雑誌の編集長という点は同じなので、そこの不安はなかったし、逆に新しい読者層へのチャレンジということで楽しみでもありました。「転職はいいものだな」と思いました。新しい刺激がたくさんありますし、知らない人ばかりのなかでどうやって関係をつくるのか、自分がやりたいことをどうやって理解していただくのかなど、自分にとっても成長の機会になりました。前の会社も大好きでしたが、『ハルメク』のことも大好きになって、得をしたなと思っています。
黒木)山岡さんはまだ40代でいらっしゃるのですよね。世代のギャップはありますか?
山岡)シニア向け雑誌の難しい点はそこで、私を含めてスタッフが誰もシニアになっていないのですよね。想像で埋めて行かなければならないのが難しいところで、実際に入った当初はギャップがありました。ただ、たくさんのお葉書をいただき、実際にお会いしてお話を伺う機会も多いので。
黒木)読者の方の声を聞けるシステムをつくっていらっしゃるからこそ、できることですよね。
山岡)そこは編集者として、昔から大事にしていることです。想像でつくらないということです。お話を聞く。隙間はイマジネーションで埋めるのですが、ベースは大事にしています。
黒木)ちゃんとその世代の方々のお話を聞いていらっしゃるからこそできて、自信にもなるのでしょうね。
山岡)例えば、雑誌のなかでは読者の方を「シニア」とは呼んでいません。お話ししてみたら、みなさんが自分たちのことをシニアだとは思っていなかったからです。だから紙面では使わないようにしよう、ということになりました。聞いてみないとわからない気持ちはたくさんあります。
黒木)深いですね。
山岡)私を含めて、編集部員が大事にしていることはリスペクトです。読者の方はみんな年上で、長い人生を歩んで来ていて、私たちよりもずっと知識も経験もあって目が肥えています。浅い取材をすると、すぐに見抜かれてしまいます。こちらもよく勉強をして、尊敬の念を持ってお話を伺う。聞いたお話を大切に文字に残す。人生経験を積み重ねて来た方々に対して、本をつくっているという緊張感をいつも持っています。
山岡朝子(やまおか・あさこ)/雑誌「ハルメク」編集長
■1997年、主婦と生活社に入社。雑誌『すてきな奥さん』『CHANTO』などライフスタイル系の雑誌の編集長を歴任。
■2017年に「ハルメク」に入社。50代からの女性を対象とし、健康、料理、旅、ファッション、美容など、さまざまなテーマを取りあげている月刊誌『ハルメク』の編集長に就任。就任後2年で実売部数を2倍に引き上げた。
【ハルメクとは…】
■自宅直送の有料定期購読誌。書店には流通していない。
■主に50代からの女性に向けて、生き方や暮らし方を提案する雑誌構成。
■出版不況が叫ばれるなか、月間31万部を発行。
■徹底したリサーチや読者からのはがき、モニター会員との座談会など、読者とのコミュニティを活かした雑誌づくりが行われている。
■通販やイベント、リアル店舗など、雑誌との連動するコンテンツが人気。
番組情報
毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳