防衛省のなかで何が起きたのか~イージス・アショア配備計画停止
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月17日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。河野防衛大臣が衆議院安全保障委員会で突如発表したイージス・アショアの配備計画の停止について解説した。
河野防衛大臣、イージス・アショアの配備計画停止を委員会で説明
河野防衛大臣は16日、衆議院安全保障委員会に出席し、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」配備計画の停止について、「導入を決めた当時としては正しかったが、コストと期間を考えると合理的な判断とは言えない」と説明した。また今後の弾道ミサイルの防衛体制については、イージス艦を増やすという選択肢が考えられると話している。
飯田)15日に突如発表された、この配備計画の停止ですけれども。
佐々木)ほぼ全員が驚いています。イージス・アショアはイージス艦に変わる地上配備の迎撃システムです。日本はイージス艦がアメリカに次いで多く、来年(2021年)には8隻になります。それでもカバーしきれないし、船を常に動かすには乗員のローテーションをつくらなければならないことなどもあり、大変だということで、東北と西日本に1ヵ所ずつ配備するという話でした。
前からわかっていたこと~党内の根回しもなく突如発表した裏に何があるのか
佐々木)地元からは「大丈夫か」という話は出ていたのですが、ここに来て、発射したときに落下するブースターを自衛隊の演習場内に確実に落とすことはできない、他のところに落ちてしまう可能性があると。確実に落とすようにするためには、改修作業が必要で、時間もお金もかかるのでやめますということです。しかし、そんなことは前からわかっていたはずです。なぜこの段階で言って来たのか。自民党内からは「聞いてないよ」と、大反発が起きています。河野大臣が自民党内に説明していなかったのも謎です。通常であれば、このような重大な決断をするときには、党内だけでも根回しをしておくはずです。このように前からわかっていた話を、根回しもなしに突然大臣が発表したのは何があったのでしょうか。現段階ではよくわからないですね。
飯田)昨日(16日)、自民党の国防部会と安全保障調査会などの合同会議が行われました。イージス導入を決めたときの担当大臣である小野寺五典さんも、「説明がなければ到底承服できない」と怒りをあらわにしていたという話も出ています。ブースターは推進エンジンが分離したら落ちるということです。
佐々木)イージス艦は海上なので落ちても大丈夫ですが、陸上だとそういう問題が起きて来ます。改めて場所を変えるとなると、土地の選定、自治体や住民との交渉など膨大な時間がかかるということなので、それならば今後はイージス艦を増やすという話になります。しかし、海上自衛隊からも異論が出ていて、船を増やすとなると、乗組員を養成しなければならないし、「1隻建造するのにどれだけ時間がかかると思っているのだ」と。
飯田)簡単に言ってくれるなと。
佐々木)各方面から批判が出ています。河野防衛大臣は評価の高い政治家ですが、今回のことでイメージが変わるでしょうね。
飯田)安倍総理も、配備予定地への説明の前提が食い違っていたためと、停止の理由を述べています。
防衛省のなかでのプロセスと、政治のプロセスがどのように絡み合ってこの結果になったのか
佐々木)防衛省のなかでのプロセスと、政治のプロセスがどのように絡み合って、どうなったのかが知りたいですよね。公文書破棄の話もそうですが、成員の問題なのか、官僚の問題なのかがあいまいなまま、政治に対して批判が飛ぶということが起きています。その辺りの議論が説明されていなかったので、役所のなかの問題で河野防衛大臣が泥をかぶっている可能性もなくはありません。もう少し注視して行方を見守りたいです。
飯田)5月末までに立地に対しての報告書が出るという話だったのですが、その辺もうやむやになっています。
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