日本との関係を改善せざるを得ない中国~菅政権はどう出るべきか
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月25日朝放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。菅総理が中国の首脳と電話会談をするというニュースを受け、今後の日中関係について解説した。
電話での日中首脳会談
菅総理大臣と中国の習近平国家主席による初の電話会談が、9月25日夜に行われることが政府関係者によって明らかになった。菅総理は、近隣諸国と安定的な関係を構築するとの政権の基本方針を伝えるとともに、新型コロナウイルス対策で連携を呼びかける見通しだ。(※電話会談は25日夜行われた)
飯田)自民党の保守系の方々は、習近平さんとの首脳会談について、「国賓来日をどうするのか」というところで、反対であるということを鮮明にしております。
安全運転的な外交の始め方
宮家)こういう例えがいいかどうかはわかりませんが、あるところへ行くときに、安倍外交では、ランボルギーニやフェラーリのようなスーパーカーで颯爽と行きます。しかし、道が混んでいたり、通れる道もあれば通れない道もあるわけです。通れなければ、ランボルギーニも軽自動車も同じです。それに比べると、外交スタイルに派手さはありませんが、菅さんは高級セダンに乗って、行けるところまで行く。別に何百キロも出す必要はないのです。いまは電話しかできませんから、電話で外交を始めているということなのでしょうけれども、いい意味で、非常に安全運転だと思います。
日本との関係を改善するしかない中国~日本は是々非々で行くべき
宮家)相手の中国の方ですが、「保守団結の会」という応援団が、「中国はけしからん」とおっしゃってくれているわけです。首脳会談をやる前に、こういう応援団がいろいろと言ってくれるのはいいことです。中国は、日本の国内がどうなっているのかということに、関心が高いと思います。アメリカとの関係が悪いので、日本との関係を改善せざるを得ません。日米の関係にくさびを打ちたいからです。そうなると日本はどう出るのか。安倍さんのときは手強かったけれど、菅さんになれば変わるのではないか、二階さんが近いのでもしかしたら……と、いろいろ期待を持っていると思うのです。しかし、問題はあなたの態度なのだと。日本だけではなく、他の国もみんな困っていて、日本対中国ではなく、「国際社会対中国の問題なのだ」と、こういう話なのです。ですから、応援団がこうやってエールを送ってくれるのはいいのですが、中国との付き合い方は是々非々で行くべきだと思います。決して喧嘩する必要もありませんが、言うべきことはしっかり言わないといけない。特に安全保障の分野ではしっかりと、もう政策は変わったのです。この「保守団結の会」は、対中政策の根本的な見直しを求める決議を、ということですが、私に言わせれば、根本的に方針が変わっていると思います。
飯田)すでに変わっていると。
宮家)ええ。それは中国側もわかっていると思います。そのなかでの国賓来訪という話ですから、私は応援団の応援は歓迎だと思っていますけれど、実際に中国側とやるときに考えなくてはいけないのは、常にアメリカ、ロシア、中国、そして日本、国際社会、普遍的価値、安全保障。経済ももちろん大事ですが、ここを原点において考えれば、自ずと中国に対する立場に一貫性が出て来るだろうと思っています。
飯田)宮家さんは常々、「もし国賓ということが出る場合は、中国は日本の言うことを最大限に聞いて来るときだから、うまく使うべきだ」とおっしゃっていました。
中国が譲歩する可能性のある唯一のチャンス
宮家)文書をつくりたいのでしょう。
飯田)次の、第5の文書を。
宮家)文書をつくりたいのなら、「いままでとは違いますよ」ということです。言うべきことは言ってあるのだから、また新たに文書をつくるのならば、中国側が譲歩しなくてはいけないのだと。人権の問題でも、国際的なルールの問題でも、尖閣の問題でも、南シナ海の問題でも、チベットでもウイグルでも、「それについてきちんとした態度を書き込みなさい」と。そうしたら中国は困るはずです。それが嫌なら来なければいいと思うのですが、それでも来たいと言うならば、「きちんと書いてください」と。そういうことが言える唯一のチャンスです。自分たちの立場を通す人たちですから、通常であれば、そういうことは絶対にしない人たちです……というのが私の考え方なのですが、それ以前の段階にいま戻ってしまっているということですね。
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