ニッポン放送「ザ・フォーカス」(3月10日放送)に拓殖大学教授・ジャーナリストの富坂聰が出演。イタリアでの新型コロナウイルス感染拡大について解説した。
新型コロナウイルス感染~イタリアで移動制限を全土に拡大
新型コロナウイルスのイタリアでの感染者が9,000人を超えたことを受け、イタリア政府は「人の移動を制限する措置を全土に広げる」と発表した。4月3日までの間、緊急の際や健康上の理由、仕事や必要な場合を除いて外出を控え、自宅で過ごすよう求めると共に、屋外で人が集まることを禁止するとしている。
森田耕次解説委員)WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長は9日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて「パンデミック(世界的大流行)の脅威が非常に現実味を帯びてきた」と述べました。一方で、依然として「制御は可能だ」とも述べていまして、各国に感染拡大防止に向けた取り組みを放棄することのないよう求めています。共同通信によりますと、新型コロナウイルスに感染した死者は10日時点で世界全体で4,000人を超え、感染が確認された人も11万3,000人以上に上っています。特にイタリアでは9日には死者が前日より97人増えて463人、感染者は1,797人増えて9,172人と韓国を上回り、死者感染者共に中国に次ぐ2番目になりました。こうした事態を受け、コンテ首相が10日からイタリア全土で個人の移動制限を実施することを発表しました。富坂さんはこれをどうみていますか?
富坂)中国でも湖北省武漢以外では重症化や致死率が低いのですよね。ですから、あまり怖いウイルスではない印象です。でも、累計9,000人で死者が463人ということは、5%くらいですよね。ですから、これは異様に高いですね。確かにうつりやすいような習慣(挨拶のハグやキスなど)を持っているし、マスクもあまりしないのでしょうね。
森田)確かに、あまりしなさそうですね。
各国で入国制限の動き
富坂)人の移動を制限する措置は厳しいように見えますが、イタリアで広がっている致死率の高さを見ると、やらないといつまでも終わらないものになりかねません。EU域内で自由に行き来ができるシェンゲン協定の制限もやむなしだなと思います。この問題がヨーロッパに移る可能性まで見える話だと警戒しています。
森田)イタリアと中国の関係はどうなのですか?
富坂)この問題に関しては、観光客の問題が大きいと思います。
森田)イタリアに訪れる中国人観光客ですか。
富坂)すごい数行っていますよ。1人辺りが使う金額も多いので、歓迎されています。特にイタリアは、「一帯一路」でいちばん最初に協力を表明しました。
森田)G7のなかで最初でしたね。
富坂)関係が深いのですよね。韓国や日本が大変だったのも同じパターンです。ただ、1つ違うのは重症化していく割合が高いことですよね。
森田)安倍総理は対策会議でイタリアとイランの一部地域を入国拒否の対象にするということで、イランも7,000人以上に感染して237人が死亡しているという状況です。
富坂)これは、お互いのためを思ったらやらなければいけないですよね。中国もイタリアから来た人が4人浙江省に入ったようですが、なかには解熱剤を飲んで一時的に熱を下げて入った人が追跡調査で捕まっています。これは国家安全危機罪といって、下手をすれば死刑の可能性もある厳しい法律で裁かれます。いまは国内感染よりも輸入の可能性を警戒するように変わってきていますね。
森田)そうすると、中国は韓国あたりを警戒しているのですか?
富坂)韓国とイランをいちばんに挙げていますよね。日本からはそれほどでもないですが、自動的にホテルで隔離される状況ですね。
中国・福建省で経過観察対象者を隔離したホテルが倒壊~70人以上が下敷きに
森田)中国福建省の泉州市のホテル倒壊ですが、下敷きになっていた71人のうち20人の死亡が確認されたと。41人が救出されて、残る10人の救出作業を進めているということですが、あれは経過観察対象者の隔離施設でした。突然倒壊しましたね。
富坂)とんでもないことです。一説には不備があって、直している最中に倒れたといいます。そもそも中国には古い建物でよくないものがあるのですよね。
森田)わざとそういうところに入れたのでしょうか。
富坂)空いていたから入れたのだと思いますけれどね。
森田)改装作業のときに柱が変形したと言っていますから、そういうことなのでしょうか。
富坂)そう言っていますから、それ以上のことはわかりませんね。
番組情報
錚々たるコメンテーター陣がその日に起きたニュースを解説。佐藤優、河合雅司、野村修也、山本秀也らが日替わりで登場して、当日のニュースをわかりやすく、時には激しく伝えます。
パーソナリティは、ニッポン放送報道部解説委員の森田耕次。帰宅時の情報収集にうってつけの番組です。