ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月11日放送)に数量政策学者で内閣官房参与の高橋洋一が出演。11月10日に発表された「景気ウォッチャー調査」について解説した。
10月の景気ウォッチャー調査~現状判断指数が50を超える
働く人たちに景気の実感を尋ねる「景気ウォッチャー調査」、11月10日に10月の景気ウォッチャー調査が発表された。景気の現状を示す指数が54.5となり、前の月から5.2ポイント上昇した。景気判断の節目である50を超えるのは2年9ヵ月ぶりである。
飯田)2年9ヵ月ぶりというと消費税増税よりはるか前です。これはいい数字として考えていいのですか?
高橋)景気ウォッチャー調査は、案外当たるので注目しています。内閣府が行っているいろいろな統計より、こちらの方がいいと言う人がいます。「ディフュージョン・インデックス」というやり方で、「いいか、悪いか」を聞いて、どちらが多いかというものです。さすがに10月くらいになれば上がるでしょう。
飯田)3月とか7月の数字を見ると10台でした。
高橋)4~6月は最悪でした。7~9月はもうすぐGDP速報が出ますが、それほど戻っていません。
10月は飲食関係が良好~いいときと比べればかなり落ちている
飯田)10月は「Go To」などが効いたのでしょうか?
高橋)効いて来たのでしょう。10月は感染者数も少なかったですし、よかったのだと思います。もうそろそろ経済活動を動かして行くべきだと思います。日本もまた感染者が増えていますが、死者は多くないので、注意すればいいというレベルだと私は思います。
飯田)10月は業種別で見ると、飲食関連の数字がいいです。
高橋)少し動き出したということです。いい話ですが、飲食関連は冬を迎えてコロナが厳しくなると、落ちるかも知れません。GDPの7~9月を見ても、去年(2019年)の10~12月は増税で落ちました。1~3月はコロナと増税で落ち、4~6月は大きく落ちました。3四半期で10ポイント以上落ちています。今回、戻してもせいぜい4~5ポイントです。そうすると、落ちた分の半分弱が戻る程度です。GDPギャップと言うのですが、本来の潜在成長力をフル稼働したいいときと比べると、大分落ちています。
GDPギャップは30兆円~このマイナスを埋めなくてはならない
飯田)概算でギャップというのは出るのですか?
高橋)出ますね。内閣府はこの6%くらい落ちていると言うのですが、内閣府は天井が低いのです。本当はもっと天井が高く、その高い天井から考えると7~8%くらい落ちています。
飯田)8%というと30兆くらいですね。
高橋)だから30~40兆のギャップがあります。内閣府も30兆くらいは認めると思いますよ。
飯田)普通に考えると、そのギャップを埋めなければなりませんよね。
高橋)普通は埋めなければいけないのですが、違うロジックを使う人がたくさんいます。「これから伸びる」とわけのわからない空想をして、「この指標はいいから」と楽観的に計算して、対策を絞りたい人がいるのです。
景気動向指数は改善~1年前と比べると30~35兆円の落ち込み
飯田)10日にこういう数字が出ましたが、9日には、経済財政諮問会議も開かれて景気動向指数なども出ました。景気動向指数に関しての判断は、「少し戻って来ている」というものが続いていますが。
高橋)少しは戻っていますが、1年前に比べると戻っていません。1年前と比べると30~35兆円くらいの落ち込みです。
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