ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月16日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。テレビ会議方式で行われた東アジアサミットについて解説した。
東アジアサミットがテレビ会議方式で開催
11月15日にRCEPの調印が行われたが、それに先立ち、14日にはASEANと日米中露などの首脳が一堂に会する東アジアサミットがテレビ会議方式で開かれた。そのなかで菅総理は、東シナ海や南シナ海における中国の緊張を高める行動を批判した。アメリカからはトランプ大統領は欠席し、オブライエン大統領補佐官が代理で出席した。
飯田)東アジアサミットについてですが。
表裏一体にある「貿易と安全保障問題」
須田)これについては、まさに安全保障上の問題ということなのですけれども、実はRCEPを含めた「貿易と安全保障問題」は深くリンクしています。2国間で貿易をしているなかで、安全保障上の問題に抵触する場合には、主張した国の判断で処理をしていい。例えば輸出を停止する、輸入を停止するなど、WTOルールが国際的に認められているのです。安全保障問題と自由貿易は深くリンクしていて、「表裏一体の関係」にあります。一方で、日中間でこのような対立が残っているなかで、「貿易は貿易」ということで進められるのでしょうか。この東アジアサミットで中国の行動批判をしたということが、RCEPにも影を落として来ると理解していただきたいと思います。
飯田)いま国家安全保障会議(NSC)のなかにも、経済班というものをつくりました。政策面でもそれを裏打ちしているということですよね。
須田)そこでポイントはデジタルセキュリティ、先端技術の分野に関してだと思います。
飯田)TikTokのダウンロード禁止を、アメリカの商務省が延期するということを発表しました。「もう方針が変わってしまうのか」という気がしたのですが。
須田)それについては継続案件ということで、バイデン新体制がどういう判断を下すのかということでしょう。しかし、議会の方はかなり強硬派ですから、その辺りの影響が出て来るだろうと思います。
日本国内でも統一できない「貿易と安全保障問題」への方向性
飯田)中国に対しては、アメリカももちろん批判していたし、ASEAN各国だって、温度差はいろいろとありますけれども、基本的には「あまり出て来られても困る」というところではありますよね。
須田)特にASEAN議長国のベトナムは、南シナ海の問題を筆頭に、かなり中国に対して批判的ですからね。
飯田)そう考えると、中国は一筋縄では行かないというところがあると思うのですが、一方で、いままでの「自由で開かれたインド太平洋」というところから、「平和と繁栄のインド太平洋」と、表現が変わって来てしまっていますよね。
須田)今回のRCEPについて言えば、日本における経済界がそれは大歓迎なのです。その問題と安全保障上の問題が非常に微妙に絡んでいるのだということです。日本国内も、一枚岩では行かない。その方向性を統一すべきだと思います。
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