大飯原発を再稼働させたい「関西電力の事情」
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月7日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。大飯原発の設置許可取り消しを認めた大阪地裁の判決について解説した。
大飯原発の設置許可取り消し
福井県おおい町にある、関西電力大飯原発3・4号機の耐震性をめぐり、安全審査基準に適合するとした原子力規制委員会の判断が誤りだとして、福井県などの住民らが国に原子炉設置の取り消しを求めた訴訟で、12月4日、大阪地裁・森裁判長は「審査すべき点をしておらず違法である」とし、国に設置許可の取り消しを命じた。
飯田)国は控訴する方向だということです。
須田)地裁判断というのは往々にして、こういうことが出がちなのです。当然、安全基準の検証は十二分にやるべきだと思います。今回の問題には2つのポイントがあります。大局的には、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするという政府の方針がありますが、これに向けて大飯原発がどのように位置付けられているのかも見なくてはなりません。もう1点は、関西電力にとって大飯原発は、誤解を恐れずに言うと「ドル箱」なのです。
飯田)なるほど。
関西電力のなかで利益率のよい大飯原発
須田)コストの安い電力を供給して、一定程度の利益を得る。得た利益で中長期的な計画を立てるということを考えると、経営状況が逼迫(ひっぱく)しているなかで、大飯原発の再稼働は強く望まれていたところなのです。もちろん、そこには関西電力の経営判断があるのでしょうけれども、その再稼働が先送りされたということで、関電が今後どうなるのかというところは注目したいですね。
飯田)原発に関して、関西電力というと、いろいろなスキャンダルが報じられたりもしましたけれども、「そこまでしてでも動かしたい」という、経営の部分も見え隠れしますよね。
須田)関電は原発依存の高い電力会社でしたから。そこが動かないということになると、火力の方に無理をしなくてはならないという状況があります。どうしてもコスト高であるとか、設備の老朽化問題にも対処しなくてはならないというところを考えると、「無駄な投資をしなくてはならない」という状況にもなりかねないのです。
今後伸びる電力事業
飯田)その辺と、先ほどおっしゃった2050年二酸化炭素の実質排出ゼロの話、また、新車は2030年代には電気自動車にするということも言われています。そういうことを考えると、電力事業はますます伸びる可能性の方が高いですか?
須田)増えて行くのだろうと思います。では、「それをどういう形で確保するのか」というところをきちんと議論すべきだと思います。
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