ロシアを再建できるのは“俺しかいない”~プーチン“終身“大統領
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月3日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。プーチン大統領が2036年までの続投を可能にする憲法改正案の是非を問う国民投票の結果について解説した。
憲法改正に78%が賛成~事実上の終身大統領に就任
7月1日に投票が行われたロシアの憲法改正の是非を問う全国投票は、およそ8割が賛成し、承認された。これでプーチン大統領が83歳となる16年後の2036年まで続投する道が開かれたこととなり、事実上の終身大統領に就任したとも言われている。
飯田)メールもいただいております。福島県いわき市の“しかぞう”さん、53歳の会社員の方からいただきました。「2036年まで大統領として続投可能って、そんなにロシア大統領は魅力のある地位なのでしょうか? 」。
宮家)魅力があるかどうかはわかりませんが、もはや彼は皇帝ですよね。トランプさんのような変な人がアメリカにいるから、いまのロシアとアメリカの関係がよく見えませんが、目を細めて歴史を振り返って考えてみたらこうです。かつてソ連がありました。プーチンさんはKGBとして育ちました。しかし、その体制が崩れ、ロシアは自由主義の民主主義国家になるつもりでいたのですけれども、実際に起きたことは母なるロシアがNATO諸国、アメリカやヨーロッパに経済的に搾取されて、富を持って行かれた。「話が違うではないか」ということになった。
ロシアを何とかできるのは俺以外いない
宮家)彼はめちゃくちゃにされたロシアを何とか再建したい。少なくとも、昔は超大国と言われたロシアです。この地位だけは維持したいと思ったわけです。プーチンさんのような政治の天才がいて、トランプさんのような変な人がいるから、現時点でロシアはアメリカに対して互角にやっている「フリ」ができる。しかし、ロシアは実際には、兵器はつくれるけれど、ものはつくれない国です。そして、エネルギー、天然資源はある程度ありますが、それを除いたら途上国に近い。その衰退するロシアを何とかさせたいという強い気持ちが、プーチンさんの原動力なのだと思います。自分以外にできないと思っている。プーチンさんのような経験があるからこそ、そういうエネルギーが湧いて来るのです。「俺以外にはできない」という強い気持ちがあるのでしょうね。
飯田)後継者を考えるのではなく、自分がやれるところまでやるしかないということですね。
宮家)あれだけ強権で生き延びて、既に20年以上もロシアの統治をやっているのです。独裁者は、寝首をかかれてしまうから、後継者なんてつくりませんよ。ロシアにとって本当にいいことなのかどうか、という気はしますけれどね。
最後は不幸になるかも知れないが、これがプーチン氏の運命
飯田)経済の立て直しと言っても、石油、天然ガス以外にはどうなのでしょう。
宮家)そもそも、石油とガスの値段がこんなに下がってしまったら大変です。しかも経済制裁があります。クリミアなど早く返還して、いい子に戻ればいいのです。プーチンさんは、独裁体制で皇帝になっても、最後はハッピーな人生ではないかも知れません。しかしそれが、彼のロシアに対する運命なのだと思います。
飯田)あれだけの広い国土、そして人口もそれほど多くなく、内需で回すわけにも行かない、しかし制裁がある。少し袋小路に入り込んでいる。
外からの恐怖によって拡大して来たロシア
宮家)しかも中国との間に、あれだけ長い国境があります。そういう問題を超えた、ロシアの将来に対する恐怖心がプーチンさんの権力欲の原動力なのだろうと思います。
飯田)大陸の国というのは、外から攻め込まれるのではないかという恐怖がある。
宮家)しかも、その恐怖があるからこそ拡大して来た国ですから。常に外からの脅威にさらされて、頑張らなくてはいけないという内的な恐怖心があるのだと思います。
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