ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月14日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。大統領選挙の結果をめぐって混乱が起きているベラルーシについて解説した。
これまで6700人が拘束
ベラルーシは東ヨーロッパにあり、ロシアやポーランドなどに隣接する共和制の国家である。このベラルーシで大きな混乱が起きている。8月9日に行われた大統領選挙で、現職のアレクサンドル・ルカシェンコ大統領が圧勝で6選を果たしたが、その直後に各地で抗議デモが続いている。ベラルーシ内務省は13日、新たにおよそ700人の拘束を発表し、9日からの拘束者はおよそ6700人を超えたと発表した。ルカシェンコ大統領率いる政権がデモ鎮圧の動きを強めたと見られる。
飯田)この大統領選で対抗馬として出た、チハノフスカヤさんという方は国外に逃れたということです。
宮家)まずベラルーシについてですが、昔、私たちが学校で習ったときには「白ロシア」と呼ばれていたのです。ベラルーシはモスクワの西側、ウクライナの北側にあり、「人種的にも文化的にも近いけれど、ロシアとは違う」というアイデンティティーを持った国だったのですが、当時はソ連の共和国の1つだった。その後、ソ連が解体して独立し、民主化したはずなのに、大統領が6選もしているということは、そもそも民主主義が定着したわけではない国ということです。
「ウクライナと同じことになる」とロシアが黙っていない~ロシアとポーランドの隣にあるベラルーシの民族の悲劇
宮家)問題は、これをロシアがどう見るかです。ロシアの立場に立って考えれば、「これは大変だ」ということになります。モスクワの隣で、ウクライナの北ですから。ソ連崩壊後にウクライナで何が起きたかと言うと、自由化が進み民主主義になり、オレンジ革命が起きて、大混乱が起きたためロシアが介入し、いま何とか小康状態になっているのです。それと同じようなことが、ベラルーシで起きてもおかしくはありません。民主勢力が強くなり、ウクライナと同じになるだろうとロシアが思えば、ベラルーシに手を出して来るに決まっているし、このまま民主化運動が潰れてしまって独裁者が強くなれば、これもまたベラルーシの国民が困る。つまりベラルーシの国民にしてみれば、どちらに転んでもよくないことばかりで、非常に気の毒だと思います。残念ながら、ロシアとポーランドの隣に位置付けられたことが、この国と民族の悲劇であると強く感じます。
飯田)ソ連が崩壊してロシアになった後、西側の諸国に「浸透して来ないと約束しただろう」ということが、ロシアにはあるのですね。
宮家)ウクライナも獲られて、ロシアからすれば、今度は「ベラルーシ、お前もか」ということだと思います。
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