金正恩氏 死亡説・重篤説 世界を駆け巡った理由
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月4日に放送)ジャーナリストの須田慎一郎が出演。北朝鮮情勢について解説した。
死亡説・重篤説は、北朝鮮サイドから意図的に流された疑いも
韓国軍合同参謀本部によると、3日朝、南北軍事境界線の非武装地帯で北朝鮮側が韓国側の軍監視場に銃撃した。4発の弾痕が確認され、韓国側は対抗措置として北朝鮮に20 発の警告射撃を実施。韓国側の人員や装備の被害は出ていない。
飯田)2日には北朝鮮の国営テレビで金正恩委員長が4月11日以来となる公の場で肥料工場の竣工式に出席した様子を伝えました。メールでも「これはどうなのですか? 本物なのですか? 影武者なのですか?」というようなこともいろいろいただいております。須田さんはこの一連の北朝鮮の動きをどう思っていますか。
須田)影武者かどうかを別としても、大前提として、北朝鮮が公的に2日時点で、金正恩委員長が生存しているという情報を発信したというところが一番大きなポイントです。加えて、私もそうですが死亡あるいは重篤説を信じていた者からすると「まんまとしてやられた。騙されたな」というふうに思います。私がなぜそういった死亡あるいは重篤説を信用したのかというと、全く無関係な複数のソースから、やはりそういった情報が寄せられたということが1点目。2点目としては、実は日本政府も4月末の段階で北朝鮮サイドが重大な発表を行うという情報をキャッチして、それをモニタリングしていたという経緯があるのです。もちろんその重大発表というのは、健康状態に関することという認識のもと緊迫した感じが伝わってきました。そうすると、どうなのでしょうか、死亡説、重篤説というのはある種、北朝鮮サイドから意図的に流された情報ではなかったのかという疑いが濃厚になってきています。意図や目的は何なのかというところは、今後検証していかなければならないでしょうが。そういった点でいうと、アメリカあるいは日本も含めて世界各国は、まんまとしてやられたなあという感じがしてなりません。
今回の銃撃、体制が揺れ動いていることの裏返しとの見方
須田)ただ、そうはいっても、これはあまり大きく報道はされていませんが、北朝鮮の公的メディアが日本に対して極めて厳しい論評を最近載せている。これは靖国神社の献花に花を贈った問題に対して厳しい論調を載せて安倍政権を強く批判してみたりといろいろな動きがある。その中で今回の銃撃戦というのを位置づけますと、やはり北朝鮮を取り巻く状況が大きく揺れ動いていることは間違いないだろうなと思います。少なくとも普通の西側先進国でも今回のコロナウイルス問題で、経済的に大きな大きなダメージを負っていることは間違いない。もちろん北朝鮮は、そうではなくても国連の経済制裁を含めて、経済的に大きな影響を被っていたことは間違いないところに、コロナウイルス問題が加わってくると相当経済的にひっ迫しているのではないか。それに対する要求といえばいいのでしょうか。事態を動かしていかなければ、体制がもたなくなってくるのではないかという感じもしてなりません。
飯田)コロナウイルス自体が北朝鮮の内部にどのくらい蔓延しているのかというのも、諸説飛び交っているところではあります。中国の医師団が入ったという情報もあります。もちろん金正恩氏の治療のためと言う向きもありましたが、一方でかなり蔓延が広がっているので、国際的な医師団の派遣などを行わなければもたなくなっているのではないかという読みもありますよね。
須田)公表された肥料工場を視察した映像を見てみますともちろん金委員長はマスク姿でありませんが、それを取り巻くSP が黒マスクをしています。また竣工式に出席した人々はマスクをしていたという状況もあるので、やはり北朝鮮国内においてもコロナウイルスの影響が大きく及んでいると見ることは間違いないのではないかなと思います。
飯田)4月11日の金正恩委員長が出席した会議などでは誰1人マスクをしていなかった 映像が確か流れていました。そういったところではコロナも相当蔓延しているのか。あの国は自分の意思でマスクをつけるというよりは上から言われてというところですよね。
須田)おそらく映像の中のマスクというのは金正恩委員長をリスクにさらさないためというのが最大の目的なのでしょう。
飯田)そして存在が取り沙汰されるのが妹の与正氏。かなり昇進をしたというのもあって、この重篤説などの中で与正氏が取って代わるのではないかというような話までありました。こういう話が出てくるということは、やはりかなり体制が動揺しているのではないかとも見えます。
須田)そうですね。今回の銃撃について韓国サイド、韓国軍あるいは国家情報院などが、軍をまだ金正恩委員長が掌握しているのだということを示すために行われたのではないかと、非常にうがった見方をしています。それを裏返しますと、軍を含めて、相当体制が揺れ動いているのではないのかということも、うかがえるのではないかなと思います。
飯田)中国やトランプ大統領は少しコメントを出しましたが、中国などが諸手を挙げて「素晴らしい」だとか「よかった」ということをコメントとして出してはいない。一方で韓国が「ほれ見たことか。金正恩氏は健在なのだ」というのを出すことで、なにかその違いがすごく浮かび上がるような気がします。中国があまりコメントを出していないというのは果たして北朝鮮の体制としてどうなのだろうかというようにも思います。
須田)それに加えて、Twitter上でもうかがえるようにトランプ大統領の言動が非常に不可解なのです。健康を祈ろうと言っていました。それにもかかわらず、喜んでみたりと。もしかすると、アメリカにも正確な情報が入っていないということの表れなのかもしれません。ただ、そういった点でやはり何か“異変”的な動きがあったのではないかと認識されているのではとも思いますよね。
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