イージス・アショア~なぜ秋田県内配備が困難になったのか
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月31日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。イージス・アショアの秋田県内への配備について解説した。
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陸上自衛隊新屋演習場で始まったイージス・アショア配備に関する地質調査=2018年10月29日 写真提供:産経新聞社
イージス・アショアの秋田県内への配備が困難に
イージス・アショアとは、海上自衛隊やアメリカ海軍のイージス艦と同様、レーダーやミサイル発射装置を搭載する地上配備型の弾道ミサイル迎撃システムのことを言う。陸上にあるため、海上のイージス艦に比べて常時警戒にさく人員が少なく済むのが特徴と言われている。イージス・アショアの秋田県内への配備計画をめぐり、秋田県は佐竹敬久知事が31日、河野防衛大臣と防衛省で面会すると発表した。秋田市の穂積市長も同席し、陸上自衛隊新屋演習場への配備は困難との見方を直接伝達する方針である。
飯田)この話は去年(2019年)からずっと出続けています。
宮家)大きなピクチャーで言えば、日本全土をどうやってミサイルから守るかという話で、こうした防衛システムをどこかに置かなくてはいけないわけです。船よりも陸上の方がはるかに効率的ですから。そのような負担をどのように、誰が負担し合うか。これは日本の安全保障政策そのものなのです。どうやって地元住民の方にご説明をし、納得していただくか、ということです。
防衛施設庁の廃止による影響か
宮家)これを防衛省がやって来たのですが、昔は防衛庁の時代があって、その防衛庁のなかにまた庁がありました、当時は防衛施設庁というものがあったのです。防衛施設庁は防衛庁のなかにある外局なのだけれども、かなり大きな組織で、日本国内の自衛隊基地や米軍基地などを担当、地方に防衛施設局というものをおいて、地元へのご説明などいろいろな配慮をして来たわけです。しかし、それが装備庁か何かをつくるためにスクラップ・アンド・ビルドの対象となり、なくなってしまったのです。そのために手薄になったと言うつもりはないし、いまも努力は続けられているとは思いますけれども、地元へのご説明というものは、丁寧にやって、やり過ぎるということはありません。
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「イージス・アショア」配備を巡り開かれた住民説明会で発言する防衛省の五味賢至戦略企画課長(左)=2019年6月8日午後、秋田市 写真提供:共同通信社
説明の仕方に問題はなかったのか
宮家)日本の安全保障を守ることを担当して、私はそういう仕事ばかりやって来ましたから、よくわかるのです。自治体のお気持ちもよくわかる。しかし、日本全体の安全保障を守るためには、誰かがこれをやらなくてはいけない。説明の仕方がまずかったのではないかと・・・・。いま言っても仕方ないですけれど。
飯田)かつてあった太いパイプや人脈など、そういう無形の資産のようなものが…。
宮家)もしなくなっているのだとしたら、それは大変なことです。しかも秋田は米軍基地があるわけではないですからね。
飯田)秋田駐屯地があるくらいです。
宮家)そうです。他に東北にあるのは三沢ですか。
飯田)米軍の大きな基地があります。
宮家)そういうところではなかったので、手薄だったのかもしれませんけれども、やはりご説明を上手くやるというのがいちばん大事です。これだけはやってやり過ぎるということはないので、いまからでも遅くないから、もう1回ご説明をしてご理解いただけたらいいのですけれどね。