大阪「医療非常事態宣言」が示す新型コロナの「新たな問題の本質」
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月7日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。大阪へ自衛隊の看護師を派遣するという報道を受け、新型コロナウイルス感染拡大によって逼迫(ひっぱく)する医療体制の問題について解説した。
西村大臣、大阪へ自衛隊の看護師派遣準備
西村経済再生担当大臣は12月6日、NHKの番組のなかで、新型コロナウイルスの感染拡大が続く大阪府に対して自衛隊の看護師の派遣を検討する考えを明らかにした。これに先駆け大阪府の吉村知事は、自衛隊に不足する看護師の派遣を打診していると明らかにしていた。
医療体制が逼迫(ひっぱく)~看護師の不足
飯田)北海道でも旭川の病院に政府が自衛隊から看護師を派遣するということで、最終調整に入っているというニュースも出ています。
須田)大阪の場合は、通天閣や太陽の塔で「非常事態」を示す赤信号が点灯されていますが、ポイントは「医療非常事態宣言」が発出されていることです。「医療体制が逼迫している」という意味合いが強く滲み出ているのです。これまで、新型コロナウイルスの新規感染者数が増加して「大変だ」と、場合によっては緊急事態宣言や外出自粛要請が出て来るのではないかと見られていました。もちろんそれも出ているのですが、問題の本質は、「医療体制が逼迫していることなのだ」ということです。
「Go To トラベル」を止めることよりも貧弱な医療体制を立て直すこと
須田)取材していると、病床数を増やすことは可能なようです。ただ、患者をケアする看護師、医師の数、特に看護師が圧倒的に足りないのです。問題の本質は、「病床だけ増やしても、感染者を受け入れるわけにはいかない」のだというところに、ようやく焦点が当たって来たのではないでしょうか。これまでは、日本医師会もそうなのだけれど、「Go To トラベルによって感染者数が増えているから止めろ」という見方が多かった。しかし、そうではなくて「医療体制が貧弱なことが問題なのではないか」というところに、もっと早く目を向けるべきだったと思います。
看護師を含む医療体制について、早く対応するべきだった
飯田)看護師さんの資格は持っているものの、別の仕事をなさっている方や、休業中の方もいらっしゃるということは、前々から言われていましたよね。夏からけっこう時間がありました。これまでの期間に何とかならなかったのかとも思います。
須田)「医療体制の充実」というのは、短期的に解決できるものではありません。中長期的な視点と、いまそこにある危機をどうするのかという2つの面がある。いま飯田さんがおっしゃったように、看護師や准看護師の資格を持っていて、いま仕事をされていない方にどうやったら戻って来てもらえるのか、一時的に手を貸してもらえるのかというところを、報酬の問題なのか体制の問題なのかも含めて、緊急に対応すべきだったのではないかと思います。そういうところに予算を付けるべきだったのではないでしょうか。
飯田)診療報酬は法定で決まっていますよね。コロナの分で一部増してはいるけれども、その辺も考えないと、お金の面でも回って行かなくなるということですか?
須田)その辺りを弾力的に対応すべきだったのではないかと思います。ただ残念なことに、その辺りについてのことは、国会での議論や手続きを踏むことが必要になります。しかし、早々に臨時国会を閉めてしまったということにも問題があります。
飯田)いろいろな問題が出て来るだろうから、前々から通年で開いておくのはどうかという話もありましたよね。
須田)野党もその辺り、きちんと申し出をするべきだったのではないかと思います。ギリギリになって改正案などを出しても、出遅れた感じがあります。
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