北方領土4島返還はありえない~日本人の知らない歴史的な理由

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ニッポン放送「飯田浩司の OK! Cozy up!」(3月13日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。北方領土問題について、終戦記念日の世界的な史実を交えて解説した。

北方領土4島返還はありえない~日本人の知らない歴史的な理由

ロ、在日米軍で回答要求  モスクワで記者会見するロシアのプーチン大統領(タス=共同)=2018年12月20日 写真提供:共同通信社

ロシアが北方領土で軍事演習~交渉の対象は2島だという意思表示か

ロシア軍は3月12日、北方領土の択捉島と国後島でおよそ500人が参加する軍事演習を開始した。ロシア軍は今月6日にも軍事演習を実施していて、平和条約の交渉を進めるなか、日本側を揺さぶる狙いがあると見られている。

飯田)ロシアの通信社、インターファクス通信が伝えたものだそうです。軍事演習ですよ。

高橋)揺さぶると言うか、交渉を明確にするということだと思いますけれどね。

飯田)交渉を明確にする。

高橋)対象を明確にすると。2島だということです。それ以外はないぞと、そういうことを言って来ているだけのことです。

飯田)そうすると、国後・択捉ではなく、歯舞・色丹だと。

北方領土4島返還はありえない~日本人の知らない歴史的な理由

首脳会談を終え、共同記者発表で握手するロシアのプーチン大統領(右)と安倍晋三首相(ロシア・モスクワ)=2019年1月22日 写真提供:時事通信

世界的な常識で終戦記念日は9月2日~ソ連の日本侵略はそれ以前のこと

高橋)もともと4島は無理筋だということは、日本の国民はあまり言いませんが、外交の専門家であれば「4島は無理です」とはっきり言っています。これは終戦記念日がいつかという話で、私もアメリカに行ったときにこっぴどくやられた経験がありますが、日本人は終戦記念日は8月15日と言うではないですか。でも世界のどこに行っても、終戦記念日は9月2日です。

飯田)9月2日。

高橋)戦艦ミズーリで調印したとき。要するに、8月15日から9月2日の間の話については、日本はやられっぱなし、それだけの話です。

飯田)グレーゾーンではあるけれども、最後に終戦条約にサインをした9月2日までは…。

高橋)OKだということです。

飯田)戦争状態のままだったということが国際法上の在り方だったのですね。

高橋)日本では、終戦記念日以降にソ連が攻め入ってどうのこうのと習いますが、それは世界では通用しません。

飯田)国際社会では通用しないと。

高橋)いくら言っても無理です。他の国では9月2日だろうと、それまでは仕方なかったと言われる。私も多少知識があるから、実は日ソ不可侵条約の後、向こうが通告して来た後に、1年間自動延長という項目もあるのですが、これはEUのときと一緒で「でも協議は整わなかっただろう」と言われてしまいます。協議が整わなかったらおしまいだよ、日本はちゃんとソ連と協議をしたかと。するような状況ではなかったから、していないのですね。結果的にはそれも通用しないのが国際常識ですよ。
こういう常識を日本国民もある程度わからないと、安倍さんが一所懸命やっていることがわからないと思います。終戦は9月2日だから、4島は有り得ない。日ソ共同宣言で、1956年のときに2島の話しか書いていないでしょう。でもこれは、実は合理的なのですよ。4島は有り得ません。
その後なぜ日本が4島と言ったかというと、アメリカのダレス国務長官が4島と言え、と。4島と言わなければアメリカは沖縄を返さないぞと言ったので、日本は仕方なく4島と言わされたのです。4島と言っているうちは、ソ連は交渉しないと知っているから。そうすると日ソは絶対に平和条約を結べないので、わざとダレス氏は言ったのですよ。

飯田)日ソが当時の東西冷戦のなかで接近するのを恐れたアメリカが…。

高橋)絶対に4島と言え、と。4島と言っている間はソ連は絶対に日本と交渉しませんからね。日ソ共同宣言に戻って、2島という本当の真面目な話をすると、国民としては失望感が出て来るのですね。でも4島と言っている間は一切交渉できない。今回初めて2島で交渉するから、ロシアの方もちゃんとした対応をして来ているのです。それだけです。本当にきちんとした交渉をしていると、こういう話になるのです。

北方領土4島返還はありえない~日本人の知らない歴史的な理由

ロシアのプーチン大統領(右)との会談で握手する安倍晋三首相(シンガポール)=2018年11月14日 写真提供:時事通信

2島が還って来れば100点

飯田)1956年に日ソ共同宣言が出ていますけれど、それを遡った少し前にサンフランシスコ講和条約があった。そこでは千島列島は放棄すると明記している。

高橋)千島に択捉、国後は入るのが普通ですね。

飯田)南列島の千島の部分に国後・択捉は入るから、当時のソ連、現ロシアとしてはそこまでは自分たちのものだと。国際的にもそれは認められているというのが向こうの主張ですね。

高橋)世界ではそうなっています。

飯田)これをひっくり返して行くのは相当難しい。

高橋)無理でしょう。日本だけなのですよ、終戦が8月15日と言うのは。それは事実です。アメリカも絶対に言わないし、他の連合国やヨーロッパも全部9月2日です。

飯田)そうすると、歯舞群島と色丹に関してどうするかが、日露交渉のメイン。

高橋)国際法から見たらそれしかない。2島が還って来れば日本は100点満点です。ロシアのほうは0島でしょうから。

飯田)あとはそこから先も長いスパンで。

高橋)30年、50年かけてプラスがあればいいというレベルです。

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